虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

乙嫁語り〜〜中央アジアの片隅で


アミル↓

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)



ネットの力は凄まじい。2013年の4−5月ころ、グーグルのCMバナーに紹介されていた「乙嫁語り(おとよめがたり)」に興味が湧いて、市中の本屋から既刊のコミック5巻を購入し、読んでみました。この作品は、19世紀後半の中央アジアにおける「花嫁=乙嫁:可愛いお嫁さん」たちのオムニバス形式のエピソード集です。


 中央アジアといえば、12世紀のモンゴル帝国の大拡張に翻弄される、西国の、独特な文字を持つ国・西夏を取り上げた「シュトヘル」をブログにしたことがあり、この作品はかなり凄惨な様相を呈するものでしたが、「乙嫁語り」はずっと牧歌的で安心して読めます。



http://d.hatena.ne.jp/iirei/20120921#1348222218

 :「シュトヘル(悪霊)」〜〜西夏文字の興亡



シュトヘル」の著者は伊藤悠(いとう・ゆう)、「乙嫁語り」は森薫(もり・かおる)と、いずれも女性漫画家です。男性の漫画家を差し置いて、中央アジアに女性漫画家が注目していることは特筆できるでしょう。


粗筋をwikiから。

19世紀後半の中央アジア。とある町に住むエイホン家に、北方の移牧民(半定住・半遊牧民)ハルガル家から20歳の花嫁、アミルが嫁いできた。花婿カルルクはまだ12歳の定住民の少年であった。


ハルガル一族らの住む北方はロシアの侵攻(南下政策)で緊張状態にあった。アミルの叔父たちは、すでに嫁に出したアミルを連れ戻して、あらためて有力な部族に嫁がせようと実力行使に出るが、町をあげた抵抗にあい失敗に終わる。


エイホン家の居候の英国人スミスはエイホン家の人々に別れを告げ、アンカラへの旅につく。 途中カラザの町で諜報員と誤解され勾留されるが案内人アリにより窮地を脱する。その後、町で出会った薄幸の未亡人タラスと恋に落ちるがこの恋は実ることなく、また旅を続けることになる。


スミスが医者として滞在していたムナク村の漁師の家の双子、ライラとレイリは玉の輿を夢見て人騒がせな婿探しを繰り広げていたが、紆余曲折の末、近所の漁師の息子兄弟と結婚することになる。


ライラとレイリは、披露宴でもドタバタを見せるが、どうにか周囲の人たちの祝福を受けて無事にサーム、サーミ兄弟と結ばれる。 彼女たちの結婚式を見届けたのち、人々の暖かい心に見送られて、スミスたちも村を後にする。


・・・このような流れの話ですが、ここで3つ展開されるお話、最初の乙嫁、アミルは半遊牧民の出だったからか、狩人としての能力も備えており、不出来なところなど何処にもない素晴らしい乙嫁ですが、なぜ20歳になってはじめて嫁になったのか、と訝ります。現代の20歳とは重みが違い、すでに結婚適齢期を過ぎているとも思われます。婿花のカルルクとは8歳差、それでもお互い夫婦として認め合うようになり、アミルは案外幸せな結婚をしたことになるのでしょう。カルルクが、もちょっと成長すれば、子宝にも必ず恵まれるでしょう。



そして案外重要なのが、メガネをかけたイギリスの探検家・スミスでしょう。3組の乙嫁(あ、3番目は双子の結婚の話しだから4組か)に立ち会って、狂言回しのような役をしていると同時に、イギリス人であることによるのですが、この19世紀当時、ヨーロッパのロシアとイギリスは中央アジアを舞台に、権益・領土合戦をしており、その近代的な武力の前には中央アジアの諸民族たちは太刀打ちできなかったでしょう。恣意的に生活圏を腕力の強いよそ者に蹂躙される・・・このロシアとイギリスの確執を「ザ・グレート・ゲーム:the great game」と呼びならわすのですが、中央アジアの民には迷惑な確執です。その意味で、スミスはこれからも重要な役回りを演じていくのだと思います。



今日のひと言:ロシアの作曲家・ボロディンは「中央アジアの草原にて」という交響詩を作曲していますが、ザ・グレート・ゲームを思うと、ちょっと複雑な気分になってしまいます。
また、衣装の隅々まで手を抜かずに描いているのはさすが女性漫画家です。髪の毛を束ねた先端の飾りも目を引きます。



森 薫(もり かおる、女性、1978年9月18日- )は、日本の漫画家。東京都出身。代表作に『エマ』など。 (wiki)



乙嫁語り 5巻 (ビームコミックス)

乙嫁語り 5巻 (ビームコミックス)

乙嫁語り 2巻 (HARTA COMIX)

乙嫁語り 2巻 (HARTA COMIX)

シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)





今日の料理


@鮭の頭の丸ごと圧力鍋煮



魚の頭をスーパーで売っているのを見かけることがあります。鯛、ブリ、鮭など。私は鮭の頭が大好きで、それに圧力鍋で調理すると骨ごと柔らかく、食べられるようになるのです。今回使ったのはこれまで見たことのない大きさだったので、鍋に大目に水を入れてひたひたにし、鍋の重りが蒸気を放つようになってから、12分ほど加熱、冷えたところで取り出しました。鮭の頭で美味いといわれる「氷頭:ひず」が柔らかくなりすぎるのは、ちょっと残念ですが。

 (2014.02.08)



@ラムスライス肉のパクチー風味



パクチータイ語で「コリアンダー」のこと。中国では香菜(シャンサイ)とも呼ばれる、独特な風味が身上のハーブです。エスニック料理ぽくするため、パクチーとキャベツ、ラム肉を炒め、タイの魚醤ナンプラーで味付け。なかなか美味しくなりました。なお、今回は市販のパクチーを使いました。パクチーは、独特な匂いで敬遠する人も多いでしょうが、私はおなじセリ科のセロリのほうがより癖があると思います。

 (2014.02.08)



@レンコンの梅肉



わが家では普通は梅肉炒めにすることが多いレンコン。今回はレンコンの量が多かったので、煮ることにしました。梅干し、および赤紫蘇の葉を一緒に加えます。砂糖・醤油も入ります。余り汁は雑炊にしました。


(ほかのレンコン料理)
レンコンのケチャップ炒め:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130310#1362909181

蓮根炒め・梅肉添え:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20131006#1381002952

 (2014.02.09)




今日の一句


安倍総理
腹の虫なむ
暴ればや


川柳のつもり。安部晋三総理、以前のように「腹痛」で退場すればいいのに、と。もっとも、第一次政権をほおりだしたのは、金銭スキャンダルがあったからとも言われています。

 (2014.02.11)