虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

マンガも31通りに分類できる?

 筒井康隆さんの「文学部唯野教授」は、まっとうな文学理論と、エゴ丸出しの大学社会のドタバタを平行して書き綴った面白い本ですが(1990年・岩波書店)、この中に、文芸批評の1分類として、第8講「構造主義」があり、1928年、ロシア・フォルマリズム論客であったウラジーミル・プロップが「昔話の形態学」と言う本のなかで、「あらゆる魔法昔話」を、7つの行動領域、31の要素に分類したとのことです。全ての魔法昔話は、「主人公」だの「助手」だの「敵対者」だの「探し求められる人物」だのといった7つの行動領域を、31のやりかたで結合しただけ、というわけです。(「文学部唯野教授」P259)


参考過去ログ:パンドラの箱・・・ロシア・フォルマリズム

  http://d.hatena.ne.jp/iirei/20081122#1337305032


そこで、wikiから、それらの用語を抜粋すると

昔話の構造31の機能分類
1. 「留守もしくは閉じ込め」
2. 「禁止」
3. 「違反」
4. 「捜索」
5. 「密告」
6. 「謀略」
7. 「黙認」
8. 「加害または欠如」
9. 「調停」
10. 「主人公の同意」
11. 「主人公の出発」
12. 「魔法の授与者に試される主人公(贈与者の第一機能)」
13. 「主人公の反応」
14. 「魔法の手段の提供・獲得」
15. 「主人公の移動」
16. 「主人公と敵対者の闘争もしくは難題」
17. 「狙われる主人公」
18. 「敵対者に対する勝利」
19. 「発端の不幸または欠如の解消」
20. 「主人公の帰還」
21. 「追跡される主人公」
22. 「主人公の救出」
23. 「主人公が身分を隠して家に戻る」
24. 「偽主人公の主張」
25. 「主人公に難題が出される」
26. 「難題の実行」
27. 「主人公が再確認される」
28. 「偽主人公または敵対者の仮面がはがれる」
29. 「主人公の新たな変身」
30. 「敵対者の処罰」
31. 「結婚(もしくは即位のみ)」


七つの行動領域
1. 敵対者(加害者)
2. 贈与者
3. 助力者
4. 王女(探し求められる者)とその父
5. 派遣者(送り出す者)
6. 主人公
7. 偽主人公


「機能分類の20=主人公の帰還」という項目に絞って実際のマンガの例に当たってみることにしましょう。週刊少年ジャンプに連載されたマンガで、「DRAGON QUEST−ダイの大冒険−」(三条陸稲田浩司)は、正統的なジャンプのマンガで、主人公の勇者・ダイが敵役のラスボス大魔王バーンとの死闘に終止符を打ち、勝利したあと、伏兵が現れ「黒のコア」という原爆にも匹敵する兵器を爆発させようとします。そのとき、ダイは黒のコアを抱えて上空高く飛び立ちます。炸裂後、彼は未だに帰還しません。でも、この戦いで生き残ったものたちは、いずれ訪れるであろうダイの帰還を信じて疑いません。


また、同じく週刊少年ジャンプに連載されていた「バオー来訪者」(荒木飛呂彦)は、特務機関「ドレス」に脅威の寄生虫の宿主にされ、(この寄生虫「バオー」は、宿主を守るために宿主に驚くべき戦闘能力を授ける存在なのですが)「ドレス」本部に拉致された少女を救出するため、主人公である宿主・育郎は「ドレス」本部に乗り込み、超能力者ウオーケンと死闘を演じ、勝利しますが崩壊した海の洞窟の中に閉じ込められ、安否不明になります。助けられた少女は素敵なレディーになり、バオー=育郎の帰還を待ち続けます。


ここで挙げた2つのマンガは、たしかに「主人公の帰還」の有り様について同様な結末になっています。この場合、現象的には「主人公が帰ってこない」状態ですがむしろそのことが「主人公の帰還」というカテゴリーに入ると思われるのです。どうでしょうか?


 このような結末の例はアニメや実写版TV番組にも見られます。「鉄腕アトム」の結末もそうでしたし、「宇宙戦艦ヤマト」の第一回劇場版でもそうですし、またかなり古い物語ですが「ジャイアント・ロボ」もそう云った類型に入ると思います。
 

 ギリシャ神話の「オデッセイア」はポセイドンの呪いで散々苦労して故国に帰りつくオデッセウスの物語で、主人公がうまく帰還できた例ですね。



今日のひと言:プロップのこの驚嘆すべき理論は、人智の限界を示すものかも知れません。この類型以外の物語は作れぬものなのでしょうか?


文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)




今日の料理

モロヘイヤのお浸し



王様の野菜」というアラビア語名を持つこの野菜(シナノキ科)が日本に紹介されて20数年、現在ではたいていのスーパーでひと箱100円以下で販売されていますが、おおむねお浸しにして食べる人が多いでしょう。栄養価が高く、「奇跡の野菜」であるとも言われますね。ただシュウ酸含有量が高いので、茹でたあと15分ほど水に晒し、シュウ酸をマスクするカツオ節と、醤油で和えるのですね。


以前はよく「モロヘイヤのスープ」を作っていました。鳥ひき肉をゆがきアクを取り、刻んだモロヘイヤを入れ、塩・胡椒で味付けします。美味です。


モロヘイヤを栽培していたこともあります。ただ、普及してきたのに合わせて、私は栽培をやめました。すぐに入手できる野菜は、なにも自分で作る必要はない、と思ったからですが・・・

 (2013.09.02)



トンブリのマヨネーズ和えナツメグ風味



トンブリ」は、秋田県でよく食されるアカザ科の植物。(コキアホウキグサとも呼びます)その種を特殊な条件下で処理して膨潤させます。これもスーパーで100円程度のパック詰めで売っていることが多いです。我が家ではマヨネーズ和えを作りますが、今回、弟がナツメグを入れて変わった風味を演出しました。


*マヨネーズの不思議
 マヨネーズは卵なんか入っているのに何故腐りにくいのでしょうか?常温で置いていても良いですよね。そこは専門家に聞いてみました。


Q:マヨネーズは何故腐りにくい?
A:
 マヨネーズは主成分として植物油と食酢と食塩が配合されています。殺菌力のある酢と、細菌の繁殖を抑える食塩の両者の持つ保存性の「合わせ技」の働きにより、マヨネーズは痛まないのです(たとえマヨネーズに病原菌を試験的に添加しても、24時間以内に死滅してしまうほどだそうです。--HPより)
 ただし、開封後は酸化して分離(腐るわけじゃないが)の原因になりますので、冷蔵庫にお入れください。また、野菜や肉・魚と調理すると素材の水分でマヨネーズの防腐効果は弱まります。調理後は低温で保存し、なるべくお早めに召し上がってください。

http://www.netricoh.com/contents/antenna/ojituu/data/0048.html

 より。

 (2013.09.03)