虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

囚人服:しましま模様のフォークロア(民俗学):鍵がキー

「囚人服」というと、欧米の刑務所の映画を見ると、横の縞模様の服を着た囚人たちの姿が連想されます。(写真。wikiより)ただ、当然のことながら、囚人の着る服は国によって千差万別です。現在の日本のように、職業訓練をさせやすいように作業着を着せている国もありますね。フランスやデンマークの場合、囚人は「私服」を許されています。



アングロサクソン系国家は、歴史的に案外囚人を「差別するための」服を着用させた歴史があります。アメリカはしましま服を着用させていましたが、20世紀はじめには廃止されたそうです。イギリスでは「ブロードアロー」(写真。Wikiより)という図案をスタンプした服を着用させていました。これも20世紀前半に廃止されました。


ちょっと、横縞の囚人服で考えたことがありますが、この模様はその心として「強い拘束」を意味する・・・あたかも「西遊記」で、言うことを聞かない孫悟空を懲らしめるため、孫悟空の頭に巻きつけられている「キンソウジュ:↓の絵」が、三蔵法師の呪文で、堅く孫悟空の頭を締め付け、激痛を与え無理やり三蔵の意志を実行させるという話とパラレルかと思います。横縞の囚人服は囚人の体を「バナナを切るように輪切り」にし、その分激痛を彼らに与えるというわけです。まあ、もちろんその激痛は、官憲によって与えられる「抽象的」な痛みではあるのですが。


西遊記 (10歳までに読みたい世界名作)

西遊記 (10歳までに読みたい世界名作)



囚人服には、仮に囚人が脱獄した場合、仲間が私服を用意していると、着替えをして何食わぬ顔で、市中に消えていくことも出来るわけで、完全に囚人を支配できないというジレンマがあります。その意味で私服を許すフランスの制度は、そのジレンマがほとんど解消されているのか、と思います。


監獄に収監して、一定期間自由を奪うというのが、人の基本的人権、行動の自由を奪うことは事実だと思いますが、これは許されることでしょうか?直接的には看守と囚人の力関係です。同じようなシチュエーションが考えられるのは、精神病院における看護職員と患者の関係です。鍵は、言葉のとおりキーのありようです。


精神病院には、開放病棟閉鎖病棟の2種類あり、後者は、病院生活の全ての局面に当たって、看護職員が持つキーによって患者は支配されます。さらに、「保護室」という特別な一人部屋があり、自傷他傷の恐れのある患者を周囲から隔離します。奇特な精神科医がいて、看護職員が患者をキーで支配するのは問題だとばかりに、閉鎖病棟を廃止した精神病院を立ち上げた人です。(群馬県の某病院)・・・案外混んでいるらしいです。繁盛していますね。(ごく最近知ったのですが、この病院は閉鎖病棟を開設したらしいです。)


ただ、私はこの精神病院の方針は「間違っていた」と思います。患者にとって、病院で自由気ままに振舞えることは、それで病状が良くなる人もいるでしょうが、大多数の患者の場合、病状が悪化することもあり、と言えると考えます。


@病状を抱えた人と、それをケアする看護職員には、厳然たる「階級差」があってこそ、患者は自分の立ち居地に立ち返ることができると思います。そして、その認識を基礎として、正常な精神を取り戻すよすがとなる・・・だから「キー」があって然るべきなのです。@


翻って刑務所の囚人たちについても、上の精神病院の理屈がそのまま成り立つと思います。むしろ、精神病院以上にキーの価値はあるのだと考えます。監視するもの、監視されるものが明確に区別されるべき施設ですね。(@〜@の記述とパラレルです。)



今日のひと言:そのように、キーがある施設では、基本的人権・自由は制限されますが、筆者はこの差別は、そこに住むことを余儀なくされた人はそれまでと違う精神を開拓できる可能性があるのです。ちなみに精神病院で制服、ましてや横縞模様の囚人服を着させられることはなく、基本的には私服ですね。(そんな訳で普通に生活している人で、横縞模様の服を着ている人を見かけると、複雑な感情が湧いてくるのです。)


なお、今回ブログの情報源はwiki「囚人服」でした。




精神科ER 鍵のない診察室 (集英社文庫)

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今日の一品


ジンギスカン風焼き肉



弟作。ラム肉と玉ネギを中心とした料理。オリーブオイルを熱しニンニク、唐辛子を炒め、ラム肉、タマネギを投入、塩、タイムで風味を整え完成。(翌日エゴマの葉で巻いて食べました。)

 (2018.07.13)



@エンツァイ、マッシュルーム、クコの実の炒め物



エンツァイはヒルガオ科の野菜で、中国南部〜東南アジアが原産地。別名が多く、空芯菜アサガオ菜などとも言います。食味は良いのですが、加熱後急速に色が翡翠色からくすんだ緑になるのが残念です。2、3個に切り分けたマッシュルームをゴマ油で炒め、7、8センチに切り分けたエンツァイを投入、ナンプラーで味を整え、最後にクコの実。


参考過去ログ:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090903#1251957783

  エンツァイの炒め物(2本立ての後半)

 (2018,07.14)



@ふやかし目刺しのマヨネーズ和え



一昼夜水に浸した目刺しにマヨネーズを掛け、一品としました。苦いですが、マヨネーズでいくらか中和しました。

 (2018.07.16)



@味噌田楽




弟作。「切れ込みをいれた長方体のコンニャクを、串に刺して売っている」味噌田楽を串ごと茹で、温まった所で皿に置き、タレの味噌を掛けます。ふうふうしながら食べます。

 (2018.07.17)






今日の詩


@牛車(ぎっしゃ)


朝外に出ると、牛の厩舎の匂いがした
私が田舎で少年期を過ごしていたとき
牛を飼っている農家があり
よくその香りを嗅いだものだ。


不快な香りではなくむしろうっとりしたものだ。
さてはこの地に平安期のように
やんごとなきお姫様がいて、
牛車に乗ってお出かけするのだろう。

 (2018.07.13)





今日の四句


田一面
ネットを張るや
鳥除けに



 (2018.07.13)



根を張るや
アメリカセンダン
水路にも



生活力の強い、憎まれっ子。

 (2018.07.15)



こんにゃくの
縄文土器
晴れ姿




こう見えても一枚の葉が炎を描きます。

 (2018.07.15)



古民家の
屋根に息づく
ウコギかな



ウコギ(五加皮)は五枚葉の木。春先の葉を食べます。

 (2018.07.15)