虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2015-01-01から1年間の記事一覧

天は円、地は方〜古代中国の宇宙観

中国の文献を見ると、「天円地方」ということばによく出くわします。この言葉はどういう意味なのでしょうか。Wikiでこの言葉を調べると 天円地方(てんえんちほう)とは、天は円く、地は方形であるという古代中国の宇宙観である。中華文化圏の建築物や装飾の…

不争の国・コスタリカ(でも近くに敵がいる)

以下、wikipediaからの長々とした引用です。コスタリカ共和国(コスタリカきょうわこく)、通称コスタリカは、中央アメリカ南部に位置する共和制国家である。北にニカラグア、南東にパナマと国境を接しており、南は太平洋に、北はカリブ海に面している。首都…

厄除け詩集:井伏鱒二は感情をそのまま吐き出さない

http://d.hatena.ne.jp/mikutyan/20141105/1415142532 :mikuちゃんの日記・・・で取り上げられていたのですが、井伏鱒二(いぶせ・ますじ:1898−1993)の訳詩に以下のものがあります。 『勧酒』 于武陵(うぶりょう) 勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風…

「じゃこ天」〜小魚を美味しくたべる魔法のカマボコ

「じゃこ天」という食べ物をご存知ですか?チクワ、カマボコ、薩摩揚げ、はんぺん・・・と数ある練り物の白眉、王様がじゃこ天だと思います。小魚のすり身を成形し、油で揚げたもので(揚げカマボコ)、実に美味しい商品なのです。 この食べ物は、起源が遠く…

「金枝篇」(きんしへん:The Golden bough):難しい人類学

Mistletoe(ミスルトー) という英単語を覚えていますか?この難しい単語が、中学校の英語の授業でmuchとかsoとかの易しい単語と入り混じって出て来るという風景には、面食らったものです。意味は「ヤドリギ」、生木に生えて、その木に寄生する植物です。 (…

世界のミニ国家〜〜卓抜した生き残り戦略

以前私はイタリアの内陸国、サンマリノ共和国を論じたことがありますが、http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140826#1409048748 :驚異の小国・サンマリノ共和国 今回は、その時アマゾンで検索した参考文献として挙げた「世界の小国 ミニ国家の生き残り戦略」(…

職業倫理上してはならないこと:出来てなんぼか?

世の中には、いろいろな職業がありますが、どの商売でも、その業務上、許されぬ行為があると思います。もちろん、殺人と言う行為は、軍隊・警察と法務大臣(および死刑執行人)のみが許されている行為で、これは例外でしょう。(軍隊は、外敵・内乱者の鎮圧…

平将門:新しい天皇(新皇)と僭称した男

平将門(たいらのまさかど)と言えば、平安時代中期に、関東地方をほぼ制圧し、日本史上、唯一、天皇を否定し新皇と自称・僭称(大それた自称)をした武将です。私がこの武将を知ったのは、NHKの1976年の大河ドラマ「風と雲と虹と」で主役として描か…

小野リサとボサノヴァ:けっこうイケてる音楽

ここに挙げたのは、日本の代表的なボサノヴァ歌手である小野リサの一曲です(ボサノヴァの代表的な曲「イパネマの娘」)。ボサノヴァについては、私め、40年近く前から知っていました。なに、中学一年生だった私は、聴いていたNHK「基礎英語」で、たまたま…

ガルシンと「紅い花」〜これも一人の救世主?

ロシアの短編小説家・ガルシン(Гаршин:1855−1888)は、露土戦争に従軍したときの体験を小説にして、一躍文名を高めた小説家です。(従軍時の怪我がもとで退役しました)ただ、彼は遺伝的に精神疾患を病んでいて、小説家として不動の名声を得るまえ…

世界3大臭い食品:シュールストレミング、ホンオフェ、キビヤック

日本で流通している臭いものは、納豆、フナ寿司、クサヤなどが代表的で、とくにクサヤは臭いといわれますが、いやいや、世界にはもっと臭い食品があるのです。今回は、そのベストスリー(ワーストスリー?)を挙げてみようと思います。ここに、アラバスター…

G型大学とL型大学〜大学時代から確定された階級社会

冨山によると経済政策は社会福祉政策とは異なり「強きを助け,弱きをくじく」のが「本来的なあり方」なのである(竹中・冨山, 2011, 58)。 http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/BS/0039/BS00390L041.pdf:「エッセイ G型/L型大学と新しい階級制度 …

七つの中国〜台湾人からの中国分割提案

中国が「世界の覇王」になる意図を隠さなくなってきたのは、21世紀を迎えてから顕著ではありますが、既に1997年、台湾人の「王文山:ワン ウェンサン::ペンネーム」氏は「七つの中国 21世紀中国の覇権主義から全人類を守るために」という刺激的な…

アシモフの「ロボット工学の3原則」:現実はSFを追い抜いたか

ここに、SFの分野で有名な「ロボット工学の3原則」を挙げてみます。 第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第2条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなけれ…

これって、悲劇?喜劇?:チェーホフの「桜の園」

何時だったか、三浦一郎さんが書いた「世界史こぼれ話」で、面白いやり取りを読みました。 悲劇作家:ぼくはきみの喜劇を観て、ぜんぜん笑えなかったぞ。 喜劇作家:そうかい、ぼくは君の悲劇を観て、さんざん笑ったけどね。 こんな感じのやり取りです。なん…

呉智英と封建主義〜それなりの合理性

「呉智英」と書いても、「ご・ちえい」なる中国人ではなく、「くれ・ともふさ」と読む、立派な日本人です。彼は、1990年代に活躍が目立った評論家であり、私も彼の本を3、4冊読みました。とくに「バカにつける薬」は愉快な内容でした。今回は、「封建…

タラゴン〜〜繊細にして豪放なハーブ

「タラゴン」と言っても、怪獣ではありません。ハーブの一種です。 以前手持ちのタラゴンをプレゼントした方の評価は: >タラゴンはなかなかうっとりするとともになつかしいかんじのいままでにない感じのハーブでした。・・・でした。 さて、タラゴンは、キ…

クレムリン・メソッド:世界を動かす11の原理(書評)

この本の著者は、現在ロシア・モスクワ在住の国際関係論の論者です。北野幸伯(きたのよしのり)さんで、ペレストロイカを実行した旧ソ連大統領のゴルバチョフに憧れ、日本の大学に見向きもせずにロシアに単身渡り、ほとんど一般ロシア人と同じくソ連崩壊の…

中庸のメニュー〜究極でも至高でも不味くもなく

むかし、故・「中島らも」さんが面白いことを言っていました。誰がどう、いつ食べても「不味い」味の料理しかださないレストラン・食堂というものが実在し、そんな店はどのような手段、経緯で店が続けられるのか、研究の価値はあるだろうと。このような店を…

嫉妬に狂った女は怖い:呂后(りょこう)と則天武后(そくてんぶこう)

呂后(呂雉)(? - 紀元前180年)は、漢の始祖・劉邦の妻。劉邦の糟糠の妻でしたが、劉邦(高祖)の死後、王の寵愛を巡って争ってきた某夫人に、とんでもない行為をやらかします。 高祖の後継を巡る争いは根深く尾を引いており、恵帝即位後間もなく呂后は、…

「テオ もうひとりのゴッホ」(書評):共依存の兄弟

糸杉のようなもの?→ 芥川龍之介は、彼の著「或る阿呆の一生」の中で、「私は、ゴオグの絵を観て、絵画というものを了解した」と書いています。その「ゴオグ」というのは、ヴィンセント・ファン・ゴッホのことに違いありません。確かに素晴らしく、魂の叫び…

「テオ もうひとりのゴッホ」(書評):共依存の兄弟

「@@の法則」〜色々な分野での「定理」

以前、経済学における「パレートの法則」を話題にしたことがありますが、 http://d.hatena.ne.jp/iirei/20141214#1418532673 今回はそれを引き継いでいろいろな「法則」について見てみることにします。 @有名なところで「マーフィーの法則」(経験則) マー…

中国の裁判制度〜これって人治主義なのか?

昔聞いたニュースで、恋人の女性の顔に強酸を掛け、その女性の容貌をメチャクチャにして、男は「一生(この女の)面倒を見るから」、と法廷で発言したのにも関わらず、法廷は「死刑」としていたことを覚えています。 中国は、私が思うに、いまだに旧来の中国…

「失恋のおくすり  傷ついた心を癒す119の言葉」

以前、私自身の恋愛遍歴を書いている途中で知った文庫本を、地元の書店で買ってきました。それが今回ブログで紹介する、表題の本です。著者はバンビス・スノーフラワーさん、コピーライター&ライターです。2013年に株式会社・アスペクトから発行されて…

トキシン(Toxin)と名の付く化合物は毒である。

テトロドトキシン(wiki)→ テトロドトキシン(TTX)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは今でも年数人は中毒症状を起すフグ毒です。神経のナトリウムとカリウムのバランスを乱すことで、呼吸困難などの症状を起す毒です。生魚の肝臓、卵巣など…

トキシン(Toxin)と名の付く化合物は毒である。

「おどける」と道化師〜やまとことばから

「おどける」と「道化師」にはなんだか発音上の類似点があるように思えるので、ネット上の辞書を読んでみました。 @道化・道化師 (意味)道化とは、人を笑わせる滑稽な言動・動作。また、そのような振る舞いをする人や、生業とする人。歌舞伎の役柄「道化方…

ある投書〜何故、文部科学省は計算尺を教えないのか?

中学生のころ、ある社会科の先生に叱られたことがあります。それは、彼女の社会の授業中、「計算尺」を持ち込んで、その操作を勉強していたのです。彼女は、「 別に授業は聞かなくてもいい、ただし、操作中に発する音で、他の生徒のじゃまをしてはならない」…

円空仏と木喰仏〜何故国宝にはならないのか?

私は、大学には理科系として入学しましたが、すぐさま幻滅し、文科系を志向するようになりました。あまりにも数学の教授の授業が詰まらないのを超えて「有害」なようにも見えましたし、物理学演習実験で、慣れない分析機器の扱いに悲鳴を上げる毎日でしたか…