虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

戦争の分類

 「軍事は政治の延長である」、と言ったのは、ドイツの軍事哲学者・クラウゼヴィッツですが、過去世界で行われた戦争、また行われるであろう戦争も、様々な政治の延長として行われてきたし、また行われるでしょう。


 このブログでは、拙いけれど大まかに、戦争の原因となった事例を列挙してみたいと思います。


@1:宗教:これは枚挙にいとまなくあります。ヨーロッパのキリスト教徒がイスラム教徒に仕掛けた「十字軍:1096−1272(断続的)」、ヨーロッパを舞台にカトリックプロテスタントが繰り広げた愚かな「30年戦争:1618−1648」。などなど。


@2:民族および人種:中国がチベットを侵略した戦争(1958)。アフリカの、フツ族ツチ族を迫害した事実(ルワンダ紛争:1993)。アラブ人のバシル大統領スーダンの黒人たちを迫害した事実(1991)。アメリカで、黒人を奴隷解放した「南北戦争:1861−1865」。


@3:領土:昔から、征服者が行ってきた戦争。アレクサンダー大王シーザーチンギス・ハーンナポレオンヒットラー。いまでも領土問題は大いに戦争の引き金になる。現に日本は、北方領土竹島尖閣諸島の3つで領土問題を抱えている。


@4:資源: 肥料としてきわめて優秀な鳥の糞の化石・・・グァノを巡るチリとペルーの戦争が行われた(1879−1883)。中国の「レア・アース」の輸出の制限は、それ自体が戦争状態。原油目当てで開戦したブッシュ(息子)による「イラク戦争:2003」。


@5:イデオロギー:資本主義か共産主義か。蒋介石毛沢東の内乱、ベトナム戦争アメリカとソ連の冷戦。


@6:ヘゲモニー(覇権):これはむしろ内乱で、一国の支配権はだれにあるのか、はっきりさせる戦争。日本の「戊辰戦争:1868―1869」「西南戦争:1877」など。


@7:その他:有名なのは、エルサルバドルホンジュラスの間で交わされた「サッカー戦争:1969」。サッカーの判定を巡って起きた馬鹿馬鹿しい戦争。もっとも、真因は、領土問題(@3)にあったとされる。


 如何でしょうか?なにか欠けているものはないでしょうか?


もっとも、実際の戦争は上の要因幾つかが絡むことが多いでしょうね。太平洋戦争の場合、@2:民族  @3:領土  @4:資源   これらが密接に結びついていました。


 アメリカの南北戦争(The Civil War)の場合、黒人奴隷の解放を巡って、奴隷肯定派と奴隷否定派が争い、後者が勝ったのですね。その意味でこの戦争は@2:民族  @6:ヘゲモニーが絡んだ戦争だったと言えるでしょう。



今日のひと言:出会いたくないと思って生活していても、不条理に襲ってくるのが戦争の惨禍です。シリアの市民を見れば、彼らは正規のシリア軍に殺されているのです。もっとも、最近の情報では、市民に対して化学兵器を使用したのは反体制派である、という情報もあります。このような戦争のことも、日頃から意識しておく必要がありますね。その場合、普通の学校教育で学ぶ歴史・地理より、地政学がより役に立つと思います。


 私はこのブログを始めた頃、地政学について入門編とも言うべきものを挙げていますので、ご覧ください。


 参考過去ログ:
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051207  海洋と陸地 地政学への招待 その1
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051208                その2
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051209                その3
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051210                その4
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051212                その5
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051213                その6
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051214                その7


戦争論 (まんがで読破 91)

戦争論 (まんがで読破 91)

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))


今日の詩



アメリカセンダングサ


その種は
動物の毛に
碇のように2本の腕で
くっついて
なかなか取れず
遠くまで
運ばれる。


ああ、
アメリカセンダングサ
呪われた植物よ
駆除が面倒なのか
道の管理者は
ほっぽらかしにしている。


その分 秋に
散歩する犬の毛に
多量にくっつき
取るのが困難になる
憎まれっ子、世にはばかる」。


アメリカセンダングサは、キク科の野草です。ごわごわしていて、食べるという用途もないようです。特徴的なのが、碇(イカリ)のような形状の種です。毛から取りにくいのです。

 (2013.05.28)