国教としての道教:唐の場合;あんな非国家的な教えを、どうして
@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思われるのです。@_@
老荘に始まる道家の思想が、民間信仰の神仙思想などとと融合し、後漢末に宗教として成立し、中国独自に展開した。
道教(Taoism)は、儒教とともに中国固有の宗教である。その源流は、春秋戦国時代の諸子百家の一つである老子や荘子の道家の思想(老荘思想)を中核として、それに原始的なアニミズムから始まる神仙思想、易および陰陽五行説、讖緯説などが融合した宗教と言える。とくに老子と荘子の「道」の思想(「道」は天地よりも先にあって、すべてのものを生み出す根源であり、人間の知恵を超えた、世界を支配する根本原理とする)が道教の基本理念となり、老子が道教の祖と考えられている。道教教団の初めは、2世紀半ばの後漢の張角の太平道であり、後漢末の農民反乱である黄巾の乱の原動力となった。さらに後漢末の張陵などの五斗米道は天師道とも言われ、四川を中心に大きな勢力となった。
唐は道教を国教とする
唐では道教は国教として保護の対象となっていた。その直接的な動機は唐王朝を建てた李淵・李世民親子が同じ李姓の老子を始祖とする道教を信仰したからである。しかし当初は他の宗教に対しても寛容で、同時に貴族層に盛んであった仏教も保護を受けていた。また、都長安の国際的な文化の一面として、三夷教といわれる景教(ネストリウス派キリスト教)、祅教(ゾロアスター教)、摩尼教(マニ教)も盛んだった。これらの宗教の間で協議論争が行われることもあった。しかし、仏教寺院が華美になってその保護が国家財政を圧迫するようになった武宗の時には、武宗が道教の信者であったこともあって、道教が優勢となり、会昌の廃仏が行われた。
http://www.y-history.net/appendix/wh0301-066.html (「世界史の窓」より)
老子は「李聃:り・たん」とも言われ、確かに「李姓」です。でも、だからと言って、道教を国教に据える唐王朝には、首を傾げざるを得ません。普通の王朝なら、たぶん儒教を国教にして、儒教道徳を政治の根幹にするでしょうに、道教のように一般的な道徳には冷淡な宗教では、国家の運営に異常をきたすかも知れません(笑)
ちょっと時代をさかのぼれば(3世紀、魏の末期)「竹林の七賢」のように、老荘カブレでいけ好かない連中が隠遁生活を楽しんでいました。
私は老荘思想が、世界に対峙する視点を持たないとは言いませんが、世界について、斜に構えるだけの空虚な立場も取りえるのだと思います。
今日のひと言:私は老子を高く評価しますが、万能であるとは言えないと思います。老子に対して否定的ではもちろんありませんが、限界はあると思います。彼は荘子に比べ、政治向きの話題を取りあげますが、「大国・小国」の論は、彼の文章に親しんだ私でも矛盾を感じることがあるのです。『老子』61章に「大国は川の下流で、小国は上流である。川が支流から本流に流れるように、小国は養われるのを、大国は養うのを望む。」(小川環樹:訳注)とあります。私はそんなに国家間の関係は、生易しいものではないと思いますし、80章では「小国寡民:しょうこくかみん」という61章に矛盾するようなことを書いています。この矛盾は、いまでも私には解けません。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070902
そこへ行くと荘子は、政治向きのことは取り上げず、各人のこころの救済が課題になっています。福永光司さんが、荘子は釈迦ほど平和な時代に居合わせたのではなく、戦国時代という「生き馬の目を抜く」厳しい時代に生きた分だけ、こころの救済に益するのだと述べています。
ちなみにこの前、実存主義うんぬんと取りあげた話題、この福永さんの新書本で一瞥したのを忘れていました。私からすると、この発想は、福永さんとは独立に思い付いたという感じがします。(優先順位とすれば、それは福永さんが先です。)
参考過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20180212#1518372923
:荘子とムルソー(『異邦人』の主人公):時空を超えた「実存主義」
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今日の一品
冷製麺を食べたかったので、ヒモカワ(≒キシメン)を茹でて冷やし、タラコスパゲティ・ソースを混ぜて食べました。これは冷製でも美味しい。
(2018.08.05)
@タラのバジルソテー・ヒラタケ添え
予めタラ(鱈)にバジルソースを塗りたくった商品をオリーブオイルでソテーし、タラを取り出し、そのフライパンにヒラタケを投入してこれも残った味つきオイルでソテーし、一皿に。
(2018.08.06)
@貝割れ大根とシラス干しの和え物
このまえ擂りダイコンでやってみた料理を、貝割れ大根でやってみた次第。貝割れの辛さがシラス干しの風味に花を添えます。
(2018.08.07)
@厚揚げステーキ
id:k10no3さんが取りあげておられた「厚揚げのステーキ」。具沢山で醤油で味付けていましたが、私はケチャップ、塩、オレガノを練ってシンプルに焼いてみました。確かにステーキになります。
(2018.08.07)
@モロへイヤとヒラタケの炒め物
通常はお浸しにするモロヘイヤを炒め物にしました。留意点は、シュウ酸を含む野菜なので、中和する食材:スリごま、カツオ節などを加えます。まずヒラタケをゴマ油で炒め、モロヘイヤを加え、醤油を加え、最後に上の2つを加え少々炒め、完成。
(2018.08.09)
今日の詩
@自販機(散文詩)
本日行った図書館で、よくよく自販機をみると、(アンパンマン)のジュースを売っているものがあって、値段帯が110円(容積大)と80円(容積小)に分かれていた。110円のものは果汁1%程度、80円のものは果汁100%。私はためらわず80円を選んだ。値段が逆のような・・・
この値段設定、大人より子供がターゲットだとすれば、それは理に叶っている。子供に安く安全なジュースを買い与え、大人は高く安全とは言えないジュースを飲む。これは大人の慈悲心を表現しているのか・・・なんてね。
(2018.08.05)
今日の一首
@耕耘機(こううんき)
食用の
カキナを潰す
耕耘機
それほど食うに
困ってないか
この畑では、2回カキナを潰しましたが、3回目の芽吹きが確認されました。
(2018.08.08)
今日の二句
川べりに
どこで鳴くかや
ウシガエル
鳴いていたあたりを鴨が4羽泳いでいました。
(2018.08.05)
卒塔婆(そとうば)を
気軽に燃やす
墓主ら
卒塔婆は、墓石の代わりになる木製の柱(杭)。有難そうなのに、実際は扱いが雑なようで・・・
(2018.08.05)