冨山によると経済政策は社会福祉政策とは異なり「強きを助け,弱きをくじく」のが「本来的なあり方」なのである(竹中・冨山, 2011, 58)。
http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/BS/0039/BS00390L041.pdf
:「エッセイ G型/L型大学と新しい階級制度 山本奈生」より
・・・このトンでもなく挑戦的な文言は教育改革を志向する二人の人物による発言ですが、竹中というのは小泉政権の指南役であり、いろいろな禍根を地方をはじめあらゆる分野に残した「国賊」竹中平蔵ですが、もうひとりの冨山というのは、経営コンサルタントです。冨山和彦。
この男は、大胆にも日本の大学を2つに分け、教養という「無駄」を学生に与え、世界と渡り合える人材を養成する一握りの「優秀な」学生のためのグローバル(G型)大学と、余分な知識は学生に教えず、たんなる「ブルーカラーワーカー」として他の大部分の学生を、専門学校とか職業訓練校としてのローカル(L型)大学で学ばせることで、大学の2極分離を標榜しているのですね。
冨山和彦についてwikiから引いてくると、
1960年(昭和35年)生まれ。筑波大学附属駒場高等学校卒。東京大学法学部在学中の1984年に旧司法試験に合格。1985年3月に同大学を卒業しボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社した。翌1986年にはコーポレイトディレクションの設立に携わることになり、設立後は経営戦略の立案やその実行支援を担当。1990年にスタンフォード大学経営学修士(MBA)取得。2001年には代表取締役社長に就任した。コーポレイトディレクションではアキヤマ印刷の再生や日本リース不動産部門の売却シナリオ作成に貢献したと称する。
政府の打診により、2003年4月からは産業再生機構の設立に参画、代表取締役専務兼業務執行最高責任者(COO)を務めた。同機構は合計41社の支援決定を行った。
コーポレイトディレクション、産業再生機構での実績から企業再生のスペシャリストとして取り上げられる。これはバブル崩壊の時期にコーポレイトディレクションが経営難に陥った経験が生きている。日本の大学についてグローバルな人材を育成するごく一部のトップクラスのG型大学以外のローカルなL型大学は職業訓練所に特化すべきとしている。また、著書とインタビューにおいては企業とのコンサルタントにおける人間性や人間力の重要性を説き、「腹に落ちるようなコミュニケーション」をとるため、現場を重視することを唱えている。
もし、このような制度が導入されたら、確かに日本において、新たな階級社会が実現するでしょう。この答申は「実践的な職業訓練を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」というジュゲム・ジュゲムのような長い名称の会議で出されたものです。
さて、この制度、問題点は山積みです。知的水準を集約化したり、冨山自身は「GとLの間に序列化はない」としていますが、ないはずはないのですね。間違いなく、親の経済力の格差は、GとLを固定してしまうでしょう。
今回のブログは、上掲の山本奈生さんのエッセイを参照して書いていますが、冨山和彦には「カリスマ経営者」であるが「反知性主義者」でもあるという厳しい評価を下しています。
冨山和彦自身、こんどの答申でG型、L型の運用が始まった際の、格差・階層の再生産の有無には、ひと言も触れてないそうです。
冨山のような立場の人物がいます。作家の三浦朱門で、私は以前のブログでこの男のことに触れています:
2)三浦朱門:東大言語学科卒、80年代半ばに文化庁長官も務めた作家で、教育改革国民会議の有力メンバーであるやはり作家の曾野綾子氏を夫人に持つ三浦氏は、"ゆとり教育"を深化させる今回の学習指導要領の下敷きになる答申をまとめた最高責任者である。
「学力低下は予測し得る不安と言うか、覚悟しながら教課審をやっとりました。 いや、逆に平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。 つまり、できん者はできんままで結構。戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力をできる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でもいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。 ・・・・」
(http://f18.aaa.livedoor.jp/~satoman/karasu_0503a.htm より引用)
この前もとり上げたいわくつきの人物。小説家というよりは「小説家の名を借りた政治屋」というのが相応しい人物です。むろん、私自身、三浦朱門の小説についての評論を目にしたこともなく、ただ単に文化庁長官をやった政治家との認識しか持ち合わせていません。なにか取り柄のある小説を書く人なら、当然既読のハズですがね。さて、教育の基本は、最低レベルのかさ上げです。一握りのエリートだけ養成しても、国家は機能しません。全体の教育レベルが高いほど、その国のパワーはあがるのです。三浦が理想としているらしい江戸時代でさえ、というか、でこそ、武士の教育を担う藩校、庶民の教育を担う[[寺子屋があり、明治時代の教育にスムーズにつながったのです。うがった見方をすると、「ゆとり教育」は現在、三浦朱門の狙いどおり、一握りの私立学校にのみ良い教育が偏在することになっていますね。そして「実直な精神だけを養って」教育された者が、エリートに顎で使われる風景が三浦朱門の理想像なのでしょう。そして、その「エリート」には、間違いなく自分も含めていますね、この三浦朱門。
ところで、「二次方程式の解の公式は、妻の曽野綾子の日常生活に不必要だから中学の教科書から外せ」とのたまった三浦朱門、曽野綾子ともどもクリスチャンなのだそうです。それなら、三浦朱門に問いますが「神も日常生活に不必要だ。だから夫婦そろって神=信仰を捨てなさい」と。なにか反問できるでしょうか?この文士政治屋?
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070217
: 安倍晋三の再チャレンジ会議・取り巻きのトンデモ発言集:「労働基準監督署は要らない」
今日のひと言:安倍晋三は、「ホワイトカラー・エグゼンプション」にせよ、「教育改革」にせよ、総理として再登場しても、良し悪しは度外視して実現を図ろうとする蛇のように執念深い冷血漢であることが解ります。
なお、今回のブログは、上掲のエッセイをid:hatehei666さんにそのPDFの存在を教えられて書き上げたものです。ありがとうございました。
追記:いわゆる地方大学(駅弁のある駅を持つ「駅弁大学」と呼んだ人がいましたが)出身者も、最近ノーベル賞を受賞する人が増えてきました。青色発光ダイオードを発明した中村修二さんは徳島大学、熱帯の病原体への特効薬を発明した大村智さんは山梨大学、ニュートリノに質量があることを発見した梶田隆章さんは埼玉大学・・・十分世界に通用するではないですか。
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今日の料理
@レンコンの梅肉カツオ節炒め
弟作。この前「イタリア国旗炒め」(レンコン、ニンニクの芽、梅干しを炒める)を挙げましたが、今回はもっとシンプルに、オーソドックスに作りました。
(2015.10.30)
@鶏モモ肉のソース乗せ
弟作。フライパンで焼いた鶏もも肉の上に、「マヨネーズ、タルタルソース、味噌、スリごま」を合わせたソースを乗せ、フライパンから降ろしました。
(2015.10.31)
@ハヤトウリ2品
ハヤトウリは、長さが15cmくらいのずんぐりした瓜で、皮を剥いたあと、浅漬けや炒め物にします。もっとも、皮には凸凹が多く、前処理に苦労しました。写真、左が浅漬け、右がオイスターソース炒め。
(2015.11.01)
今日の一首
漆黒の
機能美の服
羽織りつつ
一羽で啼ける
はぐれ鴉か
(2015.10.30)