虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2015-01-01から1年間の記事一覧

網野善彦の動的日本中世史:定説を疑うのは大事だ。

歴史家として高名な網野善彦氏(1928−2004)。山梨県出身で東京大学文学部史学科卒業。私はこれまで彼の著作を読んだことがありませんでしたが、ブログ友達のid:hatehei666さんの示唆によって「列島の歴史を語る:藤沢・網野さんを囲む会」(本の森…

「JA全中」潰しはTPPへの参加の布石だ:姑息な安倍内閣

JA全中は正式名称「全国農業協同組合中央会」と言い、全国の農協に指導権を持つ、従来の農政においては中核的な組織です。その力を削ぐ目的の農協法改正を安倍内閣は狙っています。その心は・・・TPPに加入した後で、農業の強化を目指すということですが・・…

川柳入門書で川柳は詠めるようになるか?

結論から言って、入門書を読んでも、川柳(せんりゅう)が詠めるようになるのは難しいと思います。私が今回読んだのは「「全然知らない」から始める 川柳入門」(荒木清・日東書院・2008年7月初版)です。 解説によれば、同じ5・7・5の形式の俳句に比…

歯周病予防とリステリン〜塩化亜鉛の効能とは?

リステリン・ターターコントロール→ 以下に書く文章の種本は、「専門のお医者さんが語るQ&A 歯周病」(新井高:株式会社保健同人社:本体1286円)です。 まず、口腔内でプラーク(歯垢)が出来、これが固着してターター(歯石)となり、歯と歯茎の間…

歯周病予防とリステリン〜塩化亜鉛の効能とは?

短編小説名手の傾向分析:川端康成・芥川龍之介・梶井基次郎・中島敦

私が大学時代の最中とその後数年食いつないだ一種の学習塾で、理科系だった私はそれに反し、国語科の講師に合格し、中学生たちに教えていました。教材も粒揃いで後から考えるとエクセレントな作品の数々を生徒たちに教えることができたのは僥倖でした。 その…

ツイッターとビッグデータ:ツイッターは支配者の道具

私は以前「私は15日間、Twitterをやった」というブログを立てましたがhttp://d.hatena.ne.jp/iirei/20110105#1294224571 本当に15日でやめました。その理由は、そのブログで書きましたが、今日は別の視点から、ツイッターについて書こうか、と思います。…

のんきな患者〜梶井基次郎最後の作品:国民病・結核

梶井基次郎(1901−1932)は、奇蹟とも呼べる短編一人称小説を20編ほど残し、31歳の若さで夭折した天才作家です。「檸檬」「愛撫」「桜の木の下には」「器楽的幻想」などの傑作群を生み出した彼。その彼の命を奪ったのは「結核」でしたが、彼はそ…

戦う工学者・熊本一規氏:「電力改革と脱原発」(書評)

私が東大都市工学科の先輩・熊本一規(くまもと・かずき)氏とお会いしてから、かなり長きに渡りましたが、ここ2、3年お互いの著作を贈呈しあい、熊本氏から直近で贈られたのが、今回取り上げる「電力改革と脱原発:2014」です。この本は、氏の前著作…

「だれも知らなかったインド人の秘密」〜インド人と中国人の対比

「だれも知らなかったインド人の秘密」(原題:Being Indian)は、インド人であるパヴァン・K・ヴァルマさんが著し、村田美子さんが訳して、2006年、東洋経済新報社から発行されました。 この本は、厚いベールに包まれたインド人の本当の顔を同じくイン…

小林古径(古徑):日本画家〜写実と空想の間で

私が小学生中学年だったころ、男子生徒の間で、「切手ブーム」が巻き起こっていました。かなりの生徒が切手を収集していたと思います。その中で、もっとも男子生徒の心を捉えていたのは、おそらく「髪」という作品を使った切手でしたでしょう。女性が上半身…

「詩のボクシング」と「ディベート」:無意味な行為

「詩のボクシング」というのをご存知でしょうか?これは、20世紀の終わりごろから日本で流行り始めたイヴェントで、2名の詩人が、自作の詩を交互に朗読し、どちらが観衆を惹きつけたか、算定し、その対戦を1ラウンドとし、10ラウンドまで争います。と…

「あるあしかの話」〜ちばてつやの珠玉作

漫画家、「ちばてつや」といえば、ジョー(「あしたのジョー」とか、松太郎(「のたり松太郎」)とか、型破りな登場人物があまた現れることで有名ですが、彼は本来少女漫画家としてスタートしたこともあり、この点、注意すべきだと思います。 そんな作品群の…

「日本語の教室」(大野晋):かな文学は男性作家も敬遠する?

私が高校生だったころ、国語学者・大野晋氏の「日本語の年輪」を興味深く読んだことがありますが、他にどんな著作があるか図書館の蔵書を見たところ、今回取り上げる「日本語の教室」がありました。大野さんの概略はwikipedia から。 大野 晋(おおの すすむ…

「ウケる!!隠し芸」〜振られた時に困らぬように

忘年会、新年会などで余興としてリクエストされる隠し芸。「ウケる!!隠し芸100連発」を図書館から借りて観てみました。このDVDは、お笑い集団「ザ・ニュースペーパー」に所属する(らしい)蘭丸陽一さんと濱田マ助さんが出演しています。笑いのプロらし…

万物斉同と物の価値〜お金と物についての考察

あけましておめでとうございます。 今年もよろしく お願いします。 万物斉同(ばんぶつせいどう) 道家の思想家・荘子(そうし)の中心的な概念。「全ての物を斉しく(ひとしく)同一と見なす」という概略であるが、この場合 民主主義の「平等」という概念と…

万物斉同と物の価値〜お金と物についての考察