虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

私の文章修業:環境問題とPOPと

私の文章修業:環境問題とPOPと


私は、現在「環境問題研究家、詩人、エッセイスト」と名乗っていますが、そう自称するルーツは、大学生時代にありました。東京大学工学部都市工学科・衛生コースに専門が決まり、研究室に入るまでの2年弱、都市工学科助手の宇井純さんが主宰する「自主講座」、そのうちの1つ「グループ水」で、宇井さんとはテーマが被るけれども、彼とは少々距離を置き、水問題を中心にして講座を開いていました。そこで呼んでくる講師は、東大関係者は少なく、他大学の人や社会的運動の実践者が多くいました。東京大学で詰まらぬ授業を展開する教授たちではなく、在野でも、水を始めとする環境問題にすばらしい取り組みをしている人たちを招いた・・・つまり、自分たちが聞きたい講義を志向していたのです。


その「グループ水」ですが、メンバーは、紅一点の女性も含め、全員理科系の学生でした。(東大生は私だけ)色色な個性がぶつかり、火花散る、おもしろいメンバーたちでした。開設時には文科系の学生もいましたが、メンバーは理科系好みに収斂されていったようでした。中には、宇井さんから独立して優れた視点で、講座を考える切れ者もおり、私は彼と二人三脚を組み、講座運営の実質的な事務を請け負ったという感じでした。広告でいうPOPも担当したと言ったところでしょうか。初期のころのビラ(手配り文書)の文面に、以下のようなものがあります。



@1月18日(月)「死の手賀沼から――合成洗剤と水問題」
  合成洗剤は、これまで直接的な身体への影響(オムツかぶれ、ハゲる、など)としては問題にされたが、上水に混入して日常的に我々を侵す側面については議論されてこなかった。手賀沼を生活の場として合成洗剤追放運動を推進しているグループ、その代表の三ツ松氏に聴く。

講師 三ツ松要氏 「手賀沼を守ろう!合成洗剤追放市民会議」代表
 Text 「死の手賀沼から」 崙書房 \780



@3月15日(月)「水道の水はドブの水」
  夏――プール――カルキの臭い、私たちは毎日、カルキを飲んでいる。生き物である細菌を殺すための塩素殺菌、それはもっと強い発ガン性物質トリハロメタンを発生させている。

講師:山田國廣(くにひろ)氏  肩書きは大阪大学工学部助手「大阪水問題を考える会」代表
 Text 「水道の水は飲んではいけない」 青春出版社 \650

(会場、聴講料などの情報は省略)



特に、私にとって勉強になったのが以下のPOPです。


4月16日(土)「槌田劭・生活を築く/水と暮らし―使い捨て時代を考える」
 京大工学部助教授だった人が、工業社会の前途に見きわめをつけ、大学を辞し、廃品回収のリアカー引きとなる。現在彼、槌田劭(つちだ・たかし)さんは、農夫です。彼の話に耳を傾けましょう。

講師:槌田劭氏 京都精華大学教授 「京都・使い捨て時代を考える会」会員
 Text 「共生の時代」 樹心社

このPOPに決める際、自主講座の部屋にいた、市民運動家の人に文面を見てもらい、大切なアドバイスをもらいました。元稿では「京大工学部助教授にまでなった人が」と書いたのですが、「このような書き方をすると、あなたの心の内が、読んだ人に見透かされてしまうよ」と言われました。「なるほど、そんな辺りに気を配らなければならないのか」と、舌打ちしたものです。


また、「生ゴミは川へ」という文句を考えたとき、この「生ゴミは」の「は」は、「生ゴミを川に流すことを推奨しているように取られないか?」との意見が出てきて、なるほど、ということで「生ゴミが川へ」と変更しました。



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ここに掲載する新聞記事は、「グループ水」の活動が毎日新聞に取り上げられて、節水運動について、マスコミに取り上げられる機会が作れた、という実例です。1983年2月26日の紙面です。講座のテーマは「節水はご縁(5円)に向けて」で、もちろん私のPOPです。



今日のひと言:小説家になりたくて文章修業をする人も多いと思いますが、私はあくまで社会運動をするために文章を磨いたとも言えます。そこでも、伝えたい情報を、コンパクトに、相手の心に届くように尽力しなければならないことが言えるのですね。私のPOPを読んだある人が、こんなに刺激的で・怖い文句を考えられるなんて、会ってみたいものだ」と言っていたと聞きました。これらの作業をすることは、私にとって、文章修行上大変勉強になりました。






今日の一品


@ズッキーニとツユクサの炒めもの・ナツメグ風味


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ツユクサ(下に生えているのはカタバミ。)


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ツユクサは、梅雨時育つので有名ですが、これは食用野草です。普通にお浸しにすると山東菜のような食味です。今回はこれとズッキーニを合わせました。彩りにクコの実。なお、ナンプラー(タイの魚醤)を使いましたので、臭いを消すためナツメグを振りました。

 (2021.06.17)



@切り干し大根とキクラゲの炒めもの


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保存食の切り干し大根と木耳(キクラゲ)がメインの炒めもの。(なんか、最近よく作るような・・・)切り干し大根は10分くらい水に晒し、油揚げの油抜きをし、生キクラゲ(群馬県産)を一口大くらいに切りそろえ、クコの実を水に晒します。鍋にごま油を敷き、キクラゲ、大根の順に入れ、醤油・蜂蜜を加えてさらに炒め、油揚げ、クコの実を入れ、さいごに山椒を加えて火から降ろす。醤油控えめ。

 (2021.06.21)



バイアムのゴマよごし


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幹ごと切り取ったあとのバイアム



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バイアムは、東南アジアが原産で、ジャワホウレンソウとも呼ばれます。かなり栄養価が高いようです。茹でて15分くらい水で晒し、スリごま、塩でシンプルに味付けしました。

(2021.06.22)



オールブラン(シリアル)ナスタチウム添え


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いつものシリアルに、ハーブ:ナスタチウムを入れてみました。ワサビなど(アブラナ科)とは科が違いますが(ノウゼンカズラ科)、ピリッとした風味が魅力です。知らなければ、ワサビと間違えます。

 (2021.06.24)







今日の詩


@犬と果樹園


この更地、以前は愛犬家が
維持し、夏みかんなどを栽培していた。
彼は2頭の犬を飼っていて、
「犬煩悩」だった。


だが一頭死に、さらに残された一頭も
死んだあと、彼は果樹園の世話をしなくなった。
自慢の夏みかんも、もぐ者がいなく
農地は草ぼうぼうになった。


そうこうしているうちに、果樹園の樹は
伐採されて今の更地になった。
多分、彼は犬たちの後を追うように
死んだのだろう。


人間嫌いだった彼にとっては
犬と果樹のみが友だちだったのだろう。
私も犬や猫が嫌いではないが、
そこまで「愛する」ことはできない。


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 (2021.06.22)






今日の一首


蹴れば即
川に落ちたる
石ころや


我この者の
定め変えぬる



「石ころ」は何事かの喩えにも取れるでしょう?

  (2021.06.24)







今日の三句


花壇から
飛び出し咲くや
ヒメジオン


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ヒメジオンやハルジオンは、観賞用に北米から導入された植物(キク科)。いまでは野生化しています。そして、食べられます。

 (2021.06.18)



スグリーン
我の色なり
コケの言う


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スグリーン(moss green)は、コケの持つ美しい色。

 (2021.06.20)



ヤブガラシ
蜜の絨毯(じゅうたん)
敷き詰めて


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虫がたくさん集まります。

 (2021.06.22)






今日の写真


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アザミの花。幼・成・老3種の状態で仲良く。(2021.06.25)







☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログをやっています。☆☆


“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”


 https://iirei.hatenadiary.com/




ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログ文も付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。