虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

クラシック音楽のクラシックとは何の意味か?鼻持ちならぬかも。

私は、比較的好きな音楽ジャンルが広いほうだと思いますが、積極的に好きなのは、クラシックとロックです。この組み合わせを奇異に感じる人がいるかも知れませんが、古典的なロックグループ「ビートルズ」の曲はむしろクラシックとされることも多いようです…

『小さい農業で稼ぐコツ』(書評):スモールメリットはあるか

私には抜きがたく農家になりたいと言う欲求がありますが、その願望を一つの類型において実現した人の作品です。西田栄喜さん、農文協:2016初版です。 この方は、バーテンダーを皮切りに、ホテルマンを勤めたあと起農し、30aの狭い農地を耕し、一年で…

「あしたのジョー」と「男はつらい」:友情か愛情か、どっちを取る?

少年漫画に留まらず、過去の日本の漫画に於いて不滅の光芒を放つボクシング漫画「あしたのジョー」、連作映画「男はつらいよ」の元になったテレビドラマ「泣いてたまるか」の一話「男はつらい」の2作品を比較すると、両者には大きな共通点が見出せます。 「…

国教としての道教:唐の場合;あんな非国家的な教えを、どうして

@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思…

『詩への架橋』:詩の鑑賞者としての大岡信〜『折々のうた』の原点

大学に入学し、理科一辺倒だった私、その理科系に失望し、代わりになるものを模索していた際、他大学に文科系の友人が出来て、文学青年だった彼に推奨されたのが、『詩への架橋』(大岡信:岩波新書)でした。この本は、編者の大岡信(おおおか・まこと:1…

鄒衍(すうえん)と陰陽五行論:中国哲学の根幹の一つ「雲は金なり」

鄒衍(すうえん)は中国の戦国時代の陰陽家。斉の稷下の学士の一人。『史記』では騶衍と書かれる。略歴 『史記』田敬仲完世家の斉宣王十八年(紀元前302年)の記事に、 宣王、文学遊説の士を喜ぶ。騶衍、淳于髠、田駢、接予、慎到、環淵の徒の如きより七十六…

「♪イスファハンのバラ」とイスファハン:フォーレの甘美な歌曲

このブログを、これまで出会った薔薇フリークな女性ブロガーさんたちに捧げます。 O Leilah! depuis que de leur vol leger Tous les baisers ont fui de ta levre si douce Il n'est plus de parfum dans le pale oranger, Ni de celeste arome aux roses …

囚人服:しましま模様のフォークロア(民俗学):鍵がキー

「囚人服」というと、欧米の刑務所の映画を見ると、横の縞模様の服を着た囚人たちの姿が連想されます。(写真。wikiより)ただ、当然のことながら、囚人の着る服は国によって千差万別です。現在の日本のように、職業訓練をさせやすいように作業着を着せてい…

アンパンマン=キリスト:漫画として観る『幸せになれる宗教画』

この場違いっぽいセンテンス(等式)は、決してたわごとではありません。「最後の晩餐」の際、イエス・キリストが「このパンは私の肉、このワインは私の血」、と言いましたが、彼は自分の身体を食物であるとし、彼の血肉を頂く食事を通して弟子たちを導こう…

「巨人の星」が資本主義による高度経済成長を戯画化する

スポーツ根性物語(スポ根)の一つとして、いまでも知名度が高い「巨人の星」。原作者の梶原一騎は、並行して複数のスポーツ根性物語の原作を手がけており、「あしたのジョー」(ボクシング:高森朝雄名義)、「アニマルワン」(レスリング)、「柔道一直線…

植物詩人としての私:遥かなる牧野富太郎博士

大学教養課程のとき、哲学者:ウィトゲンシュタインの講義を取りましたが、その講座の講師:坂井某という人、相当に偏見を持った人でした。ひとつに、反核兵器運動をやっていたアインシュタインとかラッセルとかは、知的レベルが低い、とか、牧野富太郎さん…

『近代文学の女たち』(『にごりえ』から『武蔵野夫人』まで)前田愛

ここに書く「前田愛:まえだあい」さんは、男性で、文芸評論家です。1931−1987。(同名の女優がいますね) 「国文学者、近世文学、近代文学の独創的研究で知られる。著者独自の身体論、文化記号論を自在に援用して、小説の構造・作家の意図や仕掛け…

墨子と墨家:古代中国の発想はフランス革命より2千年余先進した

@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思…

操体法の驚異:体の設計にミスはない・「体操」ではないよ

「楽しく」体の歪みを取る体操があります。「操体法:そうたいほう」。橋本敬三医学博士が開発したもので、体を快方向に動かします。具体的には、例えば仰向けに寝た状態で足を左右それぞれ伸ばしてみると、痛い方と痛くないほうの違いを感じるはずです。そ…

芥川龍之介と『河童』(かっぱ)〜鬼才最期の光芒

芥川龍之介には長編と見なされる小説作品はほとんどなく、短編作家だと認識されています。ただ、晩年に書いた『河童』は、彼としては珍しく中篇小説で、この作品を書いて以降、彼の作品は短編に戻り、『点鬼簿』、『歯車』など、「死の影におびえるような」…

「カサブランカ」:戦時下の極上ラブストーリー

以前、スーパースターの沢田研二が「カサブランカ・ダンディ」という歌を歌っていましたが、この曲のなかで、「♪ボギー、男のやせ我慢、粋に見えたよ」というフレーズが出てきますが、このボギーというのが映画「カサブランカ」の主役:ハンフリー・ボガート…

漢字の話題3つ(災・徳・争):即物的な中国人(この場合長所)

@1「災」:「災害」の「災」と言う字でも単独で「わざわい」を意味しますが、この漢字は「上の(くの字3本で)「水」を意味し、下は言わずと知れた「火」です。古代中国人は「水」と「火」で災害を代表させていたのですね。 さらに、まさかといえる漢字も…

『舟を編む』(映画):気の長〜い仕事

この映画の原作は、2012年「本屋大賞受賞作」の同名小説。「三浦しをん」さんの作品。架空の大国語辞典「大渡海:だいとかい」編纂を巡るスタッフたちの「静かな奮闘」が描かれています。総括者は加藤剛さんが演じ、定年で社を辞めるスタッフ(小林薫さ…

『女系図でみる驚きの日本史』のインパクト

この本は大塚ひかりさんが物した新潮新書の一冊で、通常男性を中心に描かれる家系図を、女性を中心に描いてみるとどんなことがいえるか、実行した記録です。10講、5補講からなる労作です。 著者の大塚さんは、中学生のころから古典に関心が高く、古典のう…

江ノ電と私:蒼い年頃の私の彷徨・砂の記憶(散文詩)

1978年、それは私が東京大学理科一類に入学した年ですが、なんとも速く理科系に関するやる気を失い、スケッチブックを片手に関東圏をスケッチ旅行で回りました。その意味では、三浦半島一帯は、良い画題に満ちていて、期末試験への出席をボイコットして…

老子はメタボか?・・・中国の理想的人物像とは。

@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思…

この、碌でもない東京大学工学部・都市工学科:玉石あり石多し

私は、東京大学理科1類に入学したあと、文転(文科系学科への進路変え)を考えていましたが、普通の進学先である表題の学科を専門に選びました。都市工学科は当時「都市計画コース」と「衛生コース」に分かれていて、前者は当時(1980年代初頭)大変人…

『青い山脈』の舞台はどこか?〜青い色の特質

青い山脈か? 赤城山の連峰。→ 往年の人気映画『青い山脈』は、まさしく国民的な作品でした。私はたしか観たことはなかったですが、興味深い映画です。高校生の青春群像を記したものかと思います。 この作品の概略をwikiから。 青い山脈(あおいさんみゃく)…

『青い山脈』の舞台はどこか?〜青い色の特質

長谷川等伯と俵屋宗達:偉大な絵師たちの共通点と相違点

長谷川等伯(はせがわとうはく:1539−1610)と俵屋宗達(たわらやそうたつ:?−?:生没年不詳)は、どちらも国宝である絵画を複数残し、絵画マスターであることが共通です。その活躍年代からして、等伯が宗達にやや先行し、実年齢でも、等伯が早く…

『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子):抱腹絶倒ではなく

1973年に、ポーラテレビドラマの一作として放映された『愛子』。当時中学1年生だった私は、たまにチャンネルをあわせて観てもよく内容が解らなかったですが、なんとなく軽快でユーモラスだったな、という印象を持ちました。このドラマは作者:佐藤愛子…

『官能植物』(NHK出版):エロティックな植物たち色々(いろエロ)

以前、NHK出版の方から多肉植物:リトープスに関する質問が届き、それに関して答えたe-メールが以下のものです。 2014年11月18日 9:07 Yさま ご質問の件につき、回答いたします。 女仙(メセン)のエピソードですが、私もこの逸話は、まず友人から聞きました。…

ジョン・ハーヴェイ・ケロッグの言行:甘いグラノーラはNG

以前、オートミールの話題のなかで出て来たケロッグ社、面白そうなので少し調べてみました。http://d.hatena.ne.jp/iirei/20170412#1491981367 (オートミールに関して)ケロッグ社といえば、コーンフレークやグラノーラなどで有名な会社ですが、その共同設…

「当事者研究」@浦河べてるの家:患者による斬新な精神健康メソッド

知人に奨められ、『べてるの家の「当事者研究」』(医学書院:初版2005年)を読んでみました。ここに言う「べてるの家」は北海道浦河町にある社会福祉法人。就労サポートセンターべてる、就労継続支援B型事業所ニューべてるなど、主に精神障害者の支援、…

蘇る薩長同盟の悪夢:安部晋三と麻生太郎

この二人の政治家は、知能指数が低く、世襲政治家ということなどが共通しています。このような議員は、与野党問わず、また衆参問わず生息しています。ただ、この二人はこれらの傾向が顕著なのですね。プラス、お金に汚いことも抜群です。 安部の場合、話題の…