虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

リチャード3世〜〜シェイクスピアの史劇

 「リチャード3世」は、ウィリアム・シェイクスピアの初期の作品で、その時期の作品としては評価が高いもののようです。実在のイングランド王をモチーフにしたものであり、展開される修羅場が激しく胸に迫ってきます。


 グロスター公リチャードは、2つの身体的欠陥を持つ者で、一昔前なら、堂々とこのブログにも書けたでしょうが、人権保護の観点から認められそうもないので書きません。また、そのことが、彼にルサンチマン怨恨)の感情を植え付けたのでは、と書くのも、同じ意味で「身障者を差別するのか」と言われそうなので、これについても書けません。


私個人としては、リチャード3世については、このことが当てはまるとも思えますし、たとえば漢の時代、宮刑に処せられた歴史家・司馬遷がねじくれたという話はないところから考えると、身体的な欠陥をどのように処理するかについては、人それぞれかと思います。


Wikiによると、

1452年10月2日 - 1485年8月22日)は、ヨーク朝最後のイングランド王(在位:1483年 - 1485年)。エドワード3世の曾孫ヨーク公リチャードとセシリー・ネヴィルの八男。即位前はグロスター公。薔薇戦争の最後を飾る王であり、戦死した最後のイングランド王である。1484年1月、王直属の機関として紋章院を創設したことでも知られる。


権勢欲の盛んなグロスター公は、兄であるクラレンス公に2人の刺客を差し向け、亡きものにします。この蛮行を手始めに、その奸智を駆使して、10名からに上る王侯・貴族を血祭りに上げます。(聞くところによれば、シェイクスピアの生没年の1564−1616は、「ひとごろし・いろいろ」と覚えるのだそうです。色々な殺人方法を劇に取り入れたことが顕著なのですね。)そして厚かましくも、自分で手をかけた殺害相手の未亡人の娘を嫁に差し出すように迫ります。


でも、彼の栄華は2年ばかりしか続きませんでした。リッチモンド伯ヘンリー(後のヘンリー7世)がフランスから攻め込んできます。その混乱のなか、リチャード3世はこう叫びます:「馬をくれ!馬を!代わりにこの国をやるぞ、馬をくれ!」・・・そして彼は敗北・殺害され、裸にされて晒し物にされます。


 この結末、シェイクスピア4大悲劇の中でも「マクベス」に似ていると思います。綿密に計画した犯罪が次々に明るみにでて、狼狽した挙げ句滅びるというあたり。シェイクスピアの劇の中でも、いまでも上演回数は案外多いのではないでしょうか。


 なお、昨年2013年になって、リチャード3世の遺骨が発見され、本人だと確認されたそうです。


今日のひと言:シェイクスピアの翻訳者としては、今では小田島雄二さんが著名ですが、一昔前なら、福田 恆存(ふくだ つねあり)さんが著名でした。Wikiでは

1912年(大正元年)8月25日 - 1994年(平成6年)11月20日)は、日本の評論家、翻訳家、劇作家、演出家。1969年(昭和44年)から1983年(昭和58年)まで京都産業大学教授を務めた。1981年から日本芸術院会員。名前は「ふくだ こうそん」とも呼ばれる。


平和論への批判をした保守派の論客であり、またウィリアム・シェイクスピアの戯曲の翻訳で知られる。昭和・戦後・20世紀を代表する思想家として名高い。


・・・とされています。ちなみに、この作品を読んで、「ちょっと饒舌」かという印象を持ちましたが、解説(新潮文庫版)でもそう指摘されていたのが、ちょっと面白かったです。



リチャード三世 (新潮文庫)

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今日の料理


@アボキュウ(アボカドとキュウリの和え物)




キュウリは糠漬けの十分塩の利いたもの。それにアボカドを合わせました。キュウリの塩味とアボカドのまろやかさが合う一品になりました。私の思いつき料理ですが、弟が命名してくれました。「モロキュウ」のもじり。なお、「阿呆宮:あぼうきゅう」と書くと、中国・秦の始皇帝の宮殿として有名ですね。

 (2014.01.09)




今日の一首



これはまた
雪を戴きし
てっぺんよ


玉扇こそぞ
おもしろかりき



玉扇(ぎょくせん)はユリ科多肉植物。夏は休眠し冬に活動します。てっぺんは平らになっていて、これは「窓」と呼ばれ、ここから光を取り入れ砂に埋まっている本体のなかで光合成をします。今回、通常緑色の植物なのに、本体が黒っぽく、窓が白くなったのには驚きました。
ただ、真冬に屋外に出すのはこの冬が初めてなので、枯れないか心配でもあります。

 (2014.01.11)




今日の一句



枯れ畑に
集うカラスや
落穂摘み


イネの栽培がへたくそな農家の畑。この時期「ヒエ」のタネが食べられるのでしょうか、カラスがどこからともなく集まってきます。

 (2014.01.11)




@@1月16日夕刻から、18日夜まで、ブログ友達を訪ね、千葉県に小旅行に出ます。その間はPCが使えず、コメントについて返事が遅れることもあるかも知れません。あしからず。なお、19日は記事を更新する予定です。@@