平将門:新しい天皇(新皇)と僭称した男
平将門(たいらのまさかど)と言えば、平安時代中期に、関東地方をほぼ制圧し、日本史上、唯一、天皇を否定し新皇と自称・僭称(大それた自称)をした武将です。私がこの武将を知ったのは、NHKの1976年の大河ドラマ「風と雲と虹と」で主役として描かれたことからです。海音寺潮五郎の原作で、さすが歴史小説の雄の書いた将門像には惹かれるものがありました。
Wikiによる「風と雲と虹と」から、粗筋・概要を引用してくると、
平安時代中期を舞台に、ほぼ同時期に朝廷に対する叛乱を起こした平将門・藤原純友の生き様を描いた。主人公の将門と、その従兄弟である平貞盛から愛されるものの、両者の戦いに巻き込まれて惨殺されてしまう薄幸の姫君・貴子を吉永小百合が演じた。『真田風雲録』で知られる劇作家・福田善之が脚本を執筆、ここでの将門は、まず民衆が存在して、公などはずっと後からやって来たものだ、などと檄を飛ばすなど(こうした台詞は原作にはない)、反乱の歴史的位置付けを自ら意識した主人公である。
将門の勇敢さと真面目ぶり、貞盛の世渡り上手と気の弱さ、田原藤太の冷静沈着振り、純友の豪胆さと陰謀家ぶり等、人物の造形もわかりやすく、日活の清純派として名が通っていた吉永の演じる貴子が強姦殺害されるシーンも印象的だった。また、傀儡や海賊、遊女、農民等々庶民階層の登場人物が活躍する点も注目される。
10世紀初頭、坂東の地に勢力を広げていた桓武平氏の一族、平良将の嫡子として生まれた小次郎将門は、官位を得るため京に上った。真面目すぎる将門は、賄賂が横行する慣れない都生活で、要領の良い従兄弟の貞盛のように振舞えず、都の貴族社会に失望する。そうした中、藤原純友と出会う。貴族らしくない純友の豪胆な振る舞いは、将門には魅力だった。一方、純友は内心、将門に坂東で反乱させ、東西で呼応して都を征服するために利用しようと思っていた。
猟官が不調に終わり、貴子をめぐる恋愛にも貞盛に敗れ、失意の中帰郷した将門は、坂東平氏一族の内紛に巻き込まれる。伯父の国香や良正、有力豪族の源護・扶父子らとの内紛を勝ち抜いていく過程で、次第に朝廷そのものへの叛乱の頭領として祭り上げられていく。やがて、坂東を制圧した将門は朝敵とされ、従兄弟の貞盛や、将門の少年時代のヒーローでもあった田原藤太との宿命の対決に向かう。 その後、瀬戸内海で反乱を起こしていた純友は、将門戦死の知らせを聞いて、南海に虹が消えていくように、自分の野望も潰えたことを悟るのだった。
本作は、神懸かり状態の巫女から託宣を受けて「新皇」を名乗り、東国に独立王国を築くことを目指した将門が、藤原秀郷、平貞盛(国香の子)らに討たれ、純友も瀬戸内海で敗死してその野望が潰えるまでを描く。
・・・こんな感じですが、私は「風と雲と虹と」は読まずに、「将門記:まさかどき:1、2巻」(平凡社・東洋文庫:梶原正昭 訳注)を読んでみました。「風と雲と虹と」では、将門と藤原純友の2大反逆児が日本の東西で暴れまくるという設定でしたが、「将門記」では、将門に絞って、彼の事跡を追っています。なお、東洋文庫は、中国・日本などの古典を網羅することを目指して刊行された膨大な文庫で、表紙は緑色に統一されています。でも、さほど売れなかったのではないかと思います。
ほかにもこの2つの書物の相違点を挙げると、「風と雲と虹と」では、そもそも平氏一門の騒乱の原因は、将門の父・良将の領地を、二人の伯父、平国香、平良兼が横領していたこととされていますが、「将門記」では源護の娘を巡って、将門とおじたちが反目したから、とされています。
そして、将門が「新皇」と僭称した経緯は、どうも「勢いに任せて」「周囲に持上げられて」名乗ってしまった、ということらしいです。計画性はなかったのですね。でもこれを中央政府が黙って見逃すはずはありません。平貞盛、藤原秀郷(田原藤太)の連合軍と相対するのですが,最後の戦いで、初め、風向きは将門に有利でしたが、急に風向きが変わり、流れ矢を頭部に受け、将門はあっけなく戦死してしまうのです。「将門記」の著者は、この事実を、「神の罰としての神鏑に当たったのだ」としています。
今日のひと言:昔から、中央政府の暴虐さに飽いた民衆は、反政府のヒーローを希求するものですが、平将門もそうであり、東京の「神田明神」は、将門を祀っています。
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今日の料理
@鶏胸肉とカシューナッツ炒め・大蒜・唐辛子風味
弟作。フライパンにオリーブオイルを敷き、ニンニク、唐辛子を炒め(この2つはそれぞれの毒を消しあうといわれます)、小さく切った鶏肉とカシューナッツを続けて炒め、塩、マヨネーズを加えます。最後は念のためレンジでチン。
(2015.11.19)
@クコの実と干しシイタケいりモヤシ炒め
乾物の2品で味を付け加えた一品。オリーブオイルとごま油をあわせフライパンに敷き、モヤシを炒め、クコの実、干しシイタケ、そして卵を溶き加え、ほどほどに固まったところで、コンブだし、七味唐辛子を掛けて完成。
(2015.11.19)
@雲南百薬と大根葉の炒め物(カツオ節入り)
雲南百薬は栄養価の高い作物ですが、シュウ酸を含みます。それでこれまで茹でて晒す処理をしていたのですが、今回は聖護院ダイコンの間引き菜がシュウ酸を無効化するカルシウムが豊富なので、前処理しないで両者を一緒に炒めました。カツオ節もその趣旨で加えました。
(2015.11.21)
@そうめんのヤムウンセン風
昼食。ヤムウンセンは、タイ風春雨料理(サラダ)。今回は春雨ではなくそうめんを使いました。タレはyouki社製。トッピングはパクチー、イタリアンパセリ、小エビ。なかなかの味でした。
(2015.11.22)
今日の一句
銀杏の葉
狭き大地に
散りゆけり
街路樹になっているイチョウの黄葉した落ち葉が、狭い土には収まらずに舗道一杯に落ちているさまを見て。
(2015.11.21)