虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

朝日俳壇四者共選二十年秀句選(1970−1990)

俳句特集その1


俳句に関する知見を広げようと、表題の俳句集を読んでみました。俳句の当代の権威4名が競うように句を選ぶという形式は、今(2014年)も変わっていないようです。20年間に渡る秀句がおおむね4500句ほど収録されていて、この本を読了するため、読書の遅い私は2ヶ月くらいかかりました。


 この20年間、選者は多く変わりました。病没などでリタイアーするまでは、選者として連続して続けます。一回も変わらずに選者を務めたのは山口誓子(やまぐち・せいし)さん、加藤楸邨(かとう・しゅうそん)さんです。(あ、より正確には加藤さんが選者を勤めたのは1971年、星野立子さんがリタイアーしてからでした。)この両者はレベルが高い選者だと思います。それぞれの自作の句で印象に残るものは

@ピストルがプールの硬き面(も)にひびき


@寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃


まだ、両者が若かったころの句だと思います。


山口誓子さんの選で印象に残る句を挙げます。


@殺生を重ね猟銃黒光り 1970・堺・上野貞暁


@青嶺よりなだれし青が牧となる 1983・伊勢・伊藤止水


視覚的にも優れた句を撰んでいます。ただ、この本の後半になると、宗教じみてきてしまいます。


@キャンプ張る役の行者の行場にも 1979 生駒・住田南浦


注連縄、神という言葉を入れさえすれば、山口さんは選にいれてくれる、という期待があったようにも思います。・・・これは、寧ろ老害だと思いますね。


加藤楸邨さんの場合、20年間一貫して不動の選者眼を持っていたと思います。


@一指だに触れざりし恋卒業す 1971・守口・岡本雅男


@コンピューターの青き仮名文字月窓に 1981・千葉・小林雪彦


@受験生みな深海の貌を持つ 1990・西尾市・中村正幸


両者ともに、1990年代の初めには相次いで世を去られています。


ここに、もうひとつの見所があります。それは、高浜年尾稲畑汀子(いなはた・ていこ)の親子です。感のいい人なら想像できると思いますが、かれらは俳句界の大御所・高浜虚子の息子・孫です。高浜年尾さんの選ぶ句は、(私から見た秀句のメモには)ほとんど収録しませんでした。私の心の琴線に触れる句がなかったのです。


稲畑さんの選んだ句で一つ挙げると


@スコップを買ってその後雪降らず 1986・朝霞市・林白風


のように、俳句になってない駄作もあります。・・・これはレベルが低いですね。ただ、稲畑さんの場合、女性の目でみた世界に関する視点には非凡なものがあるように思います。


@母の喉少し通りし蜆汁 1985・佐賀県・池田風比古


また、これは私見ですが、この本の20年間、採られる句の傾向はあまり変わってないようにも思えるのですが・・・選者が古い感覚の持ち主だから?



今日のひと言:本来、自由な立場で作句するものなのに、「家元俳句」(俳句を不完全な芸術=第二芸術だと論じた桑原武夫氏の造語)に絡め取られ、流派に属していなければ身動きが出来ないという景色は、あまり面白いものではありませんね。


山口誓子氏の巻頭言から引用


季物と他の物が唯並んでゐる句は採らない。さういう句が多いが、俳句では、季物と他の物とがぶつかり合って、統合されてゐなければならないのである。


季物と他の物とのつながりを表現するのであるから、物に即して、客観描写をしなければならないのである。物に即さずに、短歌のやうに喋舌つてゐる句は採らないのである。


これを読むと、俳句と短歌はかなり違うということになるのでしょうか?私の場合、俳句をまず作ろうとして、言葉が足りない場合、短歌にしてしまうのですが。


朝日俳壇 秀句選―四者共選二十年

朝日俳壇 秀句選―四者共選二十年

カラー版 初めての俳句の作り方

カラー版 初めての俳句の作り方


今日の料理


フキノトウ味噌




ことし初めて作りました。庭に生えてきたもので、外皮をはいだフキノトウ草木灰で茹で、有害なピロリリジンアルカロイドを除いたあと、よく灰を洗い流し、よく刻み、フキノトウ50gに味噌100g、砂糖少々、好みで唐辛子(私の場合、カイエン・ペパー少々)、すべて合わせてゴマ油で炒めて出来上がり。ご飯が進みます。

 (2014.03.15)



@ラーメン屋・天下一品に行ってみた


店舗

唐辛子味噌

出来立てラーメン

矯臭後のラーメン

ブログ上の友人のmatsukentoさん一押しのラーメン店。こってりした汁が有名です。私は一般的な700円のラーメンを注文しました。ちょっと生臭いスープであるという第一印象でしたが、オプションの「唐辛子味噌」を混ぜると、その矯臭に効果があり、臭いは気にならなくなりました。辛さはだいたい韓国料理のコチュジャン程度かと思います。

http://d.hatena.ne.jp/matsukento/20140313  ら〜めん食べ歩き♪(その3)


 (2014.03.17)




霜菜霜知らず菜)のお浸し


スーパーで一把50円で売っていた、お買い得野菜。栃木県で栽培が盛んらしいです。普通にカツオ節+醤油でお浸しにしましたが、甘いです。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1282224682

を参照してね。

 (2014.03.18)



今日の三句


獺(かわうそ)か?
よくよく見れば
栗鼠(りす)なりき!


犬の散歩をしていた早朝、なにやら毛艶や身のこなしがカワウソのように見える小動物を目撃しましたが、ニホンカワウソはとっくに絶滅したことを思い浮かべ、リスであろうと納得しました。リスを見るのも初めてでした。

 (2014.03.16)



浅き春
蒼を競える
いぬふぐり


空き地にたくましく生えるオオイヌノフグリ。これは日本在来種のイヌノフグリを圧倒していますが、春先の花はとても美しいです。

 (2014.03.17)



梅の木の
二色並んで
咲きにけり


 (2014.03.18)