虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

環境問題

道路の植え込みの無残~土木事務所の怠慢 (随想録―55)

道路の植え込みの無残~土木事務所の怠慢 (随想録―55) 群馬県太田市には、短い距離ながら片側2車線の、高速道路に似た仕様の道路がある。このような道路には、街路樹・植え込みが付随するのが普通だろう。草刈りが必須だ。ところが、4、5年まえに事務…

大河ドラマは、「人を描く」作品群だったはず(随想録―44)

大河ドラマは、「人を描く」作品群だったはず(随想録―44) 我が家の場合、よくNHK大河ドラマは観ていたが、「いだてん」以降のものは観ていない。詰まらないからだ。私は思うのだが、大河ドラマの出来のいい作品は見事に、「人」を書ききっていた。そんな…

大量生産と大量消費の悪徳:人類はどこで道を間違えたのか?(随想録―38)

大量生産と大量消費の悪徳:人類はどこで道を間違えたのか?(随想録―38) 大量生産、大量消費の現在の世界の共通な美徳、それは本当に美徳なのでしょうか?たぶんそれはイギリスではじまった産業革命あたりに源があるように思います。広辞苑(第6版)に…

私の師(師の中の師):「師」とは「先生」のこと。(随想録―24)

私の師(師の中の師):「師」とは「先生」のこと。(随想録―24) 環境問題を専攻した私には、師と呼べる人たちが多くいた。真っ先には、宇井純さん(助手)、卒論指導教官だった中西準子(助手)さんが思い出されるし、都市工学の秘奥を教えて下さり、ま…

糞尿を上手く処理してこそ環境問題は解決する+ tumblr.(タンブラー)(随想録―16)

糞尿を上手く処理してこそ環境問題は解決する+ tumblr.(タンブラー)(随想録―16) 以前、乗馬を趣味とする友人から聞いたことだが、乗馬クラブの人が馬を御していたところ、広い農地で、馬が糞をしたというのだ。それで、この農地の持ち主が激怒したとい…

労働者の視点では環境保護はできない+FIP導入の愚(随想録―11)

労働者の視点では環境保護はできない 水俣病の闘争史において、被害漁民らをもっとも圧迫したのは、チッソ経営陣でもなく、厚生省でもなく、チッソ労働者だった。それはもちろん「生活が懸かっていた」からだ。現在でも、経営陣と労働組合の労使交渉の最大の…

廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と日本民衆の精神的付和雷同性

廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と日本民衆の精神的付和雷同性 この廃仏毀釈という言葉を広辞苑6版から引いてくるとはいぶつ‐きしゃく【廃仏毀釈・排仏棄釈】(「毀釈」は、釈迦の教えをすてる意)明治初年の仏教排撃運動。1868年(慶応4)の神仏分離令などの…

大学を遊ぶ・大学で遊ぶ・大学で学ぶ:どう違う?これらの態度。

大学を遊ぶ・大学で遊ぶ・大学で学ぶ:どう違う?これらの態度。 私は、「大学を遊ぶ」つもりで大学生活(特に専門が決まってからの生活)を送りました。この「を」が重要な言葉です。大学はレジャーランドだと言われた時期があり、それは概ね私が大学にいた…

『図解保健体育』(高校教科書):医学への導入に当たる科目

『図解保健体育』(高校教科書):医学への導入に当たる科目 私は以前、朝ゴミ出しされた物品を拾う趣味があり、金物、陶器、書籍などを拾い集めていました。その中には今でも大切に使っているものもあり、中国の古典『易経』とか、小鍋(ゲンノショウコなど…

主婦たちに解って欲しくて書いた文章:水質分析の話

主婦たちに解って欲しくて書いた文章:水質分析の話 私は学生時代、水を専門としていて、水の問題の解決の重要なファクターとして、生活の場で水に接する主婦たちに語りかけることが大事だと思っていました。とくに@@生協と、水道水に含まれる「発がん物質…

知を楽しむから「ニセ学生」:単位にならなくても聴講する

知を楽しむから「ニセ学生」:単位にならなくても聴講する むかし、今東光(こん・とうこう1896-1977)という男がいました。職業は、小説家・僧侶・政治家(自民党、参議院議員)。多才な人です。かの瀬戸内寂聴(俗名:瀬戸内晴美)を出家させた張…

私の文章修業:環境問題とPOPと

私の文章修業:環境問題とPOPと 私は、現在「環境問題研究家、詩人、エッセイスト」と名乗っていますが、そう自称するルーツは、大学生時代にありました。東京大学工学部都市工学科・衛生コースに専門が決まり、研究室に入るまでの2年弱、都市工学科助手…

あるプラン:私が山暮らしを決行した時の行動指針

あるプラン:私が山暮らしを決行した時の行動指針 以下に掲載するのは、私が山暮らしをする時の計画書として、グループKの執行部に提出した文書(プラン)です。 B町での生活プラン 1986年10月30日 森下礼 基本的に「Fの家」の管理人、「Bの森」の…

宇井純氏が導入した下水処理技術:酸化溝(オキシデーション・ディッチ)

宇井純氏が導入した下水処理技術:酸化溝(オキシデーション・ディッチ) 今は亡き、公害問題の第一人者、(そして私の先生の一人:東京大学工学部都市工学科助手であった)宇井純氏は多才な人でしたが、彼がオランダ・デルフト市にある下水処理場を見学し、…

土木系だが測量の授業を取らなかった私:それからどうした?

土木系だが測量の授業を取らなかった私:それからどうした? 私が専門とした東京大学工学部都市工学科・衛生コース(現:環境科学コース)は、本来土木工学科(現:都市基盤工学科)の一分野だったので、測量の授業は、必須ではなくても、履修は推奨されていま…

イワシあれこれ:この用途の広い「高級魚」

イワシあれこれ:この用途の広い「高級魚」 イワシほどたくさん獲れて、食用・肥料用として多岐の用途に渡る魚はそうそうありません。「タタミイワシ」は、その珍しさも相俟って、高級食材なのですから。イワシの概略はwikipediaより、 日本で「イワシ」とい…

衛生工学を舐めるな!:素人受けする水質浄化グッズ

衛生工学を舐めるな!:素人受けする水質浄化グッズ 私は、衛生工学の専門家です。特に、水という分野については人後に落ちない研究をやって来ました。水関係の諸技術にも大いに取り組みました。ここに、あるブログで、ある種の水浄化技術が取り上げられまし…

私はゴミ?:ゴミ談義あれこれ

私はゴミ?:ゴミ談義あれこれ 学生のころ、私は環境問題、特に水問題に取り組んでいました。専門がそうだったし、市民運動家としても、水の汚染に関する問題には積極的に取り組んでいました。当時汚染度が日本一だった千葉県:手賀沼(柏市や我孫子市の生活…

「知の巨人たち」:宇沢弘文、立花隆、渡部昇一

「知の巨人たち」:宇沢弘文、立花隆、渡部昇一 「知の巨人」だと評された学者、評論家など、最近多く聞くようになりました。↑の表題で挙げたように、少なくとも3人の名前が浮かびます。私自身はこの順で初めのほうにいる人ほど、その称号に相応しいと思い…

トリハロメタン生成状況:「住民からの頼まれ仕事が卒論に」

トリハロメタン生成状況:「住民からの頼まれ仕事が卒論に」 (これは、私の卒業論文の概要を、某雑誌に寄稿した文章です。トリハロメタンというのは、原水を塩素処理することによって生成されて、発ガン性などを持つといわれる毒物で、卒論当時の水道水中に…

陶芸と紙漉き(かみすき):ここまで違う両技術~親子の喩え

陶芸と紙漉き(かみすき):ここまで違う両技術~親子の喩え @以下は、私が2004年に、某さんに書いた手紙のうち、「紙漉き」に関連した部分を抜き出したものです。@ さて、前回メールで触れた本題、「紙漉き」と「陶芸」の比較論に入りたいと思います…

「常山の蛇」(孫子)と食用野草のクサギ

「常山の蛇」(孫子)と食用野草のクサギ 中国の古典『孫子』(九地篇:5章)に「常山の蛇:じょうざんのへび」と言う言葉が出てきます。これは、常山に住むヘビ(率然とも言う)が、頭を掴むと尻尾が、尻尾を掴むと頭が、体の真ん中を掴むと頭と尻尾が攻撃…

「太陽を盗んだ男」:沢田研二はやはりスーパースターか?

「太陽を盗んだ男」:沢田研二はやはりスーパースターか? 私が東大マンガクラブにいた頃、気になる女子東大生(理科2類)がいました。美大に行くか、東大にいくか、迷った末、東大を選んだといいます。その彼女がクラブの部誌に書き込むに、長谷川和彦監督…

合成洗剤には、燃やすと硫酸になる物がある。:酸性雨の原因

合成洗剤には、燃やすと硫酸になる物がある。:酸性雨の原因 石鹸より役に立つと、合成洗剤が使われるようになってから、かれこれ優に50年、半世紀たちますが、現在は石鹸との使用比率はどうなっているのでしょう?いまだ合成洗剤の使用比率が多いと思われ…

私のブログの特徴:「虚虚実実――ウルトラバイバル」

私のブログの特徴:「虚虚実実――ウルトラバイバル」 2005年10月に始めたこのブログ、2019年10月時点で15年継続し、一千百件ほど記事を挙げました。このブログは、そもそも災害と、より広く人間の安全を脅かすものも災害とみなし、広い意味での…

公害とは、物質の偏在だ:学生の頃の私の見解

公害とは、物質の偏在だ:学生の頃の私の見解 私が学んだ東京大学工学部都市工学科・衛生コースは、主として水問題が専門であり、学ぶ気が大きければ大きいほど、多くの講座を取れる場でした。本来、上下水道を扱うので、土木工学は必要でしたし、水を綺麗に…

渋沢栄一の正体:体制べったりのうさんくさい奴

渋沢栄一の正体:体制べったりのうさんくさい奴 渋沢栄一・・・私は、この人、どうにも胡散臭い(うさんくさい)人であるというイメージを抱いていました。実際どうなのか、調べてみました。まずは広辞苑第六版より。実業家。青淵と号。武州血洗島村(埼玉県…

大豆と方波見(カタバミ):葉を夜下げる点が似ている

大豆と方波見(カタバミ):葉を夜下げる点が似ている マメ科のクローバーとカタバミ科のカタバミには、大きな共通点があります。葉がおおむね3枚で(たまに幸運を意味する4枚になることとか)、夜になると葉が降下し、休眠するかのような状態になる点が、…

「水没」の「没」の字の語源(なんだか不吉。)その他2語

「水没」の「没」の字の語源(なんだか不吉。)その他2語 2019年9月、10月に日本を襲った台風15号、台風19号、さらには集中豪雨のトリプルパンチで、千葉県、長野県、福島県、宮城県には特に甚大な被害が出ました。これらの地域で共通した災害は…

酸性雨とアルミニウム:ホントは怖いこの元素

酸性雨とアルミニウム:ホントは怖いこの元素 アルミニウムは原子番号13の金属元素、軽くて丈夫なので、チタン合金、ジュラルミン合金として、いろいろな工業製品に使われます。軍事利用も多いですね。この金属、発見・単離されたころは、「光輝く」と言っ…