虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

江ノ電と私:蒼い年頃の私の彷徨・砂の記憶(散文詩)

1978年、それは私が東京大学理科一類に入学した年ですが、なんとも速く理科系に関するやる気を失い、スケッチブックを片手に関東圏をスケッチ旅行で回りました。その意味では、三浦半島一帯は、良い画題に満ちていて、期末試験への出席をボイコットして絵を描きに行きました。そのころは、ドイツ語が第二外国語であることには疑問も持たず、大学の春休みに一念発起してフランス語を学習して、文学部フランス文学科に文転しようと思うまでには至らないころのことでした。


鎌倉、江の島といえば、北関東の小学校の修学旅行の目的地であり、この地を訪れたのは2回目でした。でも、青くさい言い方をすれば「青春の悩み」を抱えて懊悩していた私にとっては、小学生の頃と物の見え方が多少は異なり、事物の奥に隠れている実相を見つけ出したいという欲求を抱いていました。そこでの収穫は、「詰まらない」理科系の学問には、求めても得られないものがあるだろう、と思ったことでした。


この頃の私のBGMは、1977年から大ヒットを記録していた「迷い道」のシンガーソング・ライター:渡辺真知子さんのアルバム「フォグ・ランプ」。なかでも「ブラック・エンジェル」という曲が一押しでしたね。性別は解らないながら、自堕落な生活をする友人の「黒い天使」を気遣い、そんな生活、続けちゃダメよ、とたしなめる曲でした。当時の私は自分をこの「ブラック・エンジェル」になぞらえていました。


この地域での代表的な移動手段はもちろん「江ノ電」です。どんな電車かというと、wikiから引用すると


東京から一時間弱という近距離ながら、単線でローカル線の雰囲気を満喫でき(日中12分間隔運転なので適度な利便性を確保)、なおかつ、沿線が「若々しく明るいイメージの湘南・江の島」と、「かつて幕府があった古都鎌倉」という、古くからの首都圏における著名な観光地である。そのため、沿線には、豊富な観光資源と名勝・旧跡が多数存在している。さらに江ノ電自体が特徴的で被写体になりやすいところから、テレビドラマやグラビア写真の撮影に利用されることが非常に多く(「江ノ電を題材とした作品」の節を参照)、『SLAM DUNK』などの漫画にも時折登場し、その認知度は日本国内のみならず、世界的にも知られた鉄道路線である。特に近年では鎌倉高校前駅の踏切で撮影を行う観光客が増えており、踏切付近に警備員を配置するなど安全対策を強化している。


正式社名の「江ノ島電鉄」で呼ばれる例は少なく、一般には「江ノ電」と呼ばれ、自社でも積極的に「江ノ電」と呼称している(グッズその他で「えのでん」と平仮名書きすることすらある)。


このスローな感じが良いのですね。私は江の島でも降車し、江の島灯台をフィーチャーしたクレヨン画を描きました。今この絵を観ると、精神の高ぶりというか、神経が張りつめた状態だったことが読み取れます。荒いタッチで自分をスケッチブックに叩きつけるという感じです。



この小旅行の際、江ノ電にまつわるエッセイ集『江ノ電暦日』(たしか伊藤海彦:著)なるものを買い求め、そのしっとりとした、愛すべき江ノ電についての記述を堪能しました。今は手元にありませんが、よいエッセイ集でした。「夏場、江ノ電の車体のなかに落ちていた夏の名残の「砂」に、それを落とした人の様子を想像してみた、」というお話が記憶に残っています。


今日のひと言:上で期末試験をボイコットしたと書きましたが、この科目は「進学に絶対必要なもの」で、落とすと留年になってしまいますから、担当教授に「嘆願書」を出し、追試験を受けてなんとか進級できました。かっこよくないエピソードでした(汗)。


関連過去ログ  http://d.hatena.ne.jp/iirei/20170809#1502277983

  :太陽への呪詛:若き日・ナルシストだった私・スケッチ紀行



江ノ電のある風景―写真でたどる江ノ電40年の歩み

江ノ電のある風景―写真でたどる江ノ電40年の歩み

江ノ電10キロ15駅の小旅行 (OAK MOOK)

江ノ電10キロ15駅の小旅行 (OAK MOOK)

地図で歩く鎌倉 江ノ電

地図で歩く鎌倉 江ノ電

フォグ・ランプ

フォグ・ランプ






今日の一品


@牛ばら肉のウルイ炒め



牛丼用の肉を炒め、火がとおったら、ウルイ(ギボウシ)を入れ、さらに炒め、塩、ナツメグを振って仕上げ。ウルイのかすかな苦さが牛肉と調和していました。

 (2018.05.07)



@タイ風ハンペンの煮物


正方形のハンペン2枚をそれぞれ4分の1に切り、水にナンプラー・刻みパクチーを入れて湧いたお湯に投入、3、4分煮ました。:単純な味覚の食材は、どんな国の料理にも出来るようです。

 (2018.05.08)



ゴーヤチャンプルー



弟作。ゴーヤ、豆腐、クコの実、卵をナンプラー、醤油で炒め、カツオ節、胡椒、小エビで味を整えました。我が家ではこれまで卵を入れなかったのですが、この料理には入れてみました。

 (2018.05.08)



@コゴミのお浸し



さびれたスーパーで7、8本いり100円で売っていたコゴミ。超廉価なので一パック買ってきて、昆布だし、ポン酢で和えました。ヌメリがあって美味。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160508#1462654518

 :ワラビ、ゼンマイ、コゴミ:おなじシダ類でも個性が違う

 (2018.05.10)



@モーカのマリネ



一部の人には有名なモーカ(サメ)。今回はカタマリのまま茹でて冷やし、切り分けれて「醤油+梅サワー漬け+砂糖+山椒」で味付け。さっぱりしていてグッド。

 (2018.05.12)





今日の詩


@背を競う(背比べ)


この春5月、
成長した草草は
子孫を残すため
背を伸ばす。


地味なギシギシも
可憐なアカツメグサも
高さを競い
両者疲れている様子。


そこへ行くとタンポポ
背が低いまま
綿毛を飛ばして
新天地に行く:クレバーだ。

 (2018.05.07)





今日の三句


ヒルガオ
さぞ けだるげに
咲きにけり


 (2018.05.12)



芝養生
野草が育つ
オフリミット



 (2018.05.12)



未熟なり
赤いドドメの
酸味よし



クワの実(ドドメ)は未熟な酸っぱいうちに採取・乾燥し、救荒食にします。

 (2018.05.12)