虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

『知識ゼロからの史記入門』(書評)::横山光輝・挿絵

東洋の叡智・司馬遷の『史記』は、大学時代教養課程の授業で取ったことがあり、私に得も言われぬ感銘を与えました。そのときの知見は、以前もブログにしました。http://d.hatena.ne.jp/iirei/20121011#1349950304 :天道是か非か〜〜司馬遷の慟哭このエント…

古賀春江:日本におけるシュルレアリスムの魁(さきがけ)

ブログ友のid:SPYBOYさんが言及されていた日本のシュルレアリスムの魁(さきがけ:先駆者)、古賀春江(こが・はるえ)さんに興味が湧いたので、図書館から画集『日本の水彩画5 古賀春江』(監修:匠秀夫、編著:古川智次/第一法規株式会社)を借りてきて紐…

老子と尹喜(いんき:関守)の交流〜心意気に感じる

@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思…

『君の膵臓をたべたい』:自己完結型だった「僕」が変身するまで

表題の本は2015年に出版され、累計150万部売れたという「住野よる」のベストセラー。実写版で公開されていて、アニメ映画でも取り上げられるらしいです。そもそも「膵臓:すいぞう」というのは、極めて重要な臓器で、ここがガンになると、最悪5年生…

『川柳少女』(漫画:五十嵐正邦):何故に川柳?

知人が読んでいた表題のマンガ、なにやら文芸的で面白そうだったので、一冊買って読んでみました。第一巻、ほぼ4コママンガの体裁をとります。講談社発行。このマンガは主人公で、思いをしゃべらず5・7・5の川柳に託して伝える少女(高校生):雪白七々…

宇宙旅行は出来るか?:それは無理。栗原康氏の視点

図書館から、2011年のNHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた〜密着・最終選抜試験」を借りて視聴してみました。 このDVDでは、宇宙飛行士になる入り口が実に狭き門で、厳しい選抜試験を勝ち抜かねばならない、という事実が前面に押し出されていま…

荘子とムルソー(『異邦人』の主人公):時空を超えた「実存主義」

荘子とカミュの作品の共通点を書いてみたいと思います。荘子は古代中国の哲学者(道家)、カミュは20世紀フランスの実存主義哲学者・小説家です。 妻の死問答 荘子の妻が死んだ。恵子が弔問に出かけた。荘子は盆をたたきうたっていた。 (恵子:けいしは荘…

『肉体の悪魔』(ラディゲ):不倫のゆくえ(悪魔とは何か?)

『肉体の悪魔』は、第一次世界大戦中のフランスが舞台の小説で、わずか20歳で腸チフスのため夭折したレイモン・ラディゲのデビュー作で、ベストセラーになった小説です。ラディゲ自身も人妻との恋愛を経験しているので、その経緯をこの小説に叩き込んでい…

相須(そうす)と食べ合わせ(合食禁):食材同士の相性

以前、友人の鍼灸師の人から、「唐辛子とニンニクは、お互いの毒を消しあう相互作用がある」と聞いたことがあります。その意味で言うと、韓国料理のキムチは唐辛子とニンニク、両方使いますので、理に叶っているとも言えます。今回はこのような食材の組み合…

ジョン・ダンの詩〜機知に富む戯れ歌(ざれうた)

大学の教養課程の英語の授業で、中世イギリスの詩人にジョン・ダンと言う人がいて、「蚤:ノミ」を始めいくつかのユニークな詩が伝わっていると聞いたことがあり、さてさてどんな詩人かと調べてみました。 17 世紀形而上詩を代表する詩人の一人ジョン・ダン…

0(ゼロ)の特質:この数の恩恵で数学は発達した。

インド人が発明した数字「0:ゼロ」は、それまでの数学は元より、社会にも影響を与えました。 ゼロの効用には2つあり、1)+1と−1の間で数直線を2分する数、2)もう一つは位取り記数法において「空位」を示す記号。1200という数なら下二けたが空…

サミュエル・ジョンソン〜愉快な大文豪&ちょっと変な辞書編纂者

サミュエル・ジョンソン(wiki)→ 祝!広辞苑第7版出版!!(第5版には「広辞苑」という言葉は載っていなかった。奥ゆかしい。) 私は大学時代から「世界史こぼれ話」(三浦一郎:著)に親しみましたが、 http://d.hatena.ne.jp/iirei/20171108#1510124675 …

サミュエル・ジョンソン〜愉快な大文豪&ちょっと変な辞書編纂者

中国酒と固体発酵:世界的に珍しい蒸留酒(汾酒は美味)

私は一時期、凄腕の鍼灸師と友だちになり、中国文化の素晴らしい事どもを教えてもらったのですが、その一つが中国酒です。黄酒:ホワンチュウ=醸造酒(紹興酒など)、白酒:パイチュウ=蒸留酒、混成酒=リキュールに3分類されますが、このうち、本稿では…

花言葉の不思議:この本質的な言葉、誰が付けたの?(梅と桜)

Bonne année et bonne santé ! С Новым годом ! 世にある花、全てと言ってよいほど、花言葉をつけられています。考えてみると、それは不思議なことです。必要充分条件として、その花にまつわる説話、物語が存在することが挙げられるでしょう。その意味では、…

花言葉の不思議:この本質的な言葉、誰が付けたの?(梅と桜)