虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

鄒衍(すうえん)と陰陽五行論:中国哲学の根幹の一つ「雲は金なり」

鄒衍(すうえん)は中国の戦国時代の陰陽家。斉の稷下の学士の一人。『史記』では騶衍と書かれる。

略歴
史記』田敬仲完世家の斉宣王十八年(紀元前302年)の記事に、
宣王、文学遊説の士を喜ぶ。騶衍、淳于髠、田駢、接予、慎到、環淵の徒の如きより七十六人、皆、列第を賜い、上大夫と為す。治めずして議論す。是を以て斉の稷下の学士、復た盛んにして、且に数百千人ならんとす。


と記されていることから、鄒衍が稷下の学士の中での代表的な地位にあったことが分かる。
また、『史記孟子荀卿列伝によれば、騶衍は孟子よりややあとの時代の人物で、斉に仕えた後、燕の昭王の師となり、また趙に赴き平原君の信頼を得たという。


著作
漢書』芸文志には鄒衍の著作として『鄒子』49篇と『鄒子終始』56篇が挙げられているが、いずれも伝わらない。しかしその学説の大略は『史記孟子荀卿列伝に紹介されており、儒家、特に孟子の影響を受けながら五行説を唱えたと考えられている。また、儒家のいう「中国」は世界全体の1⁄81に過ぎないと主張した。

以上はwikiから鄒衍の項を持ってきました。かれは、従来からあった陰陽説に五行論を加味し、独自の発想である陰陽五行論を作ったのですね。この陰陽五行論は半ば迷信の類であると言える気もしますが、案外現代的でもあります。
拙著「災害の芽を摘む」で一項割いて解説しています:

明5 5つの働き(陰陽五行論
 物質世界の構成要素を、数種類の元素によって説明する理論は、世界各地にありますが、その物質を観察して、その性質を抽出したものです。現代科学では元素としては百種類余り、さらに細い素粒子として数種のクオークを認めていますが、その視点から言えば、火は熱エネルギー、水は化合物ですから、元素とは言えません。そういった点から、五行論はとても荒っぽく、幼稚な理論と見られていますが、私はそうは思わないのでその根拠を書き、災害の要素としての五行を取り上げようと考えます。


 まず基本的な概念として、相生説を説明します。木は(燃えて)火を生み、火は(灰を出して)土を生み、土は(内部から)金を生み、金は水を生み、水は(育てて)木を生む、とするものです。


また、五行はいろいろな事象に割り当てられます。例は表の通り。特に「働き」に注意。


言葉の素朴な意味として、「行」は「行動する」ということであり、「元素」という意味ではないことに注意してください。五行とは、「働き、機能」のことであり、元素や素粒子のような「粒子」のことではないのです。(*1)もしそうなら、五行ではなく、「五物」でも良いはずです。


例えば「鉄」は金の1つです。古来からの有力な武器であり、「人を切って傷つけます」。ところで、原水爆の落とし子、「プルトニウム」。これは猛毒で、わずかでも吸い込めば肺ガンになります。現象は異なっても、「人を傷つける、攻撃する」点では鉄と同様です。


これらの「働き」を「金」と呼ぶわけで、五行論は世の現象の間に、相似性を見出す理論なのです。どんな現象も、五行の要素に分類され、その過不足によって災害が起こります。そして、木は甲(陽)、乙(陰)、火は丙(陽)、丁(陰)という具合に、2×5=10通りに分けられます(十干:じゅっかん)。これで陰陽五行です。


以下、五行論的発想の例をあげます。私が子供の頃、「レインボーマン」という特撮ヒーロー物を放送していました。月・火・水・金・土・日の7つの化身に変身し、日本人抹殺を図る悪の組織「死ね死ね団」と戦うという設定でした。ところで、その中の「金の化身」は空を飛べる。なぜ、金が空を飛べるか、不思議でした。


ところがその理由は五行論で説明できます。金の色は白(表参照)、白くて空を飛ぶもの――それは雲です。雲が空を飛ぶのは至極当然ですよね。金の化身は雲の化身だったのです。


また「金は水を生む」という相生説は中々理解しにくく、通常は「金属の表面に水が結露する」現象をもって説明されますが、これは「水が木を生む」に比べると歯切れが悪い。でも金を雲のことだと考えると、雲が雨(水)を降らすのだから、とてもすんなり理解できます。


白は「金」の色を示すという発想は、シンプルだけど力強いものだと思います。注意したいのは、雲は水のかたまりなのだから水、とするのではなく、水を降らす働きをするから金だと考えている点です。これが、五行=機能論です。金についてさらに言えば、金の機能「攻撃する、切る」作用をもう少し一般化すると、「遮断する」とできます。身近な例では、鍋は火と水を遮断して調理します。その意味で、鍋は金。また雲は太陽光線を遮断してくもりにします。その意味で、雲も金ということになります。


その外の五行についても以上のような見方ができます。現実の物質としての水が、機能としては金となることもあるわけです。物として、固定的にとらえない、これが陰陽五行論の最大の長所だと考えます。


参考文献 *1 算命学(かんきブックス)八木橋信忠



今日のひと言:参考文献からインスピレーションを受けましたが、ここでの記述の展開は、私のオリジナルです。なお、仁義礼智信の倫理五項目(五常)も陰陽五行の影響の内にあります。



諸子百家 (講談社学術文庫)

諸子百家 (講談社学術文庫)

災害の芽を摘む―狼を手なずけよう

災害の芽を摘む―狼を手なずけよう

陰陽師―安倍晴明と蘆屋道満 (中公新書)

陰陽師―安倍晴明と蘆屋道満 (中公新書)




今日の一品


@ナスの煮浸し



弟作。ナスを縦に切り、塩水にちょっと漬け、アク抜き。取り出して網の目状に切り込みを入れ、フライパンで昆布汁を薄めた液で煮、最後にカツオ節、すりショウガを加えます。我が家では油を使いませんが、この手続きで作ったのを「煮浸し」と呼んでいます。

 (2018.07.24)



@エビチリ



弟作。中ぐらいの剥きエビを用意し、片栗粉をまぶし、クック・ドゥの調味セットを使って調理。味は良いです。

 (2018.07.25)



@モヤシのソース炒め



一袋27円のもやし。使わない手はありません。卵をあらかじめスクランブル状態にしておき、ゴマ油、モヤシ、キクラゲ、クコの実を炒め、中濃ソースをたっぷり、さきほどの卵を加え、しあげにナツメグ

 (2018.07.25)



ラタトゥイユ



数年ぶりに作った、フランス風野菜のごった煮。熱くても冷たくとも美味しいです。賽の目切りの玉ネギ、乱切りのニンジン、みじん切りニンニクをオリーブオイルで炒め、予め鍋に沸かした水(コンソメ一個入り)に加え、ローリエ、ジャガイモを追加し、乱切りにして水でアク抜きしたナス、キャベツの葉を加え、ケチャップを適量加え、最後にオレガノを入れて完成。


参考過去ログ:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090824#1251093279

    ラタトゥイユを作ったよ!

 (2018.07.26)



@牛ばら肉の味噌・ポン酢炒め



本来牛丼用の肉をホイコーローにしようと思い、調理する途中でキャベツを入れ忘れ、表題の料理になりました。ゴマ油で炒めた肉に「味噌:ポン酢=3:1」になるように調整した調味料を加えてさらに炒め、仕上げに山椒を振りました。

 (2018.07.28)





今日の詩(2編)


夾竹桃キョウチクトウ)のソネット


今日は夾竹桃の幼木を見た。
紅い小粋な花、
細長い葉、
まっすぐな枝。


この枝を取って
箸にしたり
バーベキューの串にしたり
した人が何人もいたが


多くは絶命している。
枝には毒が多いのだ
“美しいものには毒がある”


定家蔓テイカカズラ)&日々草ニチニチソウ)も
キョウチクトウ科の植物で毒を持つ。
有毒植物は案外身近にあるものだ。




 (2018.07.25)




@台風12号と詩作


折から近づく12号
変則的で雨も降り始め
なかなか散歩に出る気がしない。


当然歩きながらの詩作は出来ない
でも、それでも室内で
書いているのがこの詩なのだよ。

 (2018.07.28)




今日の一句


つやつやと
濡れそぼちけり
イネの穂や



イネの出穂(しゅっすい)を見て。
(↑の詩を書いたあと、つかの間に雨が上がって散歩が出来ました。)

 (2018.07.28)