風魔の小次郎・聖剣戦争篇
原作者の車田正美さんの出世作は「リングにかけろ」(週刊少年ジャンプ)でしたが、最初のうちは普通のボクシングマンガであったのが、必殺技がじゃかじゃか飛び出すトンデモなマンガに変貌し、その技の原理も最初のうちは説明されていたのですが、「ギャラクティカ・マグナム」とか「ウィニング・ザ・レインボウ」とかの技になると付いていけなくなったものです。この現象は、車田さんのボクシングマンガにおける才能の不足を示すと思います。同時期に週刊少年サンデーで連載されていた「がんばれ元気」(小山ゆう)と比較をすると、この欠陥がよく解ります。
でも、それは車田さんの才能のなさを示すのではなく、別の分野での成功を約束するものだったと思います。ややオカルトチックな方面で。「聖闘士星矢:セイントセイヤ」が有名で、大成功しましたが、その一つまえの「風魔の小次郎」の「聖剣戦争篇」がじつに面白いのです。
4000年前、神が10本の「聖剣」を作り、それをそろえれば世界も支配できるとされます。それを全て自分の下に集めようとする男が現れ、彼の同調者で5本の聖剣を所持しています。かれらを「華悪祟:カオス」と呼び、主人公の小次郎の仲間(コスモ)5人と、時空を超えてなんども輪廻転生しながら戦ってきたという設定です。
その10本の剣もユニークです。カオスとコスモは月の上で戦うのですが、拮抗した剣同士の死闘がみごとです。まるで剣道の5番勝負のように、戦います。対戦相手、前者がカオス、後者がコスモです。
1)幻夢氷翔剣(げんむひょうしょうけん:持主・朱羅:しゅら) VS 紅蓮剣(ぐれんけん:持主・伊達総司) 氷の魔剣で幻覚を起し、剣を振るうもの自身にその効果が返る剣。これと相打ちにするには伊達がまず相手に自分を貫かせて動きを止め、そしてお返しに相手を刺し、紅蓮の炎で両者相打ちにするしかなく、ふたりとも燃え尽きて消える。。。
2)紫煌剣(しこうけん:持主・邪火麗:じゃっかる) VS 白朧剣(びゃくろうけん:持主・死牙馬:しぐま) なにもかも消し去る星の光を集めた剣と、全て「もや」の中に包み込み、以後の輪廻を許さない聖剣同士。相打ち。
3)十字剣(じゅうじけん:持主・雄皇:おず) VS 征嵐剣(せいらんけん:持主・竜魔:りょうま) 地を切り裂き、あいてを十字架にかけて殺す聖剣と、嵐をつかさどる聖剣。天と地の争い。相打ち。
4)雷光剣(らいこうけん:持主・涅絽:ねろ) VS 黄金剣(おうごんけん:持主・飛鳥武蔵) 雷神が6体宿った剣と、太陽の力を持つ剣。この勝負は小次郎のライバルの飛鳥武蔵が勝つも、武蔵も消滅してしまう。
5)鳳凰天舞(ほうおうてんぶ:持主・カオス皇帝) VS 風林火山(ふうりんかざん:持主・小次郎) 「カオス皇帝」と小次郎の死闘。鳳凰天舞は10聖剣のなかで飛びぬけて力があり、一時風林火山VS9聖剣の様相を呈するが、風林火山という聖剣は、それに屈せず、一段と優れた剣に再生し、鳳凰天舞を粉々に砕き、聖剣戦争にピリオドを打つ。
小次郎は、神に感謝されながら、10聖剣を無に帰する・・・そして輪廻転生から開放される・・・
といったお話でした。私は個人的に「白朧剣(びゃくろうけん)」が好きですね。
今日のひと言:10聖剣は、核兵器になぞらえることもできるか、と思います。人類はこの兵器を超えることができるでしょうか?もっと言うと、原子力発電を止められるでしょうか?これができなければ、人類は滅亡するでしょう。
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