虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2013-01-01から1年間の記事一覧

日本の世界史的役割

極東の小さな国、日本が世界史上に果たしてきた役割について考えてみます。まずは日本は国家建設当初から、中国大陸・朝鮮半島と抜き差しならない関係がありました。白村江の戦い(はくすきのえのたたかい:663年)に敗れ、朝鮮半島に根城を失うあたりか…

週刊少年ジャンプ・歴代作品の番付

最近は、マンガ自体をあんまり読まなくなりましたが、各週刊少年誌には大きく影響を受けましたので、なかでももっとも読んだジャンプの作品を、相撲のように番付してみようと思います。選定の基準はいかに私が興味深く読んだか、ですが、新しい年代の作品は…

新島襄の気概〜同志社大学の設立

教育特集その2(2回シリーズ・結) 新島襄(にいじま・じょう:1843−1890)と言えば、日本で早い時期に大学を設立した人として有名ですが、46歳で亡くなるまで、教育者とキリスト教の伝道師、文明批評家として世に警醒を行った人です。じつに早…

東大闘争と原発事故(書評)〜みごとな起承転結

教育特集その1(2回シリーズ・その1) 以前、私の先輩・・・東京大学工学部都市工学科の先輩、明治学院大学教授の熊本一規さんとお互いの著作を献呈しあったことを書きましたが、私が2冊差し上げたことに鑑み、先方ももう一冊本を贈呈してくださいました…

出家とその弟子(倉田百三)〜〜感想文

「浄土真宗」特集その2(全2回・結) 「出家とその弟子」と言えば倉田百三、倉田百三と言えば「出家とその弟子」と来るほど有名な作家・作品ですが、今日、さほど読まれてないのではないでしょうか?第一、私にしたところで、岩波文庫のこの一冊を手に取る…

浄土宗・浄土真宗とキリスト教

「浄土真宗」特集その1(全2回) 私はなにかの宗教を信仰していませんが(「老荘思想」を宗教と呼べるならそれ)、仏教でいうなら、浄土宗系の浄土宗とか浄土真宗、ないし禅宗系の臨済宗には興味があります。禅宗についてはこれまでもエントリーしてきまし…

ハイネの詩〜抒情詩の達人

私は以前、「ドイツの詩」と銘打ち、1ブログを書いたことがありますが、 :http://d.hatena.ne.jp/iirei/20071201リルケやハイネについては取り上げませんでした。むしろそれだけこの2人の詩人には語るべきものがあるから、でしたが、今回はハイネを取り上…

半島で囲まれた地域に英雄が生まれる

今回のブログは、一種の戯言(ざれごと)です。笑い飛ばして下さい。表題の「半島」という言葉については、「岬」である場合も含むとします。 思いつくままに例を挙げると、三浦半島と伊豆半島に囲まれた水域(相模湾)で覇を唱えた源頼朝。知多半島と渥美半…

ルドンと私(「黒」の魅力)

(id:honmado)さんのブログで紹介されていたルドン、http://d.hatena.ne.jp/honmado/20130611 :コラージュ 懐かしいので、図書館で一冊借りてきました。(もっと知りたいルドン 生涯と作品:山本敦子・著:東京美術)思えば、東京大学理科一類に入学した私…

水上勉の「海の牙」〜社会派推理小説・水俣病

「海の牙」は、熊本県水俣湾で発生した水俣病をテーマに書いた中篇推理小説です。この作品、まだ学会では水俣病の原因が不明確だった時、原因は「水銀」であるという主張をしています。(作品中では、原因は「メチル水銀」であるという確定した定説はまだ出…

おもろさうし〜〜沖縄の神歌

2012年11月末、読売新聞にある方の訃報が載っていました。その人は「外間守善:ほかましゅぜん」さんで、「おもろさうし」の研究を大成した人でした。「おもろ」というのは、日本でいう「和歌」に相当するでしょう。 その「おもろさうし」について、wi…

宮崎アニメと井上あずみ

井上あずみ特集 その2 私は、一連の宮崎駿アニメ作品で、主題歌を歌った井上あずみさんの大ファンでした。何と言っても、彼女の声の透明感・清潔感に惹かれました。そこで彼女にまつわる事柄のブログを立てます。 Wikiから・・・井上 あずみ(いのうえ あず…

ビタミンF(重松清)と家政学

重松清の「ビタミンF」は、2001年下半期の直木賞受賞作の7編の短編を集めた本です。彼は1963年生まれですから、受賞当時37歳だったことになります。実際、ビタミンFの収録作品は、当時の彼のような、アラフォー男性がテーマになります。 隣家の不…

山に向かうように道は出来る?

今回ブログは、私の思いつき、ないし憶測に過ぎないものですが、案外ありそうなので幾つかの例を挙げ、簡単に考察してみます。 群馬県太田市から伊勢崎市に向う途中、「浅間山:あさまやま」が正面に見えます。あたかも、浅間山に向っているようです。 また…

「のぼうの城」〜人の和

兼ねてから見たかった映画が、DVDに載って、レンタルショップで借りられました。その作品は「のぼうの城」、戦国時代(安土桃山時代)を背景にした史劇です。 のぼうの城:http://twinavi.jp/interview/mansainomura この作品の主役・成田長親(なりた・…

画家・中村彝(つね)と詩人・エロシェンコ

中村彝・・・この難しい漢字を名称に使う画家は、しかし、私のこころの琴線にふれる作品はあまり描いていません。全体的にくすんだ感じの油絵で、印象に残らないのです。ただ、「エロシェンコ氏の肖像」については、一目置きます。 「エロシェンコ氏の像」(…

北原白秋〜〜詩歌の達人

白秋(wiki)→ 時は逝く 時は逝く、赤き蒸汽の船腹の過ぎゆくごとく、 穀倉の夕日のほめき、 黒猫の美しき耳鳴のごと、 時は逝く、何時しらず、柔らかに陰影してぞ ゆく。 時は逝く、赤き蒸汽の船腹の過ぎゆくごとく。 (「思ひ出」より) この詩は、私が大…

北原白秋〜〜詩歌の達人

イスラエルとは何か(書評)

この本は、ソ連出身の化学者・歴史学者であるヤコブ・M・ラブキン教授が書いたイスラエルという国の矛盾を突いたものです。主張はただ一つ、シオニスト(シオニズム)とユダヤ教信仰は相容れないということ。 シオニストとは、亡国の国民になって世界中に散…

「エヴァンゲリオン」と「越前竹人形」は似ている

綾波レイ→http://listen.jp/store/musicnews_27012_2.htm 「新世紀エヴァンゲリオン」は、ご存知のアニメ作品、「越前竹人形」は水上勉の小説です。悲しいお話であるのは両者共通に思えますが、深い深層においても共通性があるかと考えました。今回ブログで…

「エヴァンゲリオン」と「越前竹人形」は似ている

老子・各章解題〜〜その3(最終回)

中国の古典・「老子」は短い文章の断章・81章(5000余言)からなる全体も短い文献ですが、その意味するところは非常に深いです。これから、3回に分けて、各章のキーワード、要諦を挙げてみようと思います。@1=1章と言う具合に表記します。81÷3…

マンガも31通りに分類できる?

筒井康隆さんの「文学部唯野教授」は、まっとうな文学理論と、エゴ丸出しの大学社会のドタバタを平行して書き綴った面白い本ですが(1990年・岩波書店)、この中に、文芸批評の1分類として、第8講「構造主義」があり、1928年、ロシア・フォルマリ…

老子・各章解題〜〜その2

中国の古典・「老子」は短い文章の断章・81章(5000余言)からなる全体も短い文献ですが、その意味するところは非常に深いです。これから、3回に分けて、各章のキーワード、要諦を挙げてみようと思います。@1=1章と言う具合に表記します。81÷3…

「けいおん!」はどこが面白い?

はてなブログの注目書籍でよく取り上げられている「けいおん!」、どんなものかと入手してみました。とりあえず1巻を。定価860円。「けいおん」とは「軽音楽」の略称でしょう、私はジャズやロックをクラシックに比べて「軽い」ことはないと思うのですが…

老子・各章解題〜〜その1

中国の古典・「老子」は短い文章の断章・81章(5000余言)からなる全体も短い文献ですが、その意味するところは非常に深いです。これから、3回に分けて、各章のキーワード、要諦を挙げてみようと思います。@1=1章と言う具合に表記します。81÷3…

ナスと量子力学〜幼児の会話から

☆ 隣の保育園の“つぶやき集”から 子供たちがなすの話をしていて 「なすの色ってむらさきやね」 「うん。でも中は白ねんよ」 「なんで中だけ白なんかね?」 「きっと包丁で切られるときに、びっくりしてしまうんじゃない!」 (4歳児) 私:>「きっと包丁で…

白川静VS藤堂明保:漢字の語源を巡って

私は漢字の語源を知るのが好きで、その種の本を読んだり、通信教育で学習したこともあります。その中で、極めて読みにくく、途中で読むのを止めた本が白川静さんの著作でした。一方、めちゃめちゃ面白く読み終わったのが藤堂明保さんの「女へんの漢字」でし…

ウィーン少年合唱団とカストラート

歌曲「野ばら」といえば、シューベルトの作曲作品にせよ、ウェルナーの作曲作品にせよ、歌うのはウィーン少年合唱団が随一です。ちょっとこの合唱団の周辺を調べてみました。 野ばら(ウェルナー作曲) 野ばら(シューベルト作曲) ウィーン少年合唱団(Wien…

「見せる」詩〜山村暮鳥とアポリネール

風景 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな かすかなるむぎぶえ いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめ…