虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2014-01-01から1年間の記事一覧

手のない招き猫(散文詩)〜〜チョマの生の軌跡

1993年、 生き物には非情な態度をとってきた父が「ネコ」を飼うぞ、と言ったときには驚きました。「父のように冷淡な男がネコでもあるまい」、と思っていたのです。 初めてみたそのネコは本当に小さなネコで「なんだ、このちびっこいやつは?」と思いま…

ヤクザの禅〜黄檗・臨済の系譜:これで悟れるの?

過去、3回ほど書いてきた禅(中国の唐代)の傑僧特集の一つです。思い出したように書いています。今回取り上げるのは黄檗(おうばく)希運(?−856)と弟子の臨済(りんざい)義玄(?−867)の逸話です。(なお、黄檗は巨匠・百丈の弟子で、これまた巨…

放射能の生物濃縮〜生物濃縮係数(CF値)

放射能による生物濃縮について、我々は良く知らされてないように思います。3.11後、経産省原子力安全・保安院の西山某が、「(放射性物質は環境に出ても)薄まるから大丈夫」と言っていたのには、あきれると同時に怒りさえ覚えたものですが、水俣病(メ…

「だから荒野」(桐野夏生)〜現代の「天の岩戸」

当ブログによくコメントを書いてくれるレモンバームさんが言及されていた一冊。初版は2013年10月の本で、毎日新聞に連載されていた作品を補筆して出版したもので、400ページあまりの大部な小説なのですが、すぐに読了してしまいました。小説には、…

石垣りん〜生活の詩

かつて、私が東大学力増進会(現役東大生、OB、東大中退者などの共済のために存在していた、中学生対象の、夏季とか受験間際などの時期に講習会をする組織)の国語科講師だったとき(理科系なのに国語科に採用されたというわけですが)、以下の詩が教材にな…

「かわいい」という言葉の美学

私はかれこれ12年ほど前、主に阿蘇山を見たくて九州を旅行したことがあります。阿蘇山麓南側の白川地区で一泊しましたが、さすがNHK、関東近辺と同じように、「課外授業ようこそ先輩」を放送していました。(このころのテーマソングがル・クプルの「縁は異…

自民党と公明党が仲良しな訳

以下は、「小沢一郎」についてのwikiからの引用(抄)です。竹下派、特に金丸の意向によって1989年8月に成立した第1次海部内閣では金丸の推薦により47歳の若さで党幹事長に就任。金丸・竹下とともに、政権の実質的な実力者となり、ねじれ国会下で公明党など…

自民党と公明党が仲良しな訳+「かわいい」という言葉の美学

本日のブログは2本立てです。

小田真規子の缶詰料理・干物料理

@干しナスの煮びたし 私の近くの畑で昨夏に農家が栽培していたナスに、たくさん収穫しなかったナスが干からびていたのを見て、これは美味しそうだと、ナスを買ってきて2個を縦に切り魚干し網で4,5日 乾かし、改めて吸水させて、煮びたしにしました。そ…

老子と江戸幕府〜小国寡民と鎖国政策

老子・第80章に、以下のような記述があります。 国は小さく住民は少ない(としよう)。軍隊に要する道具はあったとしても使わせないようにし、人民に命をだいじにさせ、遠くへ移住することがないようにさせるならば、船や車はあったところで、それに乗るま…

社会主義国キューバの「平等」

いろいろな社会主義国・共産主義国がつぎつぎと破綻・転向するなかで、カリブ海の島国・キューバは世界でもっとも成功した社会主義国であると言われます。その中身を見て行きましょう。 今回参考にしたのは「小さな国の大きな奇跡 キューバ人が心豊かに暮ら…

佐伯祐三〜黒が基調の画家

佐伯祐三(さえき・ゆうぞう/1898−1928:満30歳没・大阪出身)は、フランス・パリで活躍して、結核と闘いながら、多くの作品を残した優れた画家でした。彼の画集を図書館から借りてみたのですが(「カンヴァス日本の名画23 佐伯祐三:中央公論社…

富岡製糸場と群馬県の「絹」産業

(このブログは、たまたま作成したものですが、折から、富岡製糸場とその関連施設がユネスコの世界遺産にほぼ決まったようなので、ここに「便乗」してエントリーします。) 図書館から、視聴覚教材「日本の近代化遺産 第1巻 絹から始まった産業革命 北関東…

恋は思いがけなくやってくる(散文詩) (2)

私の恋愛遍歴 その3 (承前) @「彼女のために」――あと一言が・・・! 実は、彼女と交際をするためには、もうひとつ難問がありました。それは私のサイドの問題です。グループNの借りている山奥の廃屋に一人で住む、と言う心積もりがあり、それは変更など出…

恋は思いがけなくやってくる(散文詩) (1)

私の恋愛遍歴 その3 素敵な女性と出会いました。それも、全く予期できない出会いでした。私だって恋をします。結婚まで意識した女性は10人近くいます。が、一度も成就したことがなく、2004年3月現在 いまだ独身です。44歳になりました。 その人F女…

ツンデレ大王・海原雄山〜「美味しんぼ」における父親像

「美味しんぼ」は、むかしむかし、よく読みました。料理に関する知識と人情の機微を教えてくれるので、なかなか有益なマンガだったと思います(なお、原作に極めて忠実にアニメ化もされました。)掲載誌は「週刊スピリッツ」。ただ、さすがの長期連載、コミ…

恋の二股掛けはNG!!(散文詩)

私の恋愛遍歴 その2 私の初恋の相手は、淫乱な女性でした。彼女はマンガクラブに「男漁り」をしに来る人で、彼女の「毒牙」に噛まれたのは、五指に余るクラブ員にのぼります。私はそれを知っていたので、距離をおいていましたが、東大五月祭の打ち上げコン…

初音ミク〜〜ヴォーカロイドの衝撃

ミク→http://dic.pixiv.net/a/%E5%88%9D%E9%9F%B3%E3%83%9F%E3%82%AF 「初音ミク:はつね・みく」というアイドルは、人間ではありません。電子工学的に、決められたプログラムに従って曲を歌うヴァーチャルな存在です。このキャラクターは「VOCALOID:ヴォー…

初音ミク〜〜ヴォーカロイドの衝撃

ある恋の一生〜魔の時間のずれ(散文詩)

私の恋愛遍歴 その1 私はこれまで10指に余る女性に、恋愛感情を抱き、そのうちの70%くらいの女性とは相思相愛だった。 なかでも印象に残る女性の1人、仮にUさんとしておくが、彼女とは、詩人2人を巡って知り合った。最初は山尾三省さんという詩人の…

智恵子の見た空〜智恵子抄より

あどけない話 智恵子は東京に空が無いといふ、 ほんとの空が見たいといふ。 私は驚いて空を見る。 桜若葉の間に在るのは、 切つても切れない むかしなじみのきれいな空だ。 どんよりけむる地平のぼかしは うすもも色の朝のしめりだ。 智恵子は遠くを見ながら…

筒井康隆の私説博物誌・SFとドタバタ

日本の3大SF作家と言えば、小松左京さん、星新一さん、そして筒井康隆さんです。そのうち2名が他界した今では、筒井康隆さんが気を吐いています。最近は文芸批評にも手を染め、ユニークな活動をされています。 さて、前回挙げたルナールの博物誌を意識して…

ルナールの博物誌〜確かな観察眼

「にんじん」という実母によっていじめられる男の子の話で有名なフランスの作家・ジュール・ルナールには、「博物誌」という作品もあります。これは身近な動物たちの有様をリアルに切り取り、またその切断から人間一般の有り様を示す、優れた文学作品になっ…

ルナールの博物誌〜確かな観察眼

マダニ(ないしダニ)が媒介する病気〜SFTS、ツツガムシ病、バベシア症

以下に引用するのは、マダニの害:SFTSについて要領よくまとめられていますので、ブログ抄として取り上げます。@衣類についたマダニは、長袖シャツの袖口などから侵入することがあります。屋外でご家族などとお互いに衣類にマダニがついていないか、こまめ…

「山海経」と「怪奇鳥獣図巻」

私が「山海経:せんがいきょう」を知ったのは、諸星大二郎のマンガ作品「孔子暗黒伝」に登場する崑崙山(こんろんざん)の聖獣・開明獣を見てからです。人面獣身のこの珍獣は、私に大きなインパクトを与えました。 さて、その山海経についてですが、wikiでは…

人情と真実〜ある大たわけ(散文詩)

私が東京大学・都市工学科を卒業し、1年、研究生をやっていた頃(この頃は、中学生対象の講習会・東大学力増進会の国語科講師と、併せて自然食の八百屋でアルバイトをしていたのですが)、私がかつて運動をしていた自主講座には新しい顔ぶれがそろっていま…

マテ茶とその周辺

淹れたてのマテ茶→ 「マテ茶」は、南米原産の茶としての飲料です。私は大学生のころ、このお茶の茶葉を買って、飲んでいたことがあります。案外お気に入りでした。Wikiによれば マテ茶(Mate)は、南米のアルゼンチン、パラグアイ、ブラジルを原産とするイェ…

マテ茶とその周辺

黛まどか(俳人)と「B面の夏」

俳句特集その2 前回、「朝日俳壇四者共選二十年秀句選」を読んで、食い足らなかった点、すなわち句想が20年間さほど進化していないことへのアンチテーゼとならないか、と、図書館から「B面の夏」(黛まどか:まゆずみ・まどか・角川書店・1994)を借…