虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

仏教

「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86)

「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86) 中国・唐代の禅僧:潙山霊佑(いざん・れいゆう)は、「言葉」を精密に用いて人を導くプロフェッショナルな禅僧だったが、たまには人を突き放して導くことがあった。潙山の師は…

素人の怖さ:マルクスと空海を評価すると(随想録―27)

素人の怖さ:マルクスと空海を評価すると(随想録―27) むかし、評論家の呉智英(くれ・ともふさ)さんが書いていましたが、左翼系の論客:吉本隆明さんは、ほかの左翼系論客を論破しまくったと。呉さんが書くに、吉本さんは、マルクス主義の「神学的体系…

老子第1章と仏典(特に般若心経)+ラスコリニコフ(随想録―14)

老子第1章と仏典(特に般若心経) 難解で名高い『老子』でも、出だしの第1章は特に難解だ。この章でつまずき、それ以上読むのを諦めた人も多いだろう。どんな文かと言うと(書き下し文および日本語訳:小川環樹:中公文庫) 道の道う(いう)可きは、常の…

廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と日本民衆の精神的付和雷同性

廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と日本民衆の精神的付和雷同性 この廃仏毀釈という言葉を広辞苑6版から引いてくるとはいぶつ‐きしゃく【廃仏毀釈・排仏棄釈】(「毀釈」は、釈迦の教えをすてる意)明治初年の仏教排撃運動。1868年(慶応4)の神仏分離令などの…

壮大なるファンタジー:浄土系仏教のロジック

壮大なるファンタジー:浄土系仏教のロジック ここで話題にするのは、根本経典を無量寿経などに取る、具体的には浄土宗、浄土真宗です。この宗派の発想は、もと大乗仏教の3つの経典(浄土三部経)について、これらの宗派の発案者:中国(ないし西域)のある…

「無」(道家)と「空」(仏教):哲学用語の受容と変容+「士為知己者死、女為説己者容」

window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'G-XSYTL8PREM'); 「無」(道家)と「空」(仏教):哲学用語の受容と変容 仏教がインドから中国に伝えられたとき、「空…

釈迦(シャカ)の頭はパンチではなくウンチだった:仏教の盲点

釈迦(シャカ)の頭はパンチではなくウンチだった:仏教の盲点 この前、「ウンチを頭に乗せた人物の絵」を描き、案外好評だったことを受け、釈迦の頭のイボイボはなんなのかと考えてみました。 iirei.hatenablog.com これは正式には「螺髪:らはつ」と言い、…

空海と理趣経(りしゅきょう):その無意味性~コイツは馬鹿だ

空海と理趣経(りしゅきょう):その無意味性~コイツは馬鹿だ 初めに:私は無宗教です。もし死んだら、葬式はせずに、県内の国立大学医学部に遺体を提供し、研究用に解剖してもらい、あとは共同遺骨置き場に置いてもらう:「献体」の契約をしています。私は…

曼荼羅(マンダラ)とアラベスク:出来具合は似ているけど。

曼荼羅(マンダラ)とアラベスク:出来具合は似ているけど。 ここに掲示した絵は、以前私があるワークショップで塗り絵をやった完成品です。これは中央にボスの坊主を描き、そこから八方に坊主の団体がおり、一方位10名の坊主がいるので、坊主の数は8×1…

日蓮の錯誤:国を救いたいのか、布教したいのか?

日蓮の錯誤:国を救いたいのか、布教したいのか? 初めに:私は無宗教です。もし死んだら、葬式はせずに、県内の国立大学医学部に遺体を提供し、研究用に解剖してもらい、あとは共同遺骨置き場に置いてもらう:「献体」の契約をしています。私は、どんな宗教…

司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝

司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝 私は、これまで、「夏」の頃から「唐」の時代くらいまでの、中国の歴史、有名人について学んできましたが、あえて、膨大な人達の中から、5人を選び、ランキング付けしてみました。活動したジャンルは様々…

青酸とビター・アーモンド:バラ科植物に特有な化合物+バトン・リレー

青酸とビター・アーモンド:バラ科植物に特有な化合物+バトン・リレー ナッツのアーモンドには「スイート・アーモンド」と「ビター・アーモンド」の二種類があります。普通に食用となるのはスイートの方で、ビターのほうは青酸(シアン化水素)が含まれてい…

平知盛・最期の言葉「見るべき程の事をば見つ」

平知盛・最期の言葉「見るべき程の事をば見つ」 自害にあたり、知盛は碇を担いだとも、鎧を二枚着てそれを錘にし、「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」と言い残して入水したとも言われている。共に入水後遺体となるか、あるいは生きたまま浮かび上…

『杜子春』(芥川龍之介)と地獄:仏教を受容する中国文明

『杜子春』(芥川龍之介)と地獄:仏教を受容する中国文明 芥川龍之介は、才能のカタマリのような人で、大人向きの思わず唸るような小説、箴言、詩歌などを世に出しています。その彼はまた、優れた童話もものしています。『杜子春』、『蜘蛛の糸』、『トロッ…

宗教の目的は「殺す」ことである:「タウタウ教」なんかどう?

宗教の目的は「殺す」ことである:「タウタウ教」なんかどう? ここに↓挙げた写真は、かれこれ14年前の2005年に、私がキツネのお面を被り、弟に撮ってもらったものです。「タウタウ」とは、当時飼っていたイヌのタエコの名をもじったなんの意味もない言…

「いじめられっこ宋」と「征服王朝の文化」

「いじめられっこ宋」と「征服王朝の文化」 中国、漢民族の建てた王朝で、もっとも弱かったのは宋だと思われます。実際、国の一部、もしくは全部を異民族に占領されてアタフタしていたのが宋です。異民族が建てた王朝を「征服王朝」と言い、遼(契丹人)、金…

「心なき身」の色気:西行法師の『山家集』

「心なき身」の色気:西行法師の『山家集』 @心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫(しぎ)立つ沢の 秋の夕暮れ この歌は西行(1118-1190)の代表作の一つである歌で、新古今和歌集に収録されています(秋)。そして表題の『山家集』は主に西行の歌…