インカ帝国はなぜあっけなく滅ぼされたのか?後世の誤解
インカ帝国はなぜあっけなく滅ぼされたのか?後世の誤解
マチュ・ピチュ遺跡(wiki)
海に面した急勾配の土地を利用して段々畑を作り、トマトやトウガラシは低い土地に、寒冷地を好むジャガイモは高地にと、高度に応じた農作物の多品種生産を行っていた。ジャガイモやトウモロコシを主な作物とする農耕と、リャマやアルパカによる牧畜が行われていた。また、“クイッ、クイッ”と鳴くことから「クイ」と呼ばれたテンジクネズミも食用として広く民衆によって飼育されていた。
(中略)
その道路(インカ道路網(スペイン語版、英語版))は北部のキトからチリ中部のタルカに至るまで5,230kmにも達した。急峻な地形であるために人力もしくは家畜(偶蹄目)によって物資を輸送するしかなく、車輪を用いた運搬手段は発明されなかった。また野生馬を飼いならし、人や物資の運搬に用いることはなかった。1トポ(約7km)毎に里程、約19km毎にタンボ(宿駅)が、サパ・インカと随行者のために設置されていた。チャスキ(スペイン語版、英語版)(飛脚)が約8km毎に設置され、1日あたり約240kmの割合で緊急連絡をリレーした。口頭による緊急連絡は、おそらく数に基づく符号を含むキープ(結縄)により補われた。これらはヨーロッパで古くに使用されていた割符と同等の物であった。この道路網は帝国の維持に必要であったが、皮肉なことにスペインによる征服をより容易にした。
(中略)
ヨーロッパの技術が伝わるよりも前から、プレ・インカ時代の伝統を受け継いで金やトゥンバガ(スペイン語版、英語版)(金と銀・銅あるいは錫の合金)を精錬する技術を持っていた。いわゆるインカ帝国の金製品は実は合金製であり、そのためヨーロッパ人の侵略により、その大部分が溶かされて純金の延べ板にされてしまった(ワッケーロも参照)。一方、鞴を用いた高温の炉を作れず、鉄の製錬技術は無かった。鉄器と火器を持たなかったことは、スペインによる征服を容易にした。
有名なピサロは、200人程度の銃装備の騎兵でインカ帝国を滅ぼしたとよく言われますが、そうではなかったというDVDを観てみました。「インカ帝国 滅亡の真実」(日経ナショナル ジオグラフィック社)そのときのインカ兵は石斧が武器で、いわば旧石器時代の武備しか帯びていませんでした。でも、ピサロの軍勢よりも圧倒的に頭数は多く、戦力的には充分対抗できたはずです。そうならなかったのは何故か?
ピサロは皇帝を人質として拘束し、金を身代金として要求しますが、金を受け取ると、あっさり皇帝を殺します。こんな非道な男、なんとある部族から娘を嫁にと差し出すことがあり、たぶんこの部族はピサロの将来性に目をつけ、仲間になりたかったのでしょう。そして、全面対決のとき、ピサロについた部族連合が、帝国本体を圧迫し勝利して、ピサロの思惑通り、いわば「漁夫の利」の利益を彼にもたらしたのです。このときの戦闘で、銃器による戦死者が3人であるのに対し、石器による戦死者は70人にのぼる割合だったのです。もちろんピサロたちはそのとき味方についた部族をも順繰りに滅ぼしていったのです。(なお、ピサロの先輩で、メキシコのアステカ文明を滅ぼしたコルテスは、ピサロに「まず、王を殺せ、あとの原住民は、なんとでも料理できる」とアドバイスしていたとのこと。先輩に忠実な後輩です。)
https://www.y-history.net/appendix/wh0901-042.html
今日のひと言:なお、スペイン人は新大陸に、病気として「天然痘」などをもたらし、新大陸の多くの民が病死したらしいです。いっぽう新大陸からは「梅毒」などがヨーロッパにもたらされ、病気の交換があった点、人間の営みの空しさを感じます。なお、インカ帝国の農業には、現在のヨーロッパなどの食生活に大きな恩恵をもたらした作物が多く、最近注目されている「キヌア」などもその一つです。このような、病気や作物のやり取りを「コロンブス交換」と呼びならわしらしいです。
:コロンブス交換
:キヌアとアマランサス〜スーパー穀物と呼ばれて
北米インディアンに関する過去ログ2つ
:ラム酒とインディアン
:インディアン(ネイティヴ・アメリカン)、ティカムサ:その雄渾な詩
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コルテスとピサロ: 遍歴と定住のはざまで生きた征服者 (世界史リブレット人)
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今日の一品
@ナスのカラシ漬け
6本のナスを乱切りにして、塩を練り込み、5分ほどして水にあけます。水カップ2杯、塩大スプーン2杯に入れ、重しをして半日。ナスを取り出し絞って、砂糖大スプーン2杯、醤油大スプーン2杯を混ぜ合わせた液でナスをまぶして完成。
(2019.08.10)
@バジル入りラーメン
スープと麺を別々に買えるスーパーが多くなりましたが、今回もそれを買いました。具はシナチク、卵、海苔、雲南百薬(野菜)、スベリヒユ(野草)。調味料として、ネギオイル、刻んだバジルの葉を使いました。なかなか、この2種が良い風味を出します。
(2019.08.11)
@バジルの香り酢
プランターで自然に生えてきたバジルを千切りながら、穀物酢に漬けました。2、3週間で使えます。バジルは、“ハーブの王”と形容されます。
(2019.08.11)
@具沢山冷麺(ネンミョン)
朝鮮半島、とくに北朝鮮が本場の麺類。この麺の美味しさは、世界の麺の最高峰と呼べるでしょう。
今回は、茹で卵、カニカマ、ハム、キュウリ、シナチクを入れました。(あと、茗荷、ミニトマトも候補でしたが、入れ忘れました。)
(2019.08.14)
今日の四句
見事なり
黄色い葉をば
付けており
誰かがペンキをスプレーしたとか病気とかの可能性もありますが、見ごたえがあったのです。
(2019.08.11)
葉黄変
異常事態なり
サトイモや
サトイモは、湿った農地でこそよく育つ作物。耕作者は、根元に水をやっていたようですが。
(2019.08.12)
周囲が白く、花本体はラズベリー色、そのように見えます。
(2019.08.12)
名の通り
ヴォウヴォウ鳴くや
ウシガエル
この川のどこかにねぐらがあります。
(2019.08.14)