竹内栖鳳(たけうち・せいほう)は、明治・大正・昭和期に渡って活躍した画家で、wikiから引いてくると、
竹内 栖鳳(たけうち・せいほう、1864年12月20日(元治元年11月22日) - 1942年(昭和17年)8月23日)は、戦前の日本画家。近代日本画の先駆者で、画歴は半世紀に及び、戦前の京都画壇を代表する大家である。帝室技芸員。第1回文化勲章受章者。
本名は恒吉。最初は棲鳳と号した。霞中庵の号もある。動物を描けば、その匂いまで描くといわれた達人であった。
この人は、同世代のエポク・メイキングな日本画の画家がおおむね40歳前後(アラフォー)で他界しているのに対し(菱田春草、今村紫紅、速水御舟など)、78歳の長寿を全うした、ある意味幸運な画家です。その分、日本画壇における位置は不動のものとなっています。
参考過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080325#1206403270
:菱田春草の猫〜明治画壇の華↑
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20101117#1289949067
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130723#1374551060
:速水御舟の炎舞〜梯子(はしご)の上り下り↑
ただ、彼は単なる日本画家の範疇には納まらない人で、ヨーロッパの絵画の良さを日本画に導入しようと腐心した面も持っていて、フランスの画家のコローなどを特に研究していました。
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これから3枚の彼の作品を紹介していこうと思います。
@帰去来(1896年・明治29年) これは、中国の詩人・陶淵明の故事にちなんだ絵で、官職をなげうって故郷に帰る陶淵明が門前で別れを告げる姿が描かれています。この絵の縦長さは特記すべきですが、これから陶淵明が帰るであろう故郷がいかに俗世間より高いところにあり、まるで陶淵明がこれから仙人のようになることが予期され、その「高さ」に感服してしまうような絵ですね。静けさ=静の極致を表現していると思います。
@散華(1910年・明治43年) 花びらが散っていく際、この絵のように10人の天女が舞う、というように観られるというのは、やはり詩人の心を画家も持っていなければならないということでしょうか。運動=動の極致ですね。
@斑猫(はんびょう:1924年・大正13年:重文) この絵は抜群の出来ですね。身震いするほど、猫の実相に迫っています。動物を描かせたら天下一品であるという世評も尤もです。この絵は、現在「静」ですがいつでも「動」に移行する可能性も秘めています。
部分
今回参考にしたのは「カンヴァス日本の名画4」竹内栖鳳(中央公論社)ですが、この絵については解説から文言を引いてきます。
のどかな春の陽を浴びて毛を整える斑猫のみを描き、ほかは東洋画固有の余白に消し去られている。しかも猫を、中心をややずらして描き、背後の余白を落款の動かし難い位置が見事に引き締めている。前足をぐっとのばし、大きくまるく首を曲げ、耳を後ろに引いた猫の姿はいかにもよくその生態がとらえられており、毛描きの手法も実に巧みで、毛の柔らかさをよく表現している。さらに緑の眼も画面の一つのポイントとして実に魅力的である。全く心憎いまでの技術によって描かれながら、この猫の姿に品格が示されているのは栖鳳の特色でもある。
なお、(id:whitewitch)さんによると、この猫の姿は、かなりデフォルメされているそうです。特に首の長さ。http://d.hatena.ne.jp/whitewitch/ 参照。
今日のひと言:以上見てきたように、竹内栖鳳という画家は、動・静の対立軸を見事に展開して絵が描ける、稀有な画家だったと思うのです。なお、彼は宴会の余興として、即興画も描いていますが、このブログでは、存在ありと言うに止めます。

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今日の料理
@わが家のご飯
わが家のご飯のお米は地元産の群馬銘柄「ゴロピカリ」です。全国的な知名度は低いですが、わが家ではあえて高価な「コシヒカリ」などは食べません。地元のJAで1kgあたり300円という安価さで購入できます。コシヒカリなどは1kgあたり400円超です。これを購入と同時に精米してもらい「七分搗き」にします。ご飯にするには「赤レンズ豆」を少々混ぜて炊飯します。(ただ今はアメリカ産レンズ豆ですので、遺伝子組み換え産かもしれないので、次に買うとすればカナダ産あたりを・・・と思っています。)写真より、実物はもっと茶色ぽいです。
(2014.01.27)
@もやしと豆苗の「あさりのオリーブオイル漬け」炒め
一月中旬に千葉に旅行した際、whitewitchさんに土産にもらったこの商品、スパゲティ・ソースにすると、ちょっと甘かったので、塩を足して「もやし」と「豆苗」(とうみょう:えんどう豆のスプラウト)の炒めものに油として使いました。塩加減は適度にしました。もやしと豆苗の組み合わせは偶然です。
(2014.01.28)
今日の一句
いっせいに
畑より飛びぬ
群雀
「群雀」は「むれすずめ」と読みます。穀物などの畑に落ちた餌を集団で食べにくるのです。それはもう、一匹の巨大な生き物のように見えます。(ちなみに岡山県の銘菓に「群ら雀」というのがあります。)
(2014.01.27)