虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

老荘思想

「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86)

「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86) 中国・唐代の禅僧:潙山霊佑(いざん・れいゆう)は、「言葉」を精密に用いて人を導くプロフェッショナルな禅僧だったが、たまには人を突き放して導くことがあった。潙山の師は…

欧米人は、目を剥くような「老子」解釈を行っている!(随想録―78)

欧米人は、目を剥くような「老子」解釈を行っている!(随想録―78) 以下はむかし友人に教えてもらった、「老子の一節」である。(細部は忘れたので、だいたい) 「誰かを深く愛すれば、それだけ力が生まれる。」The more you love someone, the stronger yo…

「中間は呪いだ」:老子の言葉から考える(随想録―63)

「中間は呪いだ」:老子の言葉から考える(随想録―63) 「中間は呪いだ」という言葉を読んだことがある。それは、私が東京大学理科1類に入学して、周囲のクラスメートたちに気おされ、また数学や物理学の難解さに怯み、「この進路は正しかったのか?」と…

超訳とは何か?・・・そのまやかし (随想録―59)

超訳とは何か?・・・そのまやかし (随想録―59) 以下は、2010年のウエブ上の記事。翻訳の仕方にも様々なものがある。 例えば原文に忠実に訳す「直訳」、原文の意味に捉われることなく意味を汲み取りながら翻訳する「意訳」などだ。 しかし、ここ最近…

「マンガ日本の古典全32巻」(源氏物語):中央公論社の転身+中国を叱る(随想録―49)

「マンガ日本の古典全32巻」(源氏物語):中央公論社の転身+中国を叱る(随想録―49) 隔世の観がある。以前「中央公論社」と言えば、押しも押されもせぬ大出版社だった。若い頃、左翼青年でもあった、読売新聞社の主筆:渡邉 恒雄さんが、中央公論の入…

「天は足りすぎる者から奪い、足らざる者に与える」(老子)+筋トレ(随想録―45)

「天は足りすぎる者から奪い、足らざる者に与える」(老子)+筋トレ(随想録―45) これは、『老子』の言葉ですが、こう続きます・・・「しかし、人は違う。人は足らざる者から奪い、足りすぎる者に与える・・・これは天の道ではない」、と。この言葉、現…

老子第1章と仏典(特に般若心経)+ラスコリニコフ(随想録―14)

老子第1章と仏典(特に般若心経) 難解で名高い『老子』でも、出だしの第1章は特に難解だ。この章でつまずき、それ以上読むのを諦めた人も多いだろう。どんな文かと言うと(書き下し文および日本語訳:小川環樹:中公文庫) 道の道う(いう)可きは、常の…

「無」(道家)と「空」(仏教):哲学用語の受容と変容+「士為知己者死、女為説己者容」

window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'G-XSYTL8PREM'); 「無」(道家)と「空」(仏教):哲学用語の受容と変容 仏教がインドから中国に伝えられたとき、「空…

二項対立と男女:2進法で世界は作られる

二項対立と男女:2進法で世界は作られる PCでMP3などの音楽を聴くとき、スクリーンセイバーのように表示されるイメージに、「視覚エフェクト(Z)→アルケミー→ランダム」というものがあります。この表示の様式では、必ず画面のどこかに2つの極が現れ…

『老子』の「ひねくれた」文体~第42章を例にして

『老子』の「ひねくれた」文体~第42章を例にして まず、私の著作:『災害の芽を摘む』から引用します。老子の文体 老子の文章は81章5000字、極めて短い文献です。しかしその理解しにくさは、世界の古典の中でも群を抜いています。その理由は、老子…

葛飾北斎と北斎漫画:江戸の庶民は教養があった。

葛飾北斎と北斎漫画:江戸の庶民は教養があった。 かつしか‐ほくさい【葛飾北斎】「江戸後期の浮世絵師。もと川村氏、のち一時中島氏。江戸本所に生まれる。葛飾派の祖。初め勝川春章の門に入り、春朗と号し、のち宗理・画狂人・戴斗・為一いいち・卍など、…

中国哲学には救済の2文字はない:一般の宗教と違う点

中国哲学には救済の2文字はない:一般の宗教と違う点 私は、中国古代から伝わる書物:『老子』、『荘子』、『易経』、『書経』などを読んできて、最近気づいたことがあります。それは、中国哲学には「救済」の概念は、限りなく乏しいか、または無い、という…

空海と理趣経(りしゅきょう):その無意味性~コイツは馬鹿だ

空海と理趣経(りしゅきょう):その無意味性~コイツは馬鹿だ 初めに:私は無宗教です。もし死んだら、葬式はせずに、県内の国立大学医学部に遺体を提供し、研究用に解剖してもらい、あとは共同遺骨置き場に置いてもらう:「献体」の契約をしています。私は…

日蓮の錯誤:国を救いたいのか、布教したいのか?

日蓮の錯誤:国を救いたいのか、布教したいのか? 初めに:私は無宗教です。もし死んだら、葬式はせずに、県内の国立大学医学部に遺体を提供し、研究用に解剖してもらい、あとは共同遺骨置き場に置いてもらう:「献体」の契約をしています。私は、どんな宗教…

司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝

司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝 私は、これまで、「夏」の頃から「唐」の時代くらいまでの、中国の歴史、有名人について学んできましたが、あえて、膨大な人達の中から、5人を選び、ランキング付けしてみました。活動したジャンルは様々…

齋藤孝の『30代の論語』:読者はサラリーマンだけか?

齋藤孝の『30代の論語』:読者はサラリーマンだけか? 齋藤孝氏は、私と同じ年に東京大学に入学したひとで、国語論、身体論などで有名になり、現在明治大学教授で、マスコミでの露出度マックスで活躍しています。ただ、私から見ると、粗雑な論理構成の書籍…

ベルギーで一部のコインが廃止らしい:愚挙!!

ベルギーで一部のコインが廃止らしい:愚挙!! ベルギーでは近い将来、最小通貨の1セントおよび2セントコインを廃止することを決定した。買い物などで端数が生じる場合は今後、1ユーロ2セントの場合は1ユーロと計算され、1ユーロ3セントの場合は1ユーロ5セ…

渋沢栄一の正体:体制べったりのうさんくさい奴

渋沢栄一の正体:体制べったりのうさんくさい奴 渋沢栄一・・・私は、この人、どうにも胡散臭い(うさんくさい)人であるというイメージを抱いていました。実際どうなのか、調べてみました。まずは広辞苑第六版より。実業家。青淵と号。武州血洗島村(埼玉県…

ワレサ連帯議長の見た日本:特殊な資本主義

ワレサ連帯議長の見た日本:特殊な資本主義 東欧諸国は、ソ連(現:ロシア)の圧政の元に置かれ、労働・生活面で不如意でした。国の指導者は、ソ連の顔色をうかがい、返って国民には過酷でした。そんな中でも、特に歴史的にも大国の意向に翻弄されてきたのが…

真に謙虚な者は傷つくという傲慢さがない:キリスト教の言葉?

真に謙虚な者は傷つくという傲慢さがない:キリスト教の言葉? これはある女性から伺った言葉ですが、一聴、意味が取りにくかったです。この女性はキリスト教の信者らしかったので(日系ブラジル人)、その線の言葉かと思いました。(すなわち聖書起源) 表…

木っ端役人&潜伏キリシタン~2つの言葉の語源

木っ端役人&潜伏キリシタン~2つの言葉の語源 @「木っ端役人:こっぱやくにん」という表現がありますが、この言葉の起源は?と調べてみました。木っ端・・・切れっ端って意味で家を造ったり家具やらの木工作業をした際に出る 端材を言う言葉で小さい切れ…

ソクラテスと産婆術:宗教家より宗教的な哲学者

ソクラテスと産婆術:宗教家より宗教的な哲学者 ソクラテス(wiki) さん ばじゅつ[3]【産婆術】 〔ギリシャmaieutikē〕 ソクラテスの問答法のこと。自らは積極的なロゴスを産み得ないが、対話によって相手のロゴスの産出を手伝い、また産まれたロゴス…

『杜子春』(芥川龍之介)と地獄:仏教を受容する中国文明

『杜子春』(芥川龍之介)と地獄:仏教を受容する中国文明 芥川龍之介は、才能のカタマリのような人で、大人向きの思わず唸るような小説、箴言、詩歌などを世に出しています。その彼はまた、優れた童話もものしています。『杜子春』、『蜘蛛の糸』、『トロッ…

まど・みちおの詩~老荘思想との類似性

まど・みちお(wiki) 詩人のまど・みちおさんは2014年2月に104歳で亡くなられましたが、有名な「 ぞうさん」とか「不思議なポケット」などの印象的な童謡の原詩を手がけておられたことを、彼の死後に知りました。彼の大体の経歴はwikiからまど・み…