労働者の視点では環境保護はできない+FIP導入の愚(随想録―11)
労働者の視点では環境保護はできない
水俣病の闘争史において、被害漁民らをもっとも圧迫したのは、チッソ経営陣でもなく、厚生省でもなく、チッソ労働者だった。それはもちろん「生活が懸かっていた」からだ。現在でも、経営陣と労働組合の労使交渉の最大の眼目は「賃上げ」であり、環境保護ではない。
この点、大いに環境汚染が進む中国のような共産主義の国でも、資本主義の国でもあまり変わりはないように思える。掛けがえのない環境、環境問題を解決できるのはこれまでの社会の枠組ではないことは明らかだ。だが、私は社会科学については疎い。資本主義がこの問題に対して、どれほどのことが出来るか、よくは解っていないのが現状だ。
まあ、私はともかく、グレタ・ツゥーンベリさん(環境運動家:スウェーデン出身)という若い女性は、どのようなソリューションを考えているのだろう。「大人は、お金のことしか考えていない」という主張は強烈ではある。排ガスの権利売買という発想は、確かに小手先の対策であって、排ガス総量を抑えることはできないだろう。
(2022.03.31)
FIP導入の愚
2022年4月から、経産省の肝入りで「FIP」制度が始まった。Feed In Premium(フィードインプレミアム)の略称で、NHKが報じていた。以下のようだ。
FIT制度は買取期間中は予め決まっている固定価格で必ず電力会社が買い取る制度ですが、FIP制度は卸電力取引市場や相対取引で再エネを市場に供給した際に、一定の補助(プレミアム)が交付される制度です。売電金額に補助額(プレミアム)をプラスした金額が収入となります。
https://blog.eco-megane.jp/fip/
電力会社にオマケの金銭を上げる、というのだが、出元が経産省では、疑う気持ちが起こる。NHKの放送では、「自由競争を促進させる」とあったが、これは日本を貧乏国になりはてさせた経済学の「新自由主義」のキャッチ・フレーズだ。新自由主義の走狗である国賊:竹中平蔵の高笑いが聞こえてくる。ちょっと考えれば、自由競争を勝ち抜くのは経済的強者だけであることが解るだろう。弱者は敗残して、事業を畳むことになり、社会的格差は広がるのに。(ちなみに、昨年の衆議員選挙で、躍進した「維新」も、新自由主義的言辞を弄して勢力拡大した。日本人には、学習能力がないのか。)
(2022.04.01)
今日の5句
汲み上げ機
現役のころに
想い馳せ
錆びていい味出しています。
(2022.03.26)
まっ黄色
目立つ垣根の
連翹(レンギョウ)か
(2022.03.26)
アブラナを
道々摘まみ
歩きけり
私は春先、川沿いのアブラナのツボミを摘み、そのまま食べます。苦さと辛さが同居し、乙な味です。
(022.03.27)
辛夷(コブシ)咲く
短い命は
だれのため
(2022.03.27)
捨てられた
怨みの募る
祠(ほこら)かな
(2022.03.29)