『川柳少女』(漫画:五十嵐正邦):何故に川柳?
知人が読んでいた表題のマンガ、なにやら文芸的で面白そうだったので、一冊買って読んでみました。第一巻、ほぼ4コママンガの体裁をとります。講談社発行。このマンガは主人公で、思いをしゃべらず5・7・5の川柳に託して伝える少女(高校生):雪白七々子(ゆきしろ・ななこ)と、不良っぽい:毒島エイジ(ぶすじま・えいじ)のラブ・ロマンスを描いた作品です。
ただ、そもそもからして、川柳は軽妙で少々毒の入った笑いを追及する文芸、ラブ・ロマンスには似つかわしくないジャンルのものです。もし、短詩形文学で「愛」を伝えるなら、5・7・5・7・7の短歌のほうが向いているでしょう。
ラブコメであるこの作品、目にした「川柳」を幾つか挙げてみます。
@1:構わない どう見られても キミとなら (22P)
@2:ごめんなさい メイクの道具 持ってない (46P)
@3:ごくたまに 考え中に 白目剥く (55P)
@4:待ち時間 耐えられなくて 駄々こねる (60P)
@5:遊園地 このメンバーで 行きたいなぁ (62P)
「待ち時間・・・」以外は七々子・吟。
こう並べると、@3、@4 は川柳と呼べる気がしますが、あとのは川柳とは言い難いと思います。@2と@5は、ただ言葉を並べただけで、川柳どころか、日常会話のレベルであると思います。@1については、七々子がエイジに「愛」を告白した句であり、これについても、川柳とは言い難いですが、ラブ・ロマンスを特徴付ける句と見なせると思います。
ところで、何故七々子は「川柳」でしか他者とコミュニケーションを取れないのでしょうか?思うに、彼女は一種の「発達障害」なのではないか、と。しゃべればすぐ感情・思考が楽に他者に伝わるのに、それが「できず」、筆やペンというワンクッションをおいてしか感情・思考を伝えられないハンディがあると思われるからです。作者についてwikiから。
五十嵐 正邦(いがらし まさくに)は日本の漫画家。北海道釧路市出身。獨協大学卒業。大学在学中は漫画研究会に所属していた。
主に少年漫画で活動。ギャグ・コメディ作品を中心に発表している。経歴
2007年、『タクシード』で第67回赤塚賞で佳作を受賞。2008年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて読み切り『ダストシューターズ!!』でデビュー。2014年、『週刊少年マガジン』(講談社)にて『コーポ失楽園』で連載デビュー。
作品リスト
• コーポ失恋園(週刊少年マガジン、2014年30号 - 43号、講談社、全1巻)
• 凸凹アニメーション(原作:宮島雅憲、週刊少年マガジン、2015年27号 - 40号、講談社、全2巻)
• まったく最近の探偵ときたら(電撃マオウ、2016年6月号 - 連載中、アスキー・メディアワークス/KADOKAWA、既刊2巻)
• 川柳少女(週刊少年マガジン、2016年47号 - 連載中、講談社、既刊2巻)
今日のひと言:私の私見では川柳は、俳句より難しい文芸だと思います。どちらも一種の感激を起爆剤にして作品を作るわけですが、「諧謔性」を付与しなくてはならない川柳が、俳句より難しい精神活動を要求するのだと思います。また、恋・愛を語るには短歌が最適だと思います。(短詩形文学に限定するなら。)その意味で、残念ながら『川柳少女』は、恋愛、諧謔性、どちらの見方からでもイマイチの作品だと思われるのです。
参考過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150304#1425436183
:川柳入門書で川柳は詠めるようになるか?
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140831#1409483632
:狂歌はなぜ衰退したのか?

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今日の一品
@ヤーコンの炒め物すりごま掛け
キク科のヤーコンは、梨に似てほの甘いですが、これまで生で食べていたことに変化を持たせるため、オリーブオイル、醤油で炒め、最後にすりごまを入れてかき混ぜました。やはりほの甘いことは変わりませんでした。
(2018.02.18)

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@ハンペンはさみ焼き
弟作。ハンペンを横から切り、味噌、韓国ノリをはさみ、縦に切って長方形にし、フライパンで焼きました。
(2018.02.19)
@メカブのサラダ
三陸沖が主産地のメカブ(ワカメの根の部分)。放射能は怖いですが8年ぶり位に食べてみました。黒っぽいメカブを切り分け、熱湯をくぐらせます。途端に翡翠色(:ひすいいろ)になって美しいです。冷ましてポン酢、醤油、刻みネギと合わせ、一品。なお硬い茎も切り分けて調理します。
サラダ
(2018.02.20)
@カルビ肉のマンゴーソース風
弟作。新規に買ってきたマンゴードレッシング(キューピー)を試しに使ってみました。塩を振ったカルビにドレッシングを掛け、30分ほど置き、焼いて仕上げにもドレッシングを振りました。なかなかマッチしています。
(2018.02.20)
今日の一句
根の国で
遊ぶや木々の
最前線
(2018.02.18)

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今日のとほほ(散文詩)
1)スーパーのトイレにて。私より先に入った男性がすぐに出て行きました。なんだろうかと思うと、大のトイレ(一部屋のみ)から、男性2人が親しく語り合う声が聞こえてきた・・・これは同性愛者たちだと直感し、私も用を済ませ、そそくさと退散しました。若い頃、私もトイレで同性愛者に「勃つか?」と言われ「俺はそんなんじゃない!」と言いつつ立ち去ったことがあります、はい。
(2018.02.20)
2)バカボンのパパになった。私が本日の郵便物を持ってきて弟に示したあと、「あれ、今日は郵便物は来てない?」(!!)・・・こんなお話が「天才バカボン」にあったのです。
(2018.02.21)

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