世界史的に重要な年号:私的で恣意的な選定基準で。
世界史は、地球上の無数の国家、地域によって織りなされる事柄なので、任意の年が(なにやら大事なことが起きているにせよ)重要かどうかは一般的に判別しにくいでしょう。そこのところを曲げて、6つの年号を恣意的に挙げて、私の思考の偏りを公開しようと思います。(古い順に)
@751年:「タラスの戦い」。これって覚えてない人も多いでしょうが、高校の世界史の教科書では取り上げられていたと思います。中央アジア・キルギスで、その地域の支配権をめぐって行われた唐とイスラム帝国、当時の大国同士、いまなら中国とアメリカが戦うような大戦争でした。この戦い自体は、唐に対するカルルク人の裏切りで唐は敗れ、それ以上の西進はできなくなりました。・・・でも、ここが重要なのではありません。この戦いで、イスラム帝国は、ある技術の職人たちを捕虜にしたのです。それは、製紙業の職人たちでした。今となっては情報媒体として、電子記録には及びもつかない紙ですが、紀元64年、蔡倫によって発明された紙は、長年にわたって情報媒体の王者でした。そして、この戦いで、イスラム帝国は紙の技術を手に入れ、文明を発展させました。そしてイベリア半島経由でヨーロッパに伝えられたのは、なんと!12世紀でした。それから野蛮人だったヨーロッパ人も、遅ればせに、紙の力で文明開花に導かれたのです。
ハガキの紙すき(実演:森下礼)
@1215年:「マグナ・カルタ」施行。これはイギリス(イングランド)において(戦争するごとに、国土を失うなど)失政で有名だった、「ジョン欠地王:John the lackland 」に諸侯がにじり寄り、認めさせた、諸侯の権利を保護する証書。国王から、権利の一部を奪い取ったのですね。そしてこの年代が古い。フランス革命の1789年より574年も古い。この法文は、今でも法的に有効です(慣習法)。イギリスが、歴史上最大版図の覇権国家になる証明でした。日本人なんか、国の最高権力者から、権利を奪おうとなんて、思いも付きますまい。これこそ、日本がイギリスのような民主主義国家になれない理由だと思います。あくまで、形を真似しただけ。精神は受け継いでないのです。「絵に描いた餅」・「猫に小判」。
@1492年:コロンブスによるアメリカ大陸発見。正確には西インド諸島の発見でしたが、のちに大陸も発見されるのですから、この発見が嚆矢です。それまでの中世的停滞から一歩抜け出すのが、スペイン、ポルトガル。いわゆる新大陸という元住民に失礼な呼び方で、ヨーロッパは発展して行きました。「文明の衝突」が起きたわけで、ヨーロッパが圧勝したのです。
@1769年:ワットが蒸気機関の特許を取得した年。(産業革命元年)産業革命は、先にも触れたフランス革命より、世界史的な意味は大きいです。「自由・平等・博愛」を謳ったフランス革命は、狂気によってエネルギーを与えられ、カオス状態を生みだし、最後には王政より強力な皇帝制を生み出しました。(ナポレオン・ボナパルト皇帝)なんのためにルイ16世とマリー・アントワネットをギロチンの刑に掛けたのだか。(フランス革命の狂気についてはアナトール・フランスの『神々は渇く』に詳しいです。)1215年にしろ、1769年にせよ、イギリスがフランスより優れた国であることを物語ります。まあ、フランスはイギリスの後追いばかりをしてきたのであったと思いますね、私は。
あとの2つはごく最近の年代です。
@2001年:同時多発テロ。これは、世界史的にみると、ヨーロッパ(キリスト教)VSアラブ(イスラム教)との間で起こった、伝統的かつ今日的な「文明の衝突」です。大体、十字軍の時から敵対してきた両陣営。文明の発達程度が大きくヨーロッパ側に偏った際、そのヨーロッパが作った「文明の利器:飛行機」をハイジャックし、これも「文明の利器:摩天楼」に突撃するという自分の命もなんとも思わぬハイジャック犯たち。言葉がありません。
@2020年:中国起源の新型コロナウイルスのパンデミック。これには説明も要らないでしょうが、従来型の文明を見直し、改める時期に来ているのだと思われます。
今日のひと言:この6つの年代に登場したのは、中国2回、イギリス2回、イスラム2回です。ヨーロッパ(地域を総合して)3回。こう見ると、イギリス、中国、イスラムが世界史的にもっとも重要な国家、地域になるのだろうと、私的で恣意的な分析を私は行います。そうそう、番外編として、1917年のロシア革命。ロシアの民が無知蒙昧な人たちだったのに、民主主義さえ通りこし、専制的な共産主義を発生させた悲喜劇。なんとも言えず、ロシア国民が哀れです。ネガティブな出来事。
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今日の一品
本来は春の薹立ちした花を食べる用途ですが、スプラウトにしたものを冷奴に乗せました。あんまり辛くない。
(2020.10.23)
@花豆の煮豆
たぶんもっとも日本でみられる最大のインゲンマメ。1日水を吸わせて砂糖、塩を加え、圧力鍋で重りが動き始めて10分加熱、ゆっくり冷やして丼に取ります。これが美味しいのです。我が家では黒豆ではなくオセチの一品にします。
(2020.10.25)
@トースト2種
スモークレバー・トースト
近所にあるハム・ソーセージ屋さんでたまに店頭に並ぶスモークレバー。これがなかなかの一品で、スーパーに並ぶものとは比較にならないくらい美味しい。パン乗せてトースト、マヨネーズを掛けて頂きました。
(2020.10.27)
ディルバタートースト
間引いたハーブのディルとバターでトースト。これは美味しい。
(2020.10.28)
@ミズナの一夜漬け、ショウガ風味
京野菜の壬生菜(ミブナ)も、ミズナの一種です。これを、刻みショウガと一緒に漬けました。珍しく塩加減が上手く行き、美味しい一品になりました。
(2020.10.27)
@雲南百薬のパルメザンチーズ、カツオ節炒め
ほぼ、今年最後の収穫となる雲南百薬。含まれるシュウ酸を嫌い、これまで茹でて晒していたのですが、今回は炒めました。ごま油をフライパンに敷き、百薬、チーズ、カツオ節、塩と炒めました。チーズやカツオ節がシュウ酸をマスキングするので。
(2020.10.29)
今日の詩
@シナモン
就寝前
ホットミルクに
シナモン振り
飲んでみる。
エキゾティックな香り、
熱帯にいるようだ。
今や私は
インドの帝王。
(2020.10.25)
今日の三句
初見なり
サト・サツマ芋
共生す
(2020.10.24)
草刈られ
しかしギシギシ
出でにけり]
(2020.10.24)
こんもりと
花咲きにける
菊花たち
(2020.10.28)
@バンクシー小劇場
ヤマカガシ
死して屍
拾う者なし
ヤマカガシ(毒ヘビ)、頭を自動車に轢かれて即死。God bless you!
私の幼少期、帰宅を促す保護者に「いやじゃ、もっと蛇と遊ぶんじゃ」(伊予弁)と言っていたそうです。(この句の後半は、「大江戸捜査網」(時代劇)の言い回し。)
(2020.10.25)
☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログを始めました。☆☆
“Diamond cut Diamond--Urtra-vival”
https://iirei.hatenadiary.com/
ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログも付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。