虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2014-01-01から1年間の記事一覧

朝日俳壇四者共選二十年秀句選(1970−1990)

俳句特集その1 俳句に関する知見を広げようと、表題の俳句集を読んでみました。俳句の当代の権威4名が競うように句を選ぶという形式は、今(2014年)も変わっていないようです。20年間に渡る秀句がおおむね4500句ほど収録されていて、この本を読…

PM2.5の実態〜黄砂との相乗効果

昨年あたりから、主に中国・北京の大気汚染物質として有名になってきたPM2.5。どんなものかと、「ここまでわかったPM2.5本当の恐怖―謎の物質を科学する」 (井上浩義:アーク出版)を読んでみました。(2013.7月10日 初版) まず「PM2.5」という呼称…

早春賦(そうしゅんふ)について

いまだ冬が去らず、春も幾分かしか感じられないころの名曲。賦=詩、Ode(英語) NHK東京放送児童合唱団 ♪春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず 時にあらずと 声も立てず 氷解け去り 葦は角ぐむ さては時ぞと 思うあやにく…

「リアル」〜もう一つの「スラムダンク」

漫画家・井上雄彦(いのうえ・たけひこ)さんは、卓越した画力と優れたストーリーテラーの才能で、これまでも、バスケット漫画の「スラムダンク」とか宮本武蔵を描いた「バガボンド」などの作品を世に送り出してきましたが、今回取り上げるのは、身障者がプ…

「あの人の最期のことば100」(感想文)

この本、正式名称は「日本人なら知っておきたい! あの人の最期のことば100」 です。著者は秋庭道博(あきにわ・どうはく)さん。PHP研究所から2009年に出版されています。 秋庭さん、というかPHP研究所は「お手軽に読める本」を出す会社でして、あま…

「害虫の誕生―虫からみた日本史」(書評)

この本(ちくま新書)は、よくある害虫駆除の実際を書いた本ではありません。人間の持つ文化と虫たちの交渉史とでも言えますか。著者は瀬戸口明久(せとぐち・あきひさ)氏で、京都大学理学部・生物学科を卒業後、同大学文学部・科学哲学科学史科を卒業した経…

加羽沢美濃(かばさわ・みの)の音楽

2013年中頃、見るともなく新聞のテレビ欄をみていたところ、私の大好きなクラシック曲、「威風堂々」(エルガー作曲)をNHKのEテレで取り上げているではありませんか! 期待してその番組を見てみたら、とても満足の行く内容でした。 その番組は「ららら♪…

カレーライスの悦楽(今日の料理・特別版)

私は以前、拙ブログで、レトルトカレー「よこすか海軍カレー」の稿で以下のように書きましたが、 「にん・たま・じゃがと言うように、ニンジン、タマネギ、ジャガイモは、いまでもカレーの具材としてもっともポピュラーです。 これは、海軍のカレーにさかの…

虫めづる姫君〜堤中納言物語の一編

以前私が環境化学分析の会社に勤めていたとき、実験中の女性社員が「きゃーーー!!」と、この世もあらんばかりの悲鳴を上げたことがあります。なんだと聞いてみると、「虫がいます!」という返事でした。どれどれ・・・と見てみると、その虫は「カマドウマ…

乙嫁語り〜〜中央アジアの片隅で

アミル↓乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)作者: 森薫出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2009/10/15メディア: コミック購入: 59人 クリック: 1,445回この商品を含むブログ (434件) を見る ネットの力は凄まじい。2013年の4−5月ころ、グーグルのCMバナ…

角田美代子〜タガメ女か女王蜂か女郎蜘蛛か

角田美代子(Yourpedia) もし、路上で些細なことで老婆に因縁をつけられ、屈強な10名近くの男性たちが、自宅に押しかけ、居座り、金品、金目の物を強奪していき、生命の危機も招く・・・こんなシチュエーションに出会ったら、あなたはどうしますか? この…

角田美代子〜タガメ女か女王蜂か女郎蜘蛛か

ホッブズ・リヴァイアサン〜人は人に対して狼である

「リヴァイアサン」口絵(wiki)→ 「人は人に対して狼である」「万人の万人に対する闘争」という言葉で知られるイギリスの政治哲学者・トマス・ホッブズの「リヴァイアサン」には昔から関心がありましたが、今回・注釈書ですが読んでみました。(原典は長大…

ホッブズ・リヴァイアサン〜人は人に対して狼である

竹内栖鳳〜静と動のコントラスト

竹内栖鳳(たけうち・せいほう)は、明治・大正・昭和期に渡って活躍した画家で、wikiから引いてくると、 竹内 栖鳳(たけうち・せいほう、1864年12月20日(元治元年11月22日) - 1942年(昭和17年)8月23日)は、戦前の日本画家。近代日本画の先駆者で…

ナナコ(nanaco)とガロア(galois)〜安全な通貨とは

経済学特集 その2(結) セブンイレブンで使える「nanacoカード」は極めて便利なものですね。登録は簡単で、1000円以上供託(チャージ)すれば普通の通貨を介さずともカード上で取引ができ、小銭のやり取りも要りません。また、電子情報であることから、…

ノーベル経済学賞は有害だ

経済学特集 その1(全2話) 6部門あるノーベル賞のうち、平和賞も案外無意味なのに加え、もっとも歴史の浅い経済学賞は無意味を通り越して有害だと思います。まず、昨年の受賞に関する意見から。 今年のノーベル経済学賞受賞者が決定した。米シカゴ大のユ…

リチャード3世〜〜シェイクスピアの史劇

「リチャード3世」は、ウィリアム・シェイクスピアの初期の作品で、その時期の作品としては評価が高いもののようです。実在のイングランド王をモチーフにしたものであり、展開される修羅場が激しく胸に迫ってきます。 グロスター公リチャードは、2つの身体…

化粧するご飯〜光沢剤・精米改良剤・炊飯改良剤

以前、テレビを見ていたら、古紙を使ったトイレット・ペーパーについて「汚そうだから使いたくない」と言う男性がいました。もしかしたら、ヴァージン・ペーパーの白さに比べ、褐色ぽいからその発言をしたのかも知れないですが、いかにも文明人の傲慢さを表…

おーなり由子の「天使のみつけかた」(書評)

春風献上!A happy new year ! ! つくろう天使とこわそう天使 この二人の天使は、いつも一緒にやってきます。こわそう天使が、ゲラゲラ笑いながら、古くなったものや、今まであったものをガンガンこわしていくと、片方でつくろう天使がつぶれた場所をうめる…