虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

アシモフの「ロボット工学の3原則」:現実はSFを追い抜いたか

ここに、SFの分野で有名な「ロボット工学の3原則」を挙げてみます。


第1条  ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。


第2条  ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない。


第3条  ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。


――ロボット工学ハンドブック、第56版、西暦2058年

この3原則は、生化学者でもあったSF作家・アイザック・アシモフ氏が描くロボットの有様は、「このように帰納されるね、」と評したアシモフの先輩文学者で編集者のキャンベル氏が共同で成文化したものです。私がいま手にしているのは「われはロボット:I,ROBOT」のページ案内の次に出て来る3原則。この本は出版されたのが1950年で、こんな第二次世界大戦が終わった5年後に書かれた本とは思えないですね。日本語版は早川書房から出版されています。


この原則は、当たり前なほど自明であるとも思われますが、それが案外そうでもいないのですね。「もし仮にこの3原則にことごとく違反したロボットがいたら」・・・すなわち、


1.ロボットは人間に危害を加えなければならない
2.ロボットは、人間にあたえられた命令に服従してはならない
3.ロボットは、1.2.に反するおそれのあるかぎり、自己を守ってはならない。


実際のSF小説では、アシモフ氏が書いたか定かではありませんですが、このように「逆立ちした」ロボットに襲われたある人物が、キーとなることばをロボットに叫び、ロボットは自壊するという結果になります。つまり「私を殺せ」・・・です。


――こういった作品こそまさにSF小説であると思います。凄みのある物語です。「空から誰かが落ちてくる」とか「タイムトンネル」など、よく安直に物語の状況設定にされる「小道具」が、極めてちゃちに見えます。


これらに比べると、日本のSF的作品には、まずまずの物がある気がします。
例えば「人造人間キカイダー」(石ノ森章太郎)では、主役のロボット「キカイダー」には善悪どちらの行いも成しうる性質があり、「善の行動を促す・良心回路」というオプションが不安定なので、「ギルの笛の音」によって脅かされるのです。


また、「新造人間キャシャーン」(竜の子プロ)では、まさに「逆立ち」したロボットが出現し、人間社会はおろか、自然の秩序も崩そうというたくらみを持つ「ブライキング・ボス」と名乗りますが、生身の人間である主人公が、肉体を改造して、本人もサイボーグのようになってロボットを倒す能力を獲得し、ブライキング・ボスと鎬を削るのです。



今日のひと言:竜の子プロは、「タイムボカンシリーズ」シリーズなどで特に有名ですが、「決断」(太平洋戦争のあらましを描く)、「科学忍者隊ガッチャマン」などの傑作も残しています。また、今のところ、ロボット工学3原則に違反するロボットは出現していないようなので、いまだ現実の科学技術はSFを追い抜いていないように思います。



アシモフの雑学コレクション (新潮文庫)

アシモフの雑学コレクション (新潮文庫)

生物学の歴史 (講談社学術文庫)

生物学の歴史 (講談社学術文庫)

(wattoさんの情報から、小松左京氏の作品集(ヴォミーサ収録)を挙げておきます。)





今日の料理


@鶏ササミの春巻




弟作。一度フライパンで焼いたササミ肉をカレー粉、コチュジャンオイスターソースをそれぞれ2本づつに割り振り、春巻の皮で巻いて再びフライパン、仕上げにレンジでチン。

 (2015.10.20)



ニジマスの塩焼きタラゴン風味



名前の通りの料理です。

タラゴンについては

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20151010#1444432186

 (2015.10.20)



ひよこ豆の煮もの




単味で栗を思わせるひよこ豆ガルバンゾー)を、単純に塩味だけで味付けしました。使ったのは圧力鍋で、ゆで時間は重りが動いてから7分加熱しました。

参考過去ログ:

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150811#1439288286 (ヒヨコマメとゼンマイの炒め煮)

 (2015.10.21)



@牛肉とズッキーニのケチャップ炒めパセリ風




弟作。牛ばら肉を表題の通り調味しました。塩も忘れず。フライパンには、牛肉→ズッキーニの順に投入しました。

 (2015.10.23)





今日のロシア・フォルマリズム


(過去ログで取り上げているこの言葉、
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20081122#1337305032
で書いていますが、要するに「言葉を先入観なく読み、先入観を持って読む人をぎょっとさせる」解読法のことです。)



「♪これぞ日本のウーロン茶」

・・・いつから中国や台湾のウーロン茶産地が日本領になったのだろう?

 (2015.10.22)