虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2016-01-01から1年間の記事一覧

究極の自己啓発本:電通「鬼十則」〜鬼とは何か

1. 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきではない。 2. 仕事とは、先手先手と「働き掛け」ていくことで、受け身でやるものではない。 3.「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。 4.「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し…

ネウボラ:フィンランド発・子育ての試み〜日本よ見習え!

かなり以前(一年も前・・・)、2015年末にTVで流れたニュースが目に留まり、そのことについて検索してみたことがあります。フィンランドの「ネウボラ」についての記事です。フィンランドの「ネウボラ」と呼ばれる、妊娠期から就学前までの子育て支援が…

紙の辞書か電子辞書か:紙媒体VS電子媒体

私は高校生のころ、英語と数学を得意とし、東京大学理科1類に合格しましたが、受験の名門・駿台予備校の模擬試験で、英語の成績が理科系で1位、文科系合わせても3位の成績を挙げたことがあります。これは高校3年生の時で、2年生のときには代々木ゼミナ…

東京湾アクアラインの深奥:内需とアメリカの影

私は現在「東京湾をつないだ男たち」(日経BP社:1997年初版)を手にとっています。この本は、この巨大道路が完成するまでの技術者たちの悪戦苦闘を描いていて、以前NHKの「プロジェクトX」で放送されていた色々な事業を彷彿させますが(実際に放…

右肩上がりの経済成長なんて要らない!!

以前拙ブログで、NHK「みんなのうた」の一曲、「パパとあなたの影法師」(歌:太田裕美)を取り上げたことがありましたが、歌詞をそのまま引用しているので削除せよ、とJASRACに脅され、泣く泣く削除したのですが、この歌は何事にも不器用な息子と、何事も一…

「人間の大地」(サン=テグジュペリ):「工学」の実践

またまた、「夜間飛行」を奨めてくれた同僚の女性に奨められて読んだ小説が「人間の大地」(Terre des Hommes )。「人間の土地」とも。読んだのは「人間の大地」(光文社古典新訳文庫:訳者:渋谷豊)です。これで、サン=テグジュペリ3部作完了です。 htt…

ネルヴァルの「ファンテジー」:時空を超えたデジャ・ヴュの詩

ネルヴァル(wiki)→ 私は大学生時代、東京大学理科一類にいたのですが、理科系に失望して、フランス文学科に進みたいと思い、第三外国語でフランス語を履修していました。(第二外国語はドイツ語)そして、フランス詩を読み解くという趣旨のゼミに顔を出し…

ネルヴァルの「ファンテジー」:時空を超えたデジャ・ヴュの詩

「こころづよい」と「こころぼそい」:やまと言葉の不思議

日本語というのは、漢字などの表意文字と、「かな」の表音文字が「仲良く」同居する、世界でも珍しい言語です。ただ、論理的な漢字に対し、「かな」は情緒的ですね。論理的ではないと、思わせてくれる事例に今回ブログでクローズ・アップする2つの表現があり…

刑事コロンボ:倒叙推理の面白さ〜「あのー、もう一つだけ・・・」

ピーター・フォーク(Wiki)→ 1970年代に青春を謳歌していた人なら、おそらく覚えているであろうのが「刑事コロンボ」ですね。このTVドラマの大きな特徴は、物語の最初に殺人が行われるシーンが現れ、通常の推理小説の世界では、とんでもない話で、…

刑事コロンボ:倒叙推理の面白さ〜「あのー、もう一つだけ・・・」

時節到来と因果倶時:仏教の2つの見方(因果律について)

どちらも、仏教上の用語で、一見無関係な2つの事象をつなぐ見方と、関係ありありと思われる2つの事象を分かつ見方です。好対照ですので、今日は、この2つについて書いてみようと思います。 まず、「因果倶時:いんがぐじ」、これは法華経系の仏教(日蓮宗…

「星の王子様」と「パパラギ」:文明批評の2作品

サン=テグジュペリの小説、「星の王子様」は、超有名な作品ですが、実際に読んだ人は少ないのではないか、と思います。(女性のほうが男性より読者が多い気がします。なぜならこの作品は「童話」であるという偏見があるから。) 「星の王子様」は、サン=テ…

瓢箪(ひょうたん)の楽しみ:その実用性と装飾性

瓢箪は、なかなかにユニークなオブジェです。まるでグラマーな女性みたいに腰がくびれていること、これは装飾に使うことが大いに期待できますし、昔から酒を入れる容器としての実用性も大きいですね。この実を成らせる植物は、ウリ科に属し、干瓢(かんぴょ…

福島県は2度凌辱(レイプ)された:只見川と水力発電

尾瀬沼に流れを始める只見川(ただみがわ)は豪雪地帯を流れることから、水量豊富で、利水、とくに発電に利用する動きが戦後間もなくありました。 1951年(昭和26年)に国土総合開発法に基づく只見特定地域総合開発計画の対象地域に指定された後は電源開発が…

渡部昇一の道徳本:13歳からの道徳教科書

上智大学名誉教授の渡部昇一さんと言えば、忘れられない逸話があります。それは、作家の大西巨人さんが、血友病の息子たちを生むのに異を唱え、「第一子が遺伝病であれば第二子を控えるのが社会に対する神聖な義務ではないか」としたこと。これって、ナチス…

軍事転用されて来た保存食:糒(ほしいい)からレトルトまで

現在、多種多様な保存食が巷に溢れていますが、保存食の歴史は戦争の歴史でもありました。いかに兵士を捨て駒であると思っていた軍上層部、ならびに政治家でも、兵士に食べさせるものは、ちゃんと与えていなければ、戦争どころではなくなることは、まともな…

「ブンナよ、木からおりてこい」(水上勉)と十牛図(悟りの段階図)

故・「id:mikutyanさん」が彼女のブログで取り上げておられた「ブンナよ、木からおりてこい」につき、「ああ、あれはたしか小学校だったか中学校だったかで課題図書になっていたな」と思い出し、図書館で借りてみました。単行本はなかったので「水上勉全集 …

川端龍子(かわばた・りゅうし):「面白い」水墨画

まず、下に挙げる絵を見てください。これは川端龍子の水墨画で、「ヤップ島所見 男の舞踊:1935」です。「これが水墨画?」と思われるほど、変格的な水墨画です。まず、題材が南方の島に住む原住民たちであり、彼らの踊りを絵にするというあたり、「水墨画」…

宮崎駿アニメと「もののけ」:怪談の系譜

「風立ちぬ」を以って、長編アニメ映画は製作しないと宣言した宮崎駿さん、過去の彼の作品には、素晴らしいものが数多くあったと思います。かれこれ10本くらい製作したと記憶していますが、それらの作品群を見るに、いわゆる化け物――「もののけ」が絡む話…

世界の見方が変わる「数学」入門:余りに楽天的では?

私には複数の著作がありますが、10年ほど前に上梓した電子書籍「東大えりいとの生涯学習論」(eブックランド:発行)の書誌情報として以下のように書きました。(東大えりいとの生涯学習論)嫌な現実から飛翔できる学問・数学。著者は数学者を目指して東…

ボクシング漫画あれこれ:傑作は「あしたのジョー」だけではない。

*Cさんに振られたのでボクシング漫画について書きます。(Cさん:ブログ友)* ボクシング漫画といえば当然!「あしたのジョー」(少年マガジン:高森朝雄・ちばてつや)は不朽の傑作です。女性には理解しにくいであろう戦う男たちが活写されています。主人…

サン=テグジュペリの「夜間飛行」:男臭い世界

「星の王子様」で名高いサン=テグジュペリ( Antoine de Saint‐Exup´ery)。「夜間飛行」という作品もあるのは知っていましたが、この作品については同名の香水があるように、女性向けの作品かと思っていました。ところで、同僚の女性に「弟子(中島敦)」…

ランチェスターの法則(戦争法則)で恋愛を語れるか?

世に「法則」とつく、社会科学上の定理は多いですが、この「ランチェスターの法則」は、戦争上の定理として有名です。どんなものかというと、「はてなキーワード」から ランチェスターの法則は、英国のフレデリック・ウィリアム・ランチェスターが第一次大戦…

川合玉堂:私にとっては忘れられない名を持つ日本画家

私の青春時代、そう20代早々、お互いに「恋人」と認識しあいつつあった女性と、詩人である山尾三省さんを囲む一団で、東京都青梅市の御嶽山にハイキングに行ったことがあります。そのとき注目した施設に2つあり、一つは清酒・澤乃井(さわのい)の小澤醸…

マクロ経済学と計量経済学:宇沢弘文氏に捧ぐ

2014年9月、日本の誇る経済学者・宇沢弘文さんがお亡くなりになりました。「国民の幸福」というものを正しく理解された方だと愚考します。もとは東大理学部数学科で学び、研究室に残れ、と言われましたが、国民のための研究はできないか、と経済学の分…

月と精神の危機〜♪ドッペルゲンゲルと♪月に憑かれたピエロ

表題の2曲は、前者がオーストリアのシューベルト、後者もオーストリアのシェーンベルクが作曲した作品です。どちらの曲でも「月」が言わば「冷酷」な表情を見せる点で共通しています。 オーストリアでも使われるドイツ語では、おおかたの国に反し、太陽を女…

ドリフターズとHELLSING :平野耕太の2作品

「ドリフターズ」と「HELLSING」を貸してもらって読んだり観たりする機会がありましたので、ちょっと思いつくことを書こうと思います。(どちらの作品も、始めの部分だけ観たので、全体を俯瞰したわけではありません。その程度の印象を語ったものであると、…

韓流ドラマの深層〜「歴史」好きな韓国人

私は、韓流ドラマがどんなものか、噂には聞いていますが、日本での韓流ドラマの流行の引き金になった「冬のソナタ」も、歴史物として名高い「チャングムの誓い」も観たことがありません。それなのに、これらテレビドラマに通低する特徴が見えますので、この…

ウミショウブ、アオミドロ、人間:SEXの逸楽は似ている

有性生殖をする動植物には、もちろん雄(♂)と雌(♀)が必要不可欠ですが、その理由は、環境の変化に対応するため、遺伝子をかき混ぜる(シャッフルする)ことにあるようです。このブログでは、表題の3つの生き物について、そのSEXの有様について記述してみ…