「ホメオパシー:homeopathy」ないし「同毒療法」という言葉をご存知でしょうか?
私は以前、拙著「災害の芽を摘む」で紹介していますが、ここにその文章を挙げてみようと思います。(私は、広く「毒物の効用」と言う意味で、その話のマクラとしてホメオパシーを取りあげたのですが・・・)
定期的に悪寒をくりかえすマラリア。特効薬はキニーネです。ところが、何と、キニーネを飲むと、マラリアと同様な症状を生み出す!この事実を体験した医師は、「キニーネがマラリアに効くのは、毒をもって毒を制するからだ」と考え、体系化してホメオパシー療法を創出しました。(19世紀初、ドイツのハーネマン)。
ホメオパシーの特徴は、
1)自然界の動・植・鉱物などから、素性のよくわかったものだけを処方する(約2000種)
2)薬を希釈して使うほど、薬効がある〜2倍投与すれば2倍の効果がある、という現代医学の発想を否定しています。
3)薬によって生まれる患者の心理的影響も、処方の一部になっている。
4)外科的療法や、下剤など、患者を衰弱させる方法はとらず、患者の生命力を強める。
(なお、ワクチンについては、1)の原則にないので用いない。)
ここで、特に目を惹くのは、2)の項目でしょう。「そんな馬鹿な!」・・・と言った感じですよね。何回も執拗に希釈を繰り返すと、その液に入っている有効成分が実質ゼロになってしまい、水だけしか残らないのですから・・・その点、実例がありますので、ここに引用してみようと思います。
メルマガ「都会育ちの田舎暮らし」2009.02.12号(通巻第520号)より何故こんな怪しげな術を紹介しようと思ったか、というと。
実際に効いちゃったからです。(゜△ ゜)
ま、実際には僕じゃなく、うちの奥さんが服用したんですけれどね。
腹痛が起こったときに、人から「ホメオパシー」ってものがあるよ、
と言われて、一粒の「レメディー」をもらったんですね。
(ちなみに、レメディーを服用するときは、服用者以外の人が
そのレメディーに触れると、波長が変わるから、効果が無くなって
しまうらしい。手渡ししてはいけないのである。このへんも魔術っぽい)
そのときは、ホメオパシーなんてものは全く知らず、
ただ単に「飲んでみた」だけ。そしたら、嘘のように痛みが治まったんです。
これが一度だけなら何とも思わなかったんですが、二度三度と続いた。
レメディーなるものを飲んでみると、痛みが治まる。
これは効果があるのでは? と思い、通販で海外の薬局から
レメディーを買ってみました。
(薬じゃないから薬事法には含まれないんだと思う、知らないけど)
すると、肩こりだとか肌荒れにも、効果がある。
胃痛や吐き気なんかも、レメディーで治ってしまう。
そういう体験をしたんですよね。
効くんですよ。少なくとも、うちの奥さんの場合は、確実に効くんですよ。
でもね、原理が意味不明すぎる。(゜△ ゜)
ここにレメディーとは、希釈後の液を砂糖玉に吸わせたもののことです。
毒物といえば、タバコもホメオパシーで処方される物資のひとつです。
今日のひと言:現代医学は「毒を制するに正反対の毒」を使いますが(アロパシー:allopathy)、ホメオパシーでは逆です。健康状態に戻すのに、現代医学では「ぶれた分を谷底に戻す」という感じで治療しますが、ホメオパシーの場合は毒に中毒した状態に、同種の毒を加え、「ぶれをちょっと増幅させて」治療するのだと思うのです。
毒は、薬にもなるという事実を明示しようとしているのがホメオパシーだと思います。ただし、研究者の中には、ホメオパシーが「プラシボないしプラシーボ:偽薬」以上の何者でもない・・・つまり無効であるとする人も沢山います。
http://www.mja.com.au/public/issues/192_08_190410/ern11179_fm.html
また、2010年8月11日の朝日新聞の記事に「通常の医療行為を拒否・ホメオパシーだけやって、複数の死亡例があった」と書いてありました。通常の西欧医学への大きな不信感が生んだ悲劇だったようです。特に女性に信じる人が多く、朝日新聞はそのカルチャーセンターで複数のホメオパシー講座を開いていたのに、一転否定する立場に廻る変わり身の早さがスゴイ、とある週刊誌に書いてありました。
どんな事柄についても、発想的には面白くても、それを実証するのはとても困難だと思います。
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今日の一句
天高く
二分する雲
飛行機や
(東から西へと、太陽と競い合うかのような飛行機雲を見て)