虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ユダヤ人が迫害された理由


 まず、何をもって「ユダヤ人」と呼ぶか、について。


ユダヤ人ヘブライ語: יהודים, 英語: Jew)とは、ユダヤ教を信仰する者(宗教集団)、あるいはユダヤ人を親にもつ者(民族集団)という2つの捉え方がある。中世以前は前者の捉え方がなされていたが、19世紀の国民国家出現以降は差別する側からもされる側からも後者の捉え方が出現した。日本においてはほぼ一貫して「ユダヤ人」と呼称され「中東イスラエルに住む、ユダヤ教を信仰する民族」として認識されている。日本では信仰としてユダヤ教を信じる者は「ユダヤ教徒」と呼称され、「イスラエル国家を形成する民族ユダヤ人」とは別として認識・呼称される事が多い。

   ( Wikipediaより引用)
 ここに、母親がユダヤ人なら、子供もユダヤ人と見なされてきたようです。日本の場合は、父親が日本人なら・・・というのと、好対照ですね。


ユダヤ人には「反ユダヤ主義」というフィルターが懸けられてきました。

1902年 - ロシアでユダヤ人が世界征服を企んでいるとする、シオン賢者のプロトコル(議定書)が作成される。
制作者はロシア秘密警察とほぼ推定されており、これは、当時ロシア民衆が持っていた不満をロシア皇帝からユダヤ人にそらす意図で作成された本と考えられている。1921年には英『タイムズ』紙の記者により捏造本であることが解明・報道されたが、すでにこの本を読んだ民衆は、内容を信じ込み、よりあからさまにユダヤ人の排斥運動(ポグロム)が起きるようになった。

  これもwikipediaより。


ナチスヒットラーも信じた陰謀の書、それが「シオン賢者のプロトコル(議定書)」です。ユダヤ人は、商人としてしか生きる道はなかったのに、この疑惑。誇大妄想ですね。ただ、この本、私も、ノストラダムスの1999年7の月と同じようなノリで、当時結構まじめに読んだことがあります。それなりに面白い本でした。もっとも、自国の政府に対する不満の捌け口をユダヤ人に転嫁する態度は、ユダヤ人流浪の民となってからも、根強かったでしょうね。

この反ユダヤ主義を根底から支えたのは、


#イエス
 『出エジプト』と『バビロン捕囚』をみれば、ユダヤ人が、3000年も前から、差別と迫害の中にいたことがわかる。しかも、特定の反逆者や罪人に限らない『民族』という大きなくくりの中で。さらに、その1000年後、ユダヤ人迫害を決定づける歴史的大事件がおこる。イエス キリストである。なぜ、イエス キリストがユダヤ人迫害を決定づけたのか?映画『パッション』を観れば、2時間で理解できる。
 この映画のテーマはたった一つ、『イエス キリストの受難』だ。イエスは、ひたすらムチ打たれ、血まみれになり、ゴルゴダの丘で十字架刑に課せられる。そして、その執行人はユダヤ人だった。さらに、銀貨30枚でイエスをうったユダも、ユダヤ人。イエスを迫害し、抹殺したのは、ローマ帝国でも、ヘロデ王でもなく、ユダヤ人である、という主張がそこにある。

http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-60.htm
http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-61.htm
より。


救世主・イエスを処刑したのは、ユダヤ人だ!という単純明快すぎる善悪感をもってユダヤ人を断罪してきたのですね。ヨーロッパ人の精神レベルは子供なみでしたね。言われてみれば、あっけにとられる理由でした。引用文にある「パッション」というのは「受難」の意味で、「パッションフルーツ」の実る「時計草」の場合、おしべ、めしべがちょうど時計の針のようになっており、見方を変えれば十字架に懸けられたイエスを連想させる花でもあります。そして、イエス・キリストは、ユダヤ人から見ると、救世主でもなんでもない=新約聖書を認めない点も、一般のヨーロッパ人から見ると、腹の立つことだったのでしょうね。もっとも、救世主イエス・キリストユダヤ人であったことをヨーロッパ人は認識していたのでしょうかね。ヨーロッパ人のような頑迷な人々を導く人だったはずですが・・・


今日のひと言:それにしても、もしイエスやユダがローマ人だったら、ローマ人は自分自身を許せるのでしょうか?ユダヤ人に対する寛容さが欠けると思います。だれもがユダ裏切り者)になりうる・・・一人ひとりがユダなのだと思います。ユダがユダヤ人だったからと言って、一般のユダヤ人を迫害するのは、「罪深き」一般西欧人の、もっとも罪深い点だと思うのです。ヨーロッパ人は、ユダにこそ懺悔すべきなのかも知れません。



過去ログ
旧約聖書・創世記の問題記述:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061231
 物悲しいイスラエルの国歌:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080530


ユダヤ陰謀説の正体 (ちくま新書 (223))

ユダヤ陰謀説の正体 (ちくま新書 (223))

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