虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ある投書〜何故、文部科学省は計算尺を教えないのか?

中学生のころ、ある社会科の先生に叱られたことがあります。それは、彼女の社会の授業中、「計算尺」を持ち込んで、その操作を勉強していたのです。彼女は、「 別に授業は聞かなくてもいい、ただし、操作中に発する音で、他の生徒のじゃまをしてはならない」と考えていたと最近本人に伺いました。計算尺なんて、パソコンに比べればたいした音は出ないものなのですが、彼女には聞こえたということですね。その計算尺について、某新聞の投書欄に応募して、ボツになった原稿が手元に残っているので、記載します。2000年ころの文書です。


「 教育に計算尺の復活を 」 塾講師 森下礼 40


  私が中学生の頃は、授業のカリキュラムに「計算尺」があり、その原理の面白さから、自分で教本を買って勉強した記憶がある。商科にソロバンが必須のように、理工系では計算尺が必須であった。足し算は苦手だが掛け算、割り算や指数計算、三角関数計算などに抜群の力を発揮する計算尺は、魔法の棒と言っても良かった。アナログ型計算機の代表と言っても良い。


もちろん総合的な機能ではデジタル型のコンピュータに及ぶべくもないが、だからといって、この計算機の存在まで生徒に教えないのは行き過ぎだと考える。数学の対数理論の応用である計算尺は、生徒に対数について「目に見えるように」教えられる教材としてだけでも、充分な価値がある。計算機はコンピュータだけではない。


一つの方向にのみ生徒の関心を導くのは、多様性といった意味でもマイナスだ。 


 以上です。どこの新聞社に投書したかは覚えていません。(ちょっと加筆しました。)





さて、計算尺という道具は、対数という数学上の概念を「目に見える」ように目盛をつけています。そして、計算尺は、外尺、内尺、カーソルのパーツに分かれています。数学上、LogA+LogB=Log(A*B)という公式がありますが、A(外尺)の目盛は尺上に対数の長さの目盛で割り振ってあり、それに尺を動かしB(内尺)の目盛の「1」をあわせ、カーソルでBの目盛を読むと、AとBの対数の「和」になるので、結果、A*Bの数字が表示されるのです。長さの和が積を示すという具合で、対数の持つ卓越性が、身にしみて解ります。これは、他の計算でも同様に考えられ、たとえば長さの差なら商を示します。


この道具は、古人の代から、営々と続けられてきた数学上、ならびに理工学上の智恵の集積です。それを、今のバカな文部科学省の役人は、「コンピュータがあるから不必要である」としているかのように、学校のプログラムから排除しているようです。計算尺は、これまで述べてきたように、アナログ型の計算機として、教え続ける価値があると愚考するのです。すべての事象が、ディジタルに流されるなか、アナログのものを全て排除するのは、危うい流行だと思います。



今日のひと言:宮崎駿さんのアニメ「風立ちぬ」では、主人公の堀越次郎が、航空機の設計計算に、計算尺を駆使していた姿が、はっきり描かれています。計算尺の力は、近代的な機械を作るためにも十分な力を持っていたのです。(有効数字は3ケタ、頭に「1」が来た時は4ケタ。このぐらいの精度で理工系の計算として十分だったのです。また、三角関数も扱えます。)


なお、このブログは拙著「東大えりいとの生涯学習論」の一節に加筆したものです。


コンサイス 定規 円形計算尺 300 100829

コンサイス 定規 円形計算尺 300 100829





今日の料理


@牛ばら肉の芝麻醤炒め





弟作。中華の調味料・芝麻醤(じーまーじゃん)を使いました。この調味料自体に味はばく、塩、ニンニク、赤唐辛子で味を付けました。芝麻醤には「コク」を出す機能があるらしく・・・ほかにピーマンも加えました。

 (2015.08.17)




金時草のマヨネーズ・ポン酢和え





今年も辛うじて金時草(きんじそう:水前寺菜とも)が収穫できました。昨年の秋、せっかく挿し木できた苗を「ネキリムシ」に食害されて、殺されかけたのですが、なんとか再び挿し木が出来た苗。この草は葉の裏が綺麗なムラサキ色で、サツマイモの金時芋に似ているので、こう命名されたとか。味は一級品で、酸味のある調味料と和えると、抜群の風味を味わえます。詳しくは、以下の過去ログで。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20091007#1254919782

 :金時草はいかがですか?

 (2015.08.18)




@鶏むね肉のチータ





弟作。胸肉を適当な大きさに切り、フライパンで炒め、終わり頃、切れてるチーズとたらこ(スパゲッティの具)を焼き、最後に刻み海苔を振りました。

 (2015.08.19)




今日の一句


稲の葉の
先端につく
夜露かな

 (2015.08.19)