虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2010-01-01から1年間の記事一覧

ウサギは慈悲心を持つ菩薩(ぼさつ)だ・・・ピーターラビットの耳

仏教説話集ジャータカに綴られた献身ウサギの運命は? むかしむかし、インドにサルとキツネとウサギが仲良く暮らしていた。ある日三匹は、やつれて倒れている老人に出逢った。三匹は老人を助けようと考え、サルは得意の木登りで木の実や果物を集め、キツネは…

絵画への冒涜(ぼうとく)・・・クラナッハの絵から

私は、ルーカス・クラナッハ(クラーナハ)の絵に興味を持ち、図書館で借りたり、館内閲覧をしたりで、決して多くは残されていないクラナッハの絵を見てみました。 ベルトルト・ヒンツ著、Parco美術新書を借りました。図版は全て白黒で、ちょっとがっかりし…

アイディアマン・K氏=自主講座時代の盟友

私は大学生時代、宇井純氏が総括する公害問題をテーマにした運動・自主講座のひとつ、「グループ水」というのに参加していました。どのメンバーも一筋縄では捉えきれない人たちでした。その中でも、特に思い出深い人物について語ろうかと思います。 そのK氏…

かわいらしい・ちり紙交換のおじさん

土、日曜になると、「まいどお馴染み・・・**のちり紙交換でございます・・・」とのナレーションとともに現れるちり紙交換のおじさんたち。おばさんが来たことはありませんね。男性向きの仕事なのでしょうか? わたしの地域には4社ほど出没しますが、その…

風魔の小次郎・聖剣戦争篇

原作者の車田正美さんの出世作は「リングにかけろ」(週刊少年ジャンプ)でしたが、最初のうちは普通のボクシングマンガであったのが、必殺技がじゃかじゃか飛び出すトンデモなマンガに変貌し、その技の原理も最初のうちは説明されていたのですが、「ギャラ…

ウェブはバカと暇人のもの(書評)

中川淳一郎の作品。フルネームは「ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言」(2009年4月:光文社新書)。でも、この種の本は過大な表題をつけることが多く、この本もその例に漏れず、「ウェブ上のマーケティング論」というあたりが妥当では…

戦略的互恵関係とは、何なの?

Wikipediaによると、以下のように書いてあります。(2010.10.30現在) 戦略的互恵関係(せんりゃくてきごけいかんけい)とは、外務省の説明によると、「日中両国がアジア及び世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下、アジア及び世界に共に貢献…

戦争詩人・ウィルフレッド・オーウェン

「私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。詩はその悲しみの中にある。詩人の為しうる全てとは、警告を与えることにある」。 (中略) 詩を書いたオーウェンは25歳で亡くなりました。「オーウェンは一滴の涙もこぼさずに、この戦争のあわれさを見つめた…

北枕 むっくり起きれば 王者さま

この句(↑)は、季語がないので俳句ではありません。むしろ川柳に近いですが、川柳ほど軽薄ではありません。 いわば分類不能な詩です。これは2007年くらいに書いた詩です。そもそも、「北マクラ」は縁起が悪いとか・人が亡くなったときにのみ頭を向かわ…

今村紫紅:もう一つの風神雷神図屏風

俵屋宗達の風神図→ 下に掲載したのは、夭折した明治期の画家・今村紫紅(いまむら・しこう)の作品で、琳派、なかでも「風神雷神図屏風」(国宝)を描いた俵屋宗達(たわらやそうたつ)に私淑していた今村の、同じテーマで描かれた「もうひとつの風神雷神図…

今村紫紅:もう一つの風神雷神図屏風

私が出会った3つの大きな人格:サカキナナオ氏:槌田劭氏:丹下哲夫氏

私がこれまで出会った巨大な人格を持つ方々を紹介します。 サカキナナオ氏(ナナオサカキ氏)は、全世界を自分の庭であると心得ていた大詩人です。いわゆる「ヒッピー」運動のリーダーでした(もっとも、ヒッピーの人たちは「部族」と自称していましたが)。…

私がこの世で出合ったサイテーの男(散文詩)

かれこれ20数年前、私はH県西部の山間地で山暮らしをしていました。そこは山深く、林業が主要産業でした。当時30軒くらいの小さな集落でした。(今は「限界集落」で、住んでいるひとはいないでしょう。)私は、「都市と地方の諸問題」を考える会・・・…

私がこの世で出会った最大のバカ(散文詩)

・ ・・「それは、私自身だ」という月並でありふれた言葉を吐く気にはなりません。確かにその言葉がよく似合う人物がいる(いた)のです。 私にとっては、1年3ヶ月という長期に渡って勤めた「キノコ栽培・販売会社」・・・Uキノコセンターと呼んでおきま…

私がこの世で出会った・最大のバカ/サイテーの男

(人を非難するブログを2つ作ったのですが、気が滅入るので2本を一つにし、次回に人を褒めるブログをエントリーします。)**ツイッターに加入しました。URLは以下。** http://twitter.com/morishitarei/

危険な人工甘味料・・・チクロからスクラロースまで

私は以前、人工甘味料スクラロースについてとり上げましたが、 http://d.hatena.ne.jp/iirei/20091207:Slat(スラット):人工甘味料の落とし穴(スクラロース) 私のブログに、これを含む飲料を飲んだら、下痢になった、という書き込みがありました。…

ホメオパシーはほんとに効くか?

「ホメオパシー:homeopathy」ないし「同毒療法」という言葉をご存知でしょうか? 私は以前、拙著「災害の芽を摘む」で紹介していますが、ここにその文章を挙げてみようと思います。(私は、広く「毒物の効用」と言う意味で、その話のマクラとしてホメオパシ…

凌霄(のうぜん)と名のつく2つの植物 

この夏、私の、散歩からの帰り道、オレンジ色の目立つ花が目についたので、その花の写生をしているその家の主であろう人に、「この花はなんていうんですか」?と聞いたところ、「ノウゼンカズラ」だよ、と答えてくれたので、家に帰ってからPCでググって見た…

「だめんず」と倉田真由美(くらたまゆみ/くらたま)

いつか雑誌で、「俺は経済学部にいるけど、医者になるので就職活動はしないんだよ」と彼が言っていると、信じて疑わない女性のお話に、大笑いしたことがあります。これが倉田真由美(くらたま)さんの「だめんずうぉ〜か〜」について知ったきっかけです。 倉…

雲南百薬・今年最後の収穫

今年、「サカタのタネ」から購入した「雲南百薬」、「つるむらさき」の仲間です。「つるむらさき」と同じく、ヌメリのある野菜で、別名「オカワカメ」。確かに茹でて20分ほど晒し(シュウ酸を除くため)、カツオブシ、胡麻油、醤油で和えると(これは、私…

「日本人はなぜ日本を愛せないのか」:鈴木孝夫・新潮選書(書評)

日本人にとって、海のむこうからやってくるものは「いいものだ」という抜きがたい先入観を疑うことから、この本は始まります。 日本人が自分のものについて、欧米諸国にくらべて劣っていると思われる物事には2つの大きな側面があり 1)日本語は欠陥言語で…

徳川家康の魅力・・・歴女に知って欲しいこと

徳川家康の魅力・・・歴女に知って欲しいこと 下に掲げた絵は、徳川家康(1542−1616)を描いた絵のひとつで、「しかみ像」といいます。なんだか「歯痛」に耐えているような姿ですが、それもそのはず、家康がまだ若く、織田信長(1534−1582)…

私の嫌いな曲ワースト1

それは小坂明子の「あなた」です。この曲は1974年(私の中学時代)、ヒットチャート首位を7週連続キープした、メロディーはこの上なく素敵で堂々たる「名曲」ですが、その歌詞に異議あり、なのです。 ♪小犬の横には あなたがいてほしい この歌詞のなか…

私のブログの特徴・・・「物」と「関係性」

私は、大学時代、マンガクラブにいたことがあり、4編の変わったマンガを描きました。 一つ目はテーマが「刺青(いれずみ)」、二つ目は「金太郎飴」、三つ目は「ねじ、鯨、宇宙船(三題噺:さんだいばなし=3つのテーマを含む話)、四つ目が「バット、風船…

「とめはねっ!」に見る現代・・・書道と青春

*「とめはねっ!」に見る現代・・・書道と青春 最近、メディアにおいて、日本の伝統的な習い事、たとえば「百人一首カルタ」や「書道」をモチーフにした作品が目立ちます。たとえばNHKが今年2010年の新年の企画番組として放映していた「咲くやこの花…

ユダヤ人が迫害された理由

まず、何をもって「ユダヤ人」と呼ぶか、について。 ユダヤ人(ヘブライ語: יהודים, 英語: Jew)とは、ユダヤ教を信仰する者(宗教集団)、あるいはユダヤ人を親にもつ者(民族集団)という2つの捉え方がある。中世以前は前者の捉え方がなされていたが、19世…

陰謀渦巻く朝鮮戦争

「キム・ソンジュ」という朝鮮人をご存知でしょうか?韓流スターではありませんよ。第二次世界大戦のころ、ソ連(現・ロシア)の大尉をやっていたひとで、彼はソ連軍に祭り上げられ、朝鮮のひとたちの架空の伝説の「百戦百勝の霊将」・金日成(キム・イルソン…

土を喰う日々(書評)・・・水上勉の「食」エッセイ

*土を喰う日々(書評)・・・水上勉の「食」エッセイ 水上勉(みずかみ・つとむ:1919−2004)氏は、先般亡くなられましたが、彼は「食に関する」優れた著作を物しています。それが「土を喰う日々 わが精進十二ヶ月」です。(「みなかみ・つとむ」と…

ハゼランのソネット

さる人の家の路面上の塀沿いに咲いていた草花。 その可憐な姿が忘れられずに写真を撮りに行った昼。 開花していなかった。・・・そこでこの家の旦那さんに 名前を聞いたところ「ホステス草」というのだと答えてくれた。 なんでも午後3時くらいから数時間だ…

ビアスと「悪魔の辞典」

警句・箴言(しんげん:戒めの言葉)特集その4(完) アンブローズ・ビアス(ビアース):Ambrose Bierce:1842−1914?はアメリカのジャーナリスト・小説家。日本へは芥川龍之介によって紹介されましたが、芥川に「侏儒の言葉(しゅじゅのことば)…