虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

宇宙旅行は出来るか?:それは無理。栗原康氏の視点

図書館から、2011年のNHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた〜密着・最終選抜試験」を借りて視聴してみました。


このDVDでは、宇宙飛行士になる入り口が実に狭き門で、厳しい選抜試験を勝ち抜かねばならない、という事実が前面に押し出されています。有資格者は、まず第一に理科系であること、実務経験があること、内訳はパイロット、元自衛隊員、医師、エンジニアなどで、最初は900名からの応募者が、最終的には10名に絞られ、そこから1、2名の合格者が出るに過ぎません。


試験は、その10名が大きな試験会場に缶詰になり、あらゆる側面から宇宙飛行士としての適性を判定されるのです。たとえばリーダーシップを取れる資質があるかどうか(コマンダーになれるか)。共同生活に溶け込めるか。ストレスに対する耐性があるかどうか。緊急事態が起きたときの対処能力があるかどうか。そして宇宙飛行士としての覚悟があるかどうか。まあ、こんなサディスティックかつマゾヒスティックなお話は私にはなんの興味も涌きません。


宇宙空間で暮らすためには食糧の問題が大きな課題ですが、これまでの人類のやってきた宇宙での活動では、食糧は地球から持って行きました。でも、より大きな宇宙旅行をするに於いては、「自己完結型」の食生活が要請されます。だって、光で1、2秒で到達する月はともかく8分かかる太陽に到達しようとすれば(焼き尽くされるのは置いておいて)、地球からの持ち込み食糧ではすぐ底を突くでしょう。


ここいらあたりの考察に、元東北大学教授の栗原康さんの隠れたロングセラー:『有限の生態学』(岩波同時代ライブラリー)でなされたものがあります。地球からの食糧持込を期待できない場合「人間と藻類(とくにクロレラ)をチューブ(管)を介して共存させる」という試みです。人間にとって不要物である二酸化炭素と排泄物をクロレラに与え、クロレラ二酸化炭素と排泄物から光合成を行い、自身の体を人間の食料にし、酸素も供給する・・・このような共存関係です。


これについて栗原教授は、実現不可能であると喝破しています。その理由は、人間とクロレラを結ぶチューブにあります。この道具を使っている場合、どこかでトラブルが発生した場合、増幅されやすく、システム全体が崩壊する可能性が極めて高く、その場合は人間もクロレラと共倒れになるだろう、との結論になる訳です。


その意味で、「宇宙への夢を語る」文化人達は認識が甘いと断じざるを得ません。「宇宙戦艦ヤマト」「キャプテンハーロック」「銀河鉄道999」などで有名なSFファンタジー漫画の第一人者:松本零士さんは「人類は宇宙に進出する義務がある」と言っていました。私はこれを聞いて思いました。「人間は地球のことでさえ満足に扱えず、地球がSOSを出している現状なのに、宇宙に進出しようとする意図が気に入らない」と。そんなの、権利でも義務でもない。ただの「ないものねだり」ではないか、と。


また、粉飾決算塀の中に落ちた「実業家」ホリエモン堀江貴文さんも、宇宙旅行に熱意を燃やす一人です。「だれでも宇宙に関われる宇宙ビジネス」の開拓に全力を尽くすという決意のようですが、多分それは、現在のように、有人機が地上で作られる食糧を持っていける範囲の宇宙ビジネスで終わるでしょう。



今日のひと言:私はあまり好きではないのですが、週刊少年ジャンプの漫画「銀魂」には、ちょうど江戸時代末、西洋人たちにいいようにやられた日本とパラレルに、宇宙人が西欧人に代わって地球人に対し、暴戻な猛威を振るう、という、ちょうど「宇宙戦艦ヤマト」を焼きなおしたような設定があります。幕末と同じく、悪意を持って攻めてくる宇宙人に対抗するため、宇宙技術など、最先端な科学装備が必要なのかと思うこともありますが。



@ちょっと記述にミスがありました。『有限の生態学』では、「宇宙旅行」ではなく「宇宙基地」について触れられています。この場合、どちらであっても食糧自給という意味では同じです。@



有限の生態学 (同時代ライブラリー)

有限の生態学 (同時代ライブラリー)

干潟は生きている (1980年) (岩波新書)

干潟は生きている (1980年) (岩波新書)

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)




今日の一品


イカゲソとニンジンの酢漬け



知人に教わった酒の肴料理。様子見のためイカの本体ではなくゲソを買ってきて、ゲソは切り、ニンジンは千切りにして酢を注ぎました。美味。ただし私はさほど酒は飲みませんので、以後はイカの胴体も入れおかずにする予定です。

 (2018.02.13)



@砂肝と大豆モヤシの炒め物



大豆モヤシは栄養価が高いですが、ある程度茹でたりしないと、その栄養は有効になりません。私は5分ほど茹でて、煮汁は別の用途に使い、砂肝をある程度炒めたなかに投入し、炒め続け、醤油+ヤマサの昆布汁+ポン酢で味付けしました。仕上げに山椒。

 (2018.02.14)



@ニシンのケチャップ煮



ニシンの頭部、尾部を切り取り、胴体を2分して、水を張ったフライパンにショウガとニシンを入れ、沸騰したらケチャップ、塩を投入し、フタをして煮込みます。途中で裏返し、10分ほど煮込み、胡椒を振って完成。

 (2018.02.14)



@煮汁入り味噌汁



↑の「ニシンのケチャップ煮」の残り汁を味噌汁に入れました。ニシンのダシがたっぷり味を出し、ケチャップのリコピンも大いに期待できます。味噌は通常の半分くらい。ややピンク色。

 (2018.02.15)



@アボカドのサラダ



弟作。アボカドに醤油、マヨネーズ、スリえごまを合わせました。アボカドはどう料理しても美味しい。

 (2018.02.16)





今日の三句


漆黒(しっこく)の
鴉(からす)啼(なく)なり
蒼穹(そうきゅう)に



蒼穹とは抜けるような青空です。それに向かい真っ黒なカラスが啼くのです。

 (2018.02.14)




犬が去り
預けた庭を
耕せり


我が家の犬には、庭の日当たりのよい場所をあてがっていたので、15年ぶりに耕し、春からの畑作に備えました。

 (2018.02.14)




はぐれ居て
一人花咲く
ナズナかな




(2018.02.17)