結論から言って、入門書を読んでも、川柳(せんりゅう)が詠めるようになるのは難しいと思います。私が今回読んだのは「「全然知らない」から始める 川柳入門」(荒木清・日東書院・2008年7月初版)です。
解説によれば、同じ5・7・5の形式の俳句に比べ、季語などの縛りが少なく、穿ち(うがち:対象をよく観察し、面白い点をピックアップする作業)の精神を持って作るものらしいです。私はよく俳句をひねりますが、それは四季の中、「ちょっとした」感動を感じれば詠めるものかと思います。一方川柳のように滑稽を追求する文芸の場合、「いかに読むものを笑わせるか」という「穿ち」のポイントを見出すのは、俳句より難しいのだと思います。対人的に、積極的なのが川柳、消極的なのが俳句であると思います。
でも、川柳にも幾つかのテクニックがあり、それらを意識して川柳を読めば理解の助けになるし、ひいては秀句を書くための道しるべにもなるのでしょう。そのテクニックには10か条ほどあります。
1)縁語 2)洒落 3)地口(語呂合わせ) 4)見立て 5)並列 6)取合せ 7)暗示 8)言葉使い 9)数字利用 10)文句取り
この本では、これらのテクニックのうち、掲載されている句ごとに何が使われているのか、解説がなされています。その意味では親切なつくりの本です。では、これから、面白かった句を幾つか挙げてみようと思います。(句とテクニックは、「「全然知らない」から始める 川柳入門」にあるとおりで、寸評は解説に従い、ちょっとだけ私が行った部分があります。)
@極楽は さぞ蓮根が 安かろう
この句は、極楽浄土には蓮がたくさん生えているから、食べきれないほどあるな、という意味で、クスっと笑ってしまいました。テクニックとしては(「極楽」から蓮の花、「蓮根」の見立て)
@かたつむり どこで死んでも 我が家なり
かたつむりは、いつも「家」を背負っているので。テクニック(「我が家」で「かたつむり」の姿を連想させる見立て)
@千早ぶる 神代にもない いい男
これは、和歌の常識である、色男・在原業平(ありわらのなりひら)の作品をもじったもの。テクニック(「千早ぶる・・・」で業平を暗示させる文句取り)
@わがすかぬ 男の文は 母にみせ
好いた男からの手紙なら、内緒にとっておくところ、意に沿わぬ男からの手紙はぞんざいに扱い、母とともにからかったりするという娘の心理。テクニック(「すかぬ男の文」、それを「母にみせ」でこのことを暗示)
@いたむべし 四十七人 後家が出来
赤穂浪士47人が切腹すれば、47人も後家がでるなあ、と感嘆している。テクニック(「四十七」の数字利用)
@念仏も 四五へんいれる 泥鰌汁
あはれ、泥鰌が生きたまま料理のためお湯にいれられ暴れるのを見て、成仏せよ、と願う人。テクニック(「念仏」と「泥鰌汁」の取合せ「四五へん」で数字利用)
@武蔵坊 安宅を越して 舌を出し
源義経が、兄・頼朝に追われた際、安宅の関で「勧進帳」の芝居をうち、みごと関所を越えられた弁慶が、してやったりと思ったであろう、という句。テクニック(「安宅」で関所通過の場面を暗示し、「舌を出し」で弁慶の心中を見立て)
今日のひと言:面白い川柳を幾つか列挙しましたが、その出来栄えの良さには感嘆するのみで、さて、自分で作ろうか、となるとなかなか難しいのですね。この前私もこんな「川柳」を詠みました:
@@安倍総理 腹の虫なむ 暴ればや
・・・・さほど面白くないですね。

- 作者: 荒木清
- 出版社/メーカー: 日東書院本社
- 発売日: 2008/07/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 35回
- この商品を含むブログ (2件) を見る

- 作者: 神野紗希,水野タケシ
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る

- 作者: 社団法人全国有料老人ホーム協会,ポプラ社編集部
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2012/09/12
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (12件) を見る

- 作者: 大岡信
- 出版社/メーカー: 遊子館
- 発売日: 2003/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
今日の料理
@大豆と四角豆の煮もの
通常使っている大豆、その煮ものに昨年収穫した四角豆をすこし混ぜ、作ってみました。四角豆自体は、ちょっと珍妙な味でしたが、馴染むとさほどの違和感を持ちませんでした。冷めたところでシナモンを振ります。塩味のみ。
(2015.02.26)
@セリの胡麻・マヨネーズ和え
わが家には、湿地とよべる空間を作り出し(よく水を撒くことによって)、セリを育てています。お正月には雑煮に入れ、また今回は幾分かまとまった量を採取して、調理してみました。茹でたセリをスリゴマ、マヨネーズ、塩(少々)で和えました。
(2015.02.27)
弟作。匂いの強い者同士を組合せました。牛乳もいれたそうです。以前も同工異曲の料理をアップしています。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140223#1393099544
:ラム肉のケチャップ炒め・セロリ風
(2015.02.27)
@レンコンの塩・胡椒炒め・黒ゴマ振り
以前id:kotonikoさんが教えてくれた料理。皮を剥いたレンコンを拍子切りにし、オリーブオイルを張ったフライパンで焼き、塩・胡椒で味付け。最後に黒ゴマ(いりごま)を掛けて出来上がり。
爽やかな風味で美味です。
(2015.02.28)
今日の一句
小梅ちゃん
時をたがえず
咲きにけり
近所の小さな白梅が咲くさまを見て。
(2015.02.28)