虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

断捨離(だんしゃり)とミニマリズム:「もの」と「こころ」

断捨離(だんしゃり)とミニマリズム:「もの」と「こころ」


私は以前(5、6年ほど前)、その頃話題となっていた断捨離という方法論を拙ブログで取り上げたことがありますが、その当時とは受け取り方が違ってきたため、この断捨離と、とても近い意味を持つミニマリズムを、併せて考察しようと思います。


まず、そのブログから、めぼしい点を引いてきます。

iirei.hatenablog.com


この断捨離という言葉は、ヨガの発想から学んだという「やましたひでこ」さんが発案し、流行語にもなり、あまりの反響に彼女は登録商標したそうです。

一種の「掃除術」「片付け術」ではあると思うのですが、やましたさんに言わせると、それに留まるものではなく、「物」とそれを所有する人の「心」との相互関係を見直すという意図のある行動なのだそうです。

これはいかにも東洋哲学が導きだしそうな結論です。私も土台は中国哲学老子に持っていますので、このような見方には同意できます。拙著の「災害の芽を摘む」のなかで、私は、関東大震災の際、いろいろな荷物を持って本所被服廠跡地に避難した人びとが、巻き起こってきた炎の竜巻に巻き込まれ、4万人が荷物ごと犠牲になったことを述べ、以下のように結びました。

災害は、私たちが日常、どんな態度で生活しているかを、明確に写し出します。物に囲まれ得々としている人は、手痛いしっぺ返しを受けます。物が多い、とは、そのまま、破壊力を持つ敵が多い、ということだから。逆に、少ししか持たぬ(あるいは依存しない)人は、楽にかわせる。物欲は、精神修養上の妨げ、という意味で語られることが多いようですが、物理学的にも根拠があるのでは、と思います。

「災害の芽を摘む」P26


これらの点では私もやましたさんと方向性は同じですが、2つほど決定的に違う点があります。とくに心の問題で。
1) 活動とか思想とかを、商標登録するのは、この用語によってお金を稼ごうというさもしさを感じます。
2) これはやましたさんが某メディアで話していたことですが、食器は一定期間楽しみ、あとは処分して新しい食器をそろえる。これについてid:A0153 さんは、「それでは物の数が減らない、私は食器を減らしたいのだ」とされていました。これは断捨離という方法論を取る者への、痛烈な批判になっています。

  結論:「 断捨離という方法論は、心を浄化するには物足りないものである。」



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食器棚


一方、近年、若者に人気なのがミニマリズムです。生活圏における、必要と思われるものを極力減らして、シンプルな生活を志す方法論と認識しています。そうであるなら、上に書いた2)について、食器を減らす方向に進みそうな感じがしますね。この一点においてミニマリズムは断捨離より優れているだろうと考えられます。その方向性は「脱・資本主義」というベクトルを示すかも知れません。いろいろな問題、とくに大量生産・大量消費という無駄な人類の営為に切り込める方法論でなければ、資本主義を止めることなど出来ないでしょう。

ミニマリズム(英: Minimalism)は、完成度を追求するために、装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する表現スタイル(様式)。ミニマリスムとも表記される。「最小限主義」とも。


「1950年代に彫刻や絵画の分野で芽を出していた」とも、「1960年代に音楽・美術の分野で生まれ、ファッションにも導入された」ともされる。


アメリカ合衆国では1960年代に登場し、主流を占めた傾向、またその創作理論であり、「minimal(最小限) + ism(主義)」という組み合わせの造語であり、要素を最小限度まで切り詰めようとした一連の態度から生まれた、必要最小限を目指す一連の手法や、その結果生まれた様式である。装飾的な要素は最小限に切り詰め、シンプルなフォルムを特徴としている。芸術の諸分野(美術・建築・音楽・哲学・生活様式 等々)で導入、展開された。その結果、ミニマリズム文学、ミニマリズム建築なども生まれた。

wikipedia (ミニマリズム


ミニマリズムは、以上の解説にあるように、おもに芸術などの在り方に使われるのが原義ですが、
生活様式も含まれる点が、特異的です。現に、ミニマリズムを標榜する若者たちが、その意味で使っていますね。ただ、私が思うに、民具の中に至上の美を発見した柳宗悦(やなぎむねよし:1889-1961)の「民藝運動:みんげいうんどう」にちょっと似ているかな、と。wikiより


民芸運動民藝運動、みんげいうんどう)とは、1926年(大正15年)、「日本民藝美術館設立趣意書」の発刊により開始された、日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出し、活用する日本独自の運動。21世紀の現在でも活動が続けられている。「民芸」とは、民衆的工芸の意。



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今日のひと言:生活に必要な物を極力減らした末には、禅寺の「托鉢」という、一つの道具を複数の目的に使うという境地が現れてくると思います。皆さん、出家しましょう?






今日の一品


@モヤシ、生キクラゲ、ケール、クコの実炒め


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キクラゲは国産(富山県産)、黄色以外の色をそろえました。中国産のキクラゲは、黒く塗料が塗ってある場合があり、アブナイので買いません。

 (2020.10.31)



@玉子ガニクラッシュ・たらこスパゲッティ乗せ


セブン・イレブンに置いてあった「玉子ガニ」、「アカイシガニ」という沢蟹のような姿・大きさのカニをパリパリにした商品を買ってみました。この商品は愛媛県産です。油で揚げてないのでむつこくなく、カロリーも低いです。スパゲッティに乗せて美味しかったです。


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玉子ガニ


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スパゲッティ

(2020.11.01)



@イモ煮


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弟作。サトイモ、ニンジン、ゴボウ、コンニャク、昆布を醤油・蜂蜜で煮ました。昆布は、サトイモのシュウ酸をマスキングするために入れました。兄弟2人で「芋煮会」。

 (2020.11.03)






今日の詩


 また立ちかへる水無月
 歎きを誰にかたるべき。
 沙羅のみづ枝に花さけば、
 かなしき人の目ぞ見ゆる。    

芥川龍之介(「相聞三」)・・・一回見ただけで、この恋をして一生悔いなしと思った瞬間。


@目は語る



深々と
お辞儀をした
彼女の瞳、


敬愛と恐懼に
満ちていた。
見た刹那、たぶん


私も
そんな瞳に
なったのだろう。


激しい葛藤の未
二人は愛を
乗り越えたのだ。


 (2020.10.10)







今日の三句


育てては
地面に落とす
鬼グルミ


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なんのために樹を植えているのやら。

 (2020.10.31)



ナンバンの
美味しそなれど
手は出さず


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私がむかし住んでいた群馬県西部で、このナス科の草をよく見ました。南蛮と言い慣わされた植物ですが、食べられるかどうかは解りません。

 (2020.11.04)



街路樹の
回り取り巻く
草草や


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良いか、悪いか。土木事務所が管理しています(何もしない)。

 (2020.11.06)





写真集


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収穫前のアピオス


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情けない作柄(粗放栽培のため)







☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログを始めました。☆☆
“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”

 https://iirei.hatenadiary.com/


ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログも付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。