虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

マザー・グース (Mother Goose):ハンプティ・ダンプティの闇(随想録―67)

マザー・グース (Mother Goose):ハンプティ・ダンプティの闇(随想録―67)



マザー・グースは、主にイギリスで歌い継がれてきた童謡集です。「主に」というのは、「砂男」という幾分不気味な歌がマザー・グースにはあり、これがモチーフの怖い同名小説を、ドイツの小説家:E.T.A.ホフマンが書いていて、ヨーロッパ圏での、文化の共有を感じます。マザー・グース、フランス語で「マ・メール・ロア」:モーリス・ラヴェルがバレエ組曲を書いていますが、彼らしく、駄曲です。


私は、大学生時代の初期に、マザー・グースに興味を持ち、楽譜付きの本を買い求め、リコーダーで演奏してみつつ、どんな曲があるか、探ったことがあります。まあ、私には音楽の才能はなく、リコーダーでなぞるのが精一杯でした。それでもあとで実際の曲を音源で聴いてみると、思ったとおりの曲だったのが救いです。



さて、以下に4曲挙げてみます。



https://youtu.be/xaXCf_fPD2k

@London Bridge Is Falling Down(ロンドン橋)

これは、「メリーさんの羊」と並び、イギリスの童謡で最も有名な曲でしょう。「ロンドン橋が落ちちゃった、さあ、愛しい貴女、どんな材料で橋を掛けようか?」、と問う歌です。粘土と木では流される、鉄では折れ曲る、銀と金では盗まれる・・・結局、有効な工法が見つからずに、歌は終わります。不条理ですね。



https://youtu.be/5dzWjznREqs

@Humpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ

これぞ、マザー・グースの中のマザー・グース。塀の上に座っていた男―ハンプティ・ダンプティが落ちて壊れてしまい、王さまが何人来ても、馬が何頭来ても元には戻らなかった・・・この男は「卵」だったのです。なんというナンセンスさ!この人物は、「不思議の国のアリス」(ルイス・キャロル)にも登場するので、知っている人も多いでしょう。



https://youtu.be/03VAIrkmrD0

@rock-a-bye baby(ロッカ・バイ・ベイビー)

子守唄なのですが、「赤ちゃんを危険に晒したいのではないか、このお母さん?」と聴ける部分がある、なんだか怖い印象を受ける曲でもあります。「木の枝にゆりかごを吊るしたら、枝が折れて、赤ちゃん真っ逆さま」なんて歌うのですから。



https://youtu.be/RuqvGiZi0qg

@Head Shoulders Knees And Toes (頭・肩・ひざ・つま先)

延々と、体の4か所が歌われる迷歌。まあ、単に子供に体の構造を教える歌かとも思いますが、深読みすれば、いわゆる「お医者さんごっこ」とか、言ってしまえばセックスの歌とも考えられます。メイク・ラブする男女の戯れの歌。「ここは、どーこ?」とか。



4曲ほど挙げましたが、イギリスの童謡は、奥が深いと思います。むかしの少女マンガ「パタリロ!」で、「♪誰が殺した、クック・ロビン」という物騒な歌が出てきますが、これもマザー・グースの一曲です。いろいろ聴いてみると、耳になじんだ曲も多くあります。

 (2022.12.06)






今日の7句


詰まらない
家に変わるか
空地かな



 (2022.12.03)



麦の子の
生えそろいたる
寒空や



 (2022.12.03)



名の通り
くねりたるかな
蛇川や



 (2022.12.03)



パンジーより
小さきヴィオラ
可愛らし



 (2022.12.04)



ビワの花
この時期咲くとは
知らざりき



 (2022.12.04)



生きたよう
リスの彫り物
躍動し



 (2022.12.04)



狂気の木
狂気の家と
ツーショット



向こうに見えるのは、母が入院していた精神病院。手前は猛毒のキョウチクトウ
(ただし、12月09日時点で、この木は伐採されていた。だからこの写真は、この木の遺影。)

 (2022.12.04)