「だれも知らなかったインド人の秘密」〜インド人と中国人の対比
「だれも知らなかったインド人の秘密」(原題:Being Indian)は、インド人であるパヴァン・K・ヴァルマさんが著し、村田美子さんが訳して、2006年、東洋経済新報社から発行されました。
この本は、厚いベールに包まれたインド人の本当の顔を同じくインド人の視点で伝えてくれるものです。いわくインド人は、現世の御利益をなににも増して追求する現実的な人びとであるということ。インドの場合、釈迦とかマハトマ・ガンジーのような聖者について、もちろん否定はしませんが、自分がそのような存在になろうとは露とも思っていないのです。まあ、俗物だと称して良いのでしょう。自らの目的(利益)のためには手段を選ばない、卑屈であると言われてもイギリス人に追従する、肉体労働者を見下す、金もうけのためには何でもやる・・・
また、インド人が持つ宗教には「ヒンズー教」がありますが、この宗教には経典とよべるものがなく、やはり一般的インド人の御利益を保障する体のものです。この辺、中国人と比較してみますと、中国人の場合も、現世後利益を願う性格を持っていますね。その場合、儒教というより道教がヒンズー教にあたるのでしょうが。経典は、中国人の場合はあります。(老子、荘子、易経)
それから、いわゆるIT分野で、インドが世界にエンジニアを輸出しているという状況について、ヴァルマ氏は、そのために、教育がゆがんでいることを指摘しています。初等・中等教育にはあまり資金を入れずに、ITエンジニア創出のための資金投下が多いのです。
そのような「ゆがんだ」教育は、ある意味、その教育を受けた者には恩恵を施し、いわゆるカースト制度に風穴を開けるでしょうが、それはインド国民の一部を解放するのに役立つのみでしょう。中国の場合、初等・中等教育は案外充実しているようです。
インドは、他国に戦争を仕掛けたことはないらしいです。対パキスタン、対中国、対テロについて、なぜだかインドは平和主義というか、優柔不断な態度をとるそうです。中国だったら、どことでも戦争します。対インド、対チベット、対ウイグル、対ベトナム・・・枚挙にイトマがなき好戦的な国です。内政的にも、政府・王朝が堕落したら、革命を起して体制を変えることに躊躇しないのが中国人だと思います。この辺も、アジアの大文明2つの大きな違いでしょう。
現在においては、カースト制度の縛りは弱くなっていますが、その括りのなかでITエンジニアになるということは、伝統(カースト制度)に足を入れたまま、未来(IT)に対して手を伸ばすという風なアンバランスな知的態度を起すのですね。さらに、独創性の乏しい大部分のエンジニアは、欧米文明の召使(サーバント)に堕しています。中には素晴らしい独創性を発揮して、大企業を起す者も少数いますが。
インドの場合、国内に多くの少数民族が居り、それら民族が「汎インド主義」にまとまらないという、いかんとも出来ない弱点があります。一方中国でも、少数民族は多くいますが、インドほどには文化・言語的な多様性・・・この場合マイナス要因ですが・・・はないように思えます。そして、案外見落とすことですが、イスラム教徒(ムスリム)もインド国内にも多く居り、彼らとの共存がおおきな課題になっています。
今日のひと言:俗物の国、インド。しかし、これほど俗物さ加減が徹底しているなら、むしろ一服の清涼飲料剤に比較できるでしょう。

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今日の料理
@アボカド・ディップ
アボカドをソース(というより粘度が高いのでディップと呼ぶのがいいようですが)にして、先日のウドを食べてみました。ディップ単品でも美味しいです。レシピはid:hirokonishidaさんから拝借。我が家のレシピはアボカド一個をよくすりつぶし、梅サワー漬け大匙1、オリーブオイル大匙0.5、すりごま大匙2、塩コショウお好み・・・などと混ぜました。
(2015.01.29)
@蕪の葉のお浸し
蕪(かぶ)は、アブラナ科の野菜でも、親類の多い野菜です。野沢菜、高菜など。当然葉も美味しく食べられます。茹でたあと、チューブわさびと醤油で味付けしました。
(2015.01.29)
@蓮根の辛子和え
熊本県の名物料理・辛子レンコンに想を得て。適当に切ったレンコンを茹で、半分冷めたあと、塩と辛子を加えました。ただ、レンコンから水が出るので、そのあと辛子を加えるのが良かったようです。
(2015.01.31)
@菜の花2題 もちろん菜の花は美味しいですが、生の穂先が辛さが鮮烈で、生食の価値がありますので、茎と別に調理しました。写真の手前が茎を茹でて胡麻・マヨネーズ和えにしたもの、奥が洗って塩を振った花穂。
(2015.01.31)
今日の詩
@ランチ
昼食時
たまたま居合わせた車両で
妙齢の娘さんが
昼食を食べていた
大きな容器に
野菜の浅漬け たくさん
ご飯は小さな容器に
申し訳け程度
この子、ベジタリアン?
食べ終わったところで
駅に降りて行った
車内の化粧は多いが、
これは珍しい。
初めて見た。
(2015.02.02)