虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

土木系だが測量の授業を取らなかった私:それからどうした?

土木系だが測量の授業を取らなかった私:それからどうした?


私が専門とした東京大学工学部都市工学科・衛生コース(現:環境科学コース)は、本来土木工学科(現:都市基盤工学科)の一分野だったので、測量の授業は、必須ではなくても、履修は推奨されていました。


ところが、私の場合、自主講座を主催していた宇井純さん(当時衛生コース助手)の影響で、「こんな環境破壊の手助けになるような学問、絶対取るもんか」、と思い、実際履修しませんでした。


そのころは、専門が決まるまでたいそう勉強したフランス語も捨ててしまいました。でも、今考えると、測量にせよ、語学にせよ、自分が考えていたことと違う一面も持つのでしょうから、あれこれ選ばずに取っているほうが将来、活動の範囲を広げることになるのでしょう。宇井純さんの場合、フルブライト留学(日本人のかなり優秀な研究者が、アメリカに招かれ、研究することを保証する制度)をした彼、英語は堪能で、国際会議などに出席した場合、「Jun Ui」と発音が印象的で、覚えてもらいやすかった、と言っていました。


なぜ、語学(特にフランス語)を捨てたかと言えば、私の「呪わしき」青春にサヨナラを告げたかったからです。まだ将来のことをまともに考えず、漠然と文科系で喰っていく、という考えの元、マンガを描き、劇団で演じる(劇団はすぐにやめましたが:セリフを覚えられなかったので、・・・トホホ。)、そしてフランス文明について研究する・・・その道を、自ら断ち切り、世の中と切り結べる「手段、武器」を欲したのだと思います。


もっとも、そのドラスティックな変化は、それを選択した私に、重くのしかかってきました。ひとつには、果たしてこの選択で良かったのかと悩み(何と言っても、フランス文学を専攻したり、数学科で未解決問題について考えたりすることに比べ、汚いおしっこ、うんこを扱う分野だったから)、学生専用のカウンセリングも受けたのです。何回か通い、「この悩みは、自分の甘えに過ぎない」とカウンセラーとの対話中に気付き、あっけにとられたカウンセラーを残し、相談室から去りました。


もうひとつは、マンガクラブにいたとき、恋仲になった女性との軋轢です。彼女に断りもせずにクラブを辞めた私、彼女にも青天の霹靂で、彼女は自殺を試みたと、再会したときに告げられました。(私もタバコの火を手の甲に押し付けるなどの自傷行為をしていた、と打明けあったのです。) でも、私が専門に得心して、さらに環境問題の市民運動家になってしまっていた、彼女はそれに同意しませんでした。


最後に某喫茶店で、「3人でデートして」、その時、彼女は数学科の学生の男性も連れてきていて、「この人が、私の自殺を止めてくれたのよ」と私に告げ、私が何を言っても聞く耳持たなかったので、私は席を立ち、「解った、俺の話を聞く気はないのだな、じゃ、終わりだ。その人とお幸せにやるんだな。・・・男を舐めるな!」と言って別れました。彼女はマンガクラブに男漁りに来ていて、「(私のことを)自分に一番合う男にやっと出会ったのに、(その手段がSEXで相性を確かめることだったので)そのせいで嫌われるなんて・・・」とクラブの部誌に書いていました。彼女とは終わったのです。でも、彼女はこうも書いていました:「ばっさり切られたのに、痛くはない、この気持ち、どうなんだろう?」と。


迷走に迷走の私の青春でした。



今日のひと言:私は後年、群馬の山中で暮らし、遺跡の発掘調査のアルバイトをして、地層をちょっとづつ掘っていき、出てきた土器などの埋没状況を、水準器を繰り、方眼紙に記録する係、測量士の仕事を覚えました。なんと、学生の時には意識的に避けていた仕事をしていたのです。


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でも、その調査は、関越自動車道(高速道路)のインターチェンジ建設に先立って「申し訳のために」行われたものであり、開発につながる、やはり破壊のための調査であり、結局私は環境破壊の片棒を担いだ形になったのです。




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発掘調査のてびき 各種遺跡調査編

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今日の一品


ニジマスのディル焼き



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ニジマスの腹を裂き、ディル(ハーブの一種、セリ科で魚料理やピクルスに向く)を詰め込み、塩を振って1時間、オーブントースターで180℃、20分。それなりに香味が効きました。

 (2021.05.05)



@舞茸炊き込みご飯


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スーパーで、舞茸2パックを1パック分の値段で売っていたので、迷わずゲット。私はキノコ栽培・販売会社で働いたことがあったので、このキノコも栽培していたことがあります。味噌汁の具としてはシイタケ、ナメコなどには及ばぬ気がしますが、炊き込みご飯や炒め物ではよく持ち味を出すように思います。

 (2021.05.06)



フダンソウのお浸し煮干しの粉風


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フダンソウは夏ホウレンソウとも呼ばれ、周年採れる重宝な野菜。煮干し粉と醤油で和えました。甘い味が魅力です。

 (2021.05.10)



@大根スプラウトとナメコのマヨネーズ和え



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スプラウトは自家製。ナメコは石づきの部分を捨て、軽く茹で、ほぐしたデーツをアクセントにし、マヨネーズ+塩で和えました。

 (2021.05.11)






今日の五句


ベッチ咲き
蜜蜂詣で(もうで)
大挙して


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除草用の植物、ヘアリーベッチは、蜜源植物でもあります。写真、左上に辛うじて写っているのが蜜蜂。

 (2021.05.04)



しろくろの
フォーカスされても
逃げぬ猫


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 (2021.05.05)



薄緑
命燃え立つ
柿の樹や


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遠くからもそれと解る新緑。隣は柑橘類。

 (2021.05.05)



今年また
生えいずるかな
お邪魔草


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アメリカセンダングサ。なにかの役には立たず、秋の種が強く衣服や犬の被毛にくっつき、忌々しい草ですが、芽生えは可愛い。

 (2021.05.06)



相並び
パンジー・スギナ
合唱す


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 (2021.05.09)







今日の写真集


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ピラカンサ:雪のように白妙の花。(2021.05.08)


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朝顔の骨格(2021.05.09)


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ヘラオオバコ:オオバコの仲間の帰化植物。(2021.05.11)







☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログをやっています。☆☆


“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”


 https://iirei.hatenadiary.com/


ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログ文も付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。