2023-01-01から1年間の記事一覧
男女5歳差の喜劇:『初恋』と『肉体の悪魔』(随想録―85) ツルゲーネフの小説『初恋』を読んでみた。この本は、むかしの装丁を復刻したもので、文庫本よりやや小さい小型本。(生田春月・訳:新潮文庫)主人公は16歳の男子高校生:ウォルデマアル、恋…
『かもめ:Чайка』(A.チェーホフ):演劇を介した悲恋(随想録―84) A. チェーホフの戯曲『かもめ』を読んでみた。大変面白かったので、一気に読み終えた。この戯曲には何人かの登場人物が登場するが、一組の恋人と、その仲を割く作家の3人が重要である…
千日回峰行・2度満行者:酒井雄哉(さかい・ゆうさい)(随想録―83) 比叡山の荒行・千日回峰行と言えば、まさしく1000日かけて肉体を死寸前まで追い込み、悟りを得んとする修行で、一日30kmも叡山のまわりを歩き回るのは序の口で、「堂入り」と…
『とはずがたり』:非積極性存在としての女性(随想録―82) 私は、アメリカのブログ、タンブラー(tumblr.)をやっていて、決めていることがある。このブログには夥しい画像や動画が登場するが、「美しい女性」を呈示するだけのブログは、「リブログ:rebl…
『君たちはどう生きるか』:吉野源三郎~その現代的意味(随想録―81) 数年前、この小説はマンガ化され、結構売れたそうだ。マンガにしなければ読まれないというのは現代的だが、それを知ったアニメ界のレジェンド・引退していたはずの宮崎駿が「次はこれ…
私にとって、糖尿病とはなにか?:恋愛の効用(随想録―80) 「私的大事件と体重変化」(ある内科医に提出した資料をもとに作成)2020.10 ある女性と熱愛 55kg 12 大腸内視鏡検査血糖値が高いと言われる 空腹時150(mg/l)2021.0…
ヨーロッパ各言語の、セックス用語の比較(随想録―79) タンブラーのブロガーには、もろにセックス中の生動画や、セクシー画像、絵画、写真を挙げる人もいる。たいていのブロガーは、そんな表現は使わないが、私のブログにもたまにそう言ったブロガーから…
欧米人は、目を剥くような「老子」解釈を行っている!(随想録―78) 以下はむかし友人に教えてもらった、「老子の一節」である。(細部は忘れたので、だいたい) 「誰かを深く愛すれば、それだけ力が生まれる。」The more you love someone, the stronger yo…
三河物語:戦争と旗~大久保彦左衛門の面目(随想録―77) 『三河物語』は、旗本で頑固一徹で知られた大久保彦左衛門の、安土桃山時代~江戸時代初期にかけての手記である。面白みのない文献と見られがちだが、江戸の庶民には、写本を通じて人気があったと…
欧米人の作った俳句:奇想天外なのもある。(随想録―76) 2022年4月から、私はアメリカのブログ・タンブラー(tumblr.)を始め、欧米人の生態を観察してきました。その中で、「俳句」という日本起源の文芸ジャンルは案外広く受容されていて、色々な国…
タンブラー(tumblr.)点描 2023年初時点(随想録―75) アメリカに本社のあるブログ会社(SNSの要素も兼ねる)タンブラー(tumblr.)は、アメリカを中心として世界中に総計1億人の利用者がいるメディアである。私は2022年4月から、日本の「はて…
アブナイお・と・こ~近松門左衛門作品集:里中満智子(随想録―74) 中央公論新社「マンガ日本の古典」の1冊「心中天綱島」を読んで。作画担当の里中は、後書きで「かなり脚色した旨」書いていたが、それはそれで良い。その上で浮かび上がってくることが…
『古事記』:肉親の確執の記録~石ノ森章太郎の慧眼(随想録―73) 中央公論新社「マンガ日本の古典」シリーズ、第1巻である。『古事記』『日本書紀』などというと、毛嫌いする人も多いと思う。戦前・戦中の暗い時代のバックボーンとなった文芸作品である…
自動車とその所有者の横暴:優遇され過ぎだ!(随想録―72) 2022年、大晦日、HNKで朝放送されていた「世界街歩き」を見ていたら、お決まりのウクライナ特集だったが、その首都キーウ(ウクライナ戦争以前の2019年の放送の再放送だったので、キエフ…
「信長公記」(小島剛夕):織田信長一代記・映像詩風(随想録―71) 織田信長は日本史上の有名人物であり、その事績は広く認知されている。NHKの大河ドラマでも、民放の時代劇でもよく取り上げられてきたので、その辺はよく知られている。 本編は信長の行…
「堤中納言物語」(坂田靖子):おちゃらけとギャグは違う(随想録―70) 恒例になった「マンガ日本の古典」(中央公論新社)の評論。「堤中納言物語」は、平安後期の説話物語集。とくに『虫めづる姫君』で有名な説話集だ。この代表作は、「初めから」、読…
「摂理」と旧「統一教会」:韓国発の邪教たち(随想録―69) 2022年末、「摂理」という宗教教団がマスコミを賑わせていた。正式名称「キリスト教福音宣教会」。1978年から鄭明析という男が布教を始めた、比較的新しいキリスト教系の新興宗教だ。よ…
地方移住の若者たち:今こそその好機。(随想録―68) 会社のテレワークの昼休み、NHKを見ていたら「いいいじゅー!!」という帯番組を放送していた。私は、この番組自体は知っていたが、放送されるまま、ほとんど注意して見たことはなかった。だが、202…
マザー・グース (Mother Goose):ハンプティ・ダンプティの闇(随想録―67) マザー・グースは、主にイギリスで歌い継がれてきた童謡集です。「主に」というのは、「砂男」という幾分不気味な歌がマザー・グースにはあり、これがモチーフの怖い同名小説を、…
『和泉式部日記』:いがらしゆみこ~一人の人物の幻影に翻弄される男女(随想録―66) ここで言う男女、女はもちろん歌人・女官の和泉式部だが、男は敦道親王(帥宮:そちのみや)という、立派な皇子である。この一組の男女の「愛の贈答歌」で、物語が織り…
『奥の細道』~作画:矢口高雄(「マンガ日本の古典」):地元の強み(随想録―65) 『奥の細道』は、日本の古典の中でも、別して名高い。中学校でやる古文では、必ず取り上げられる作品であろう。もちろん、松尾芭蕉が訪問した東北地方の諸名所を俳句にし…
「ものくさ太郎」:やまだ紫~デフォルメの妙(随想録―64) このマンガ作品は、女性マンガ家:やまだ紫が、中央公論社の「マンガ日本の古典」全32巻の一冊として任され、江戸時代初期のころの成立である説話集『御伽草子(おとぎぞうし)』の5、6話を…
「中間は呪いだ」:老子の言葉から考える(随想録―63) 「中間は呪いだ」という言葉を読んだことがある。それは、私が東京大学理科1類に入学して、周囲のクラスメートたちに気おされ、また数学や物理学の難解さに怯み、「この進路は正しかったのか?」と…
「ビンクスの酒」~「One piece」の挿入歌の楽天性(随想録―62) 週刊少年ジャンプ最大のヒット作は、「ワンピース」と言って、間違いないでしょう。出版された単行本は、数億冊は売れているであろうし(正しくは日本国内で4億冊、海外で1億冊)作者の尾…
ブルーな状態から抜け出せそうな夢(随想録―61) 私は、人生の節目、節目において、「示唆的な」夢を見てきた。必死に解決を求めていた問題について、決定的な解決を与える夢。今回は、加齢のため加速度的に増えて行く体の各部の不調、社会生活上の不透明…
タトゥー(Tattoo)とは何か?:それは「美しい」か?(随想録―60) 私は、大学でマンガクラブにいたことがあり、4編のマンガを描いたが、処女作は「キャンバス:Cand-vas」と言い、刺青(入れ墨:Tattoo)を主題にした作品だった。(以後、刺青、入れ墨…
超訳とは何か?・・・そのまやかし (随想録―59) 以下は、2010年のウエブ上の記事。翻訳の仕方にも様々なものがある。 例えば原文に忠実に訳す「直訳」、原文の意味に捉われることなく意味を汲み取りながら翻訳する「意訳」などだ。 しかし、ここ最近…
手塚治虫『火の鳥』と輪廻転生とオウム真理教(随想録―58) 「マンガの神様」・手塚治虫には、完成度が高く、その意味するところ深遠な作品が多数あるが、中でも「火の鳥」は、彼のライフワークである、との呼び声が高い。たしかに、私が小学校中学年だっ…
生命保険の論理:破綻するとしか思えぬが。(随想録―57) 私の亡父は、生命保険が好きで、本人と私の弟に、生命保険を掛けていた。(私には掛けていなかった。)中堅企業の工場長ということで、収入も多かったが、「もしも」の時への備えとして、生命保険…
坂本龍一と“energy flow”:闘病生活をする彼に捧げる (随想録―56) https://youtu.be/90zQT7FnQasenergy flow 私は、坂本龍一さんと出会い、大きな影響を受けた。専門の進路を変えてしまうくらいに。面識はないけど、100年の知己のような気がする。 ii…