虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

万物斉同と物の価値〜お金と物についての考察

あけましておめでとうございます。
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万物斉同(ばんぶつせいどう)


道家の思想家・荘子(そうし)の中心的な概念。「全ての物を斉しく(ひとしく)同一と見なす」という概略であるが、この場合 民主主義の「平等」という概念とはまったく違う。自己が絶対者であるという意識をもって「全てのもの」に差別を設けないという境地を言うのである。「物」には「者」としての人間も含む。なお、その絶対者も万物のひとつに過ぎないという認識も重要である。「荘子:そうじ(書物としてはこう読む)・斉物論編」に詳しい。

これは、私が「はてなキーワード」として登録した言葉ですが、ちょうどそのときに、ひらめくことがあり、私は頭のてっぺんからつま先まで、緊張がほどける快感・・・いわば「悟り」の境地に達しました。それは地域流通貨幣のことを考えているときだったのですが、私は新たな価値観を表明することができたのです。その貨幣は「ガロア」、過去ログで何回か触れています。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070704#1183501410
     :超地域流通貨幣・ガロア

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140124#1390502040
     :ナナコ(nanaco)とガロア(galois)〜安全な通貨とは


物の価値はどうやって決まるか?・・・これは人類共通の難しい問題ですが、現在では、需要と供給のバランスで決まるというのが一般的になっています。あまりに供給量が多いと、生産者は出荷するだけ赤字になり損だと、それが例えばキャベツだとすれば、農地に機械を入れて、収穫を待つキャベツをメチャメチャにしてしまいます。それならいっそ、その棄損されたキャベツを無料で配れば、むしろ消費者は喜び、かつ以後はその農家のキャベツを選択的に買うようになるかも知れませんのに。


あるいは、逆にキャベツが極端に不足するような場合は一個1万円になるかも知れません。とても買えない・・・でも、その際、万物斉同の理屈を考えてみると、凡てのものは同一な価値を持っていて、キャベツ自体、一個で「固有の価値」を持っているはずです。それを高く売るのも棄損するのも、同じく人間の驕りであり、誤りなのです。


キャベツ一個のみならず、この世ないしあの世の万物は、等しく同一の価値を持っている・・・それが人間であれ、犬・猫であれ、です。それに価値の差をつけるのは愚かなことだと荘子は言っているのですね。


そして、私のロジックは以下のように続きます:私はガロアという通貨単位を提唱していますが(過去ログ参照)、その通貨は物ではなく「行為」に対して支払われます。先ほどの例、一個1万円のキャベツ、その人為的な価格は脇へ置いておいて、それを「プレゼント」する「行為」に100ガロア支払うのです。(1ガロア=1円、ただし意味が違います。)


物としての価値には目もくれず(その価値はどんな物でも同一だから)、行為が大切なので、それに対してガロアを支払うのです。そうすると、どんなメリットがあるかと言えば、無駄な物ばかり生産・消費する、この大量消費社会に風穴をあけることではないかな、と考えています。



今日のひと言:私が「悟り」の境地に至ったのは、人間にとって経済とはなにか、という問題をファンダメンタルに紹介してくれた本「エンデの遺言」(河村厚邑+グループ現代:NHK出版)における貨幣と生活に関する記述に大きな示唆を受けたからです。なかでも、経済学者・シルヴィオゲゼルのスタンプ貨幣は興味深く・・・使わないとお金の価値が落ちる・・・という奇想天外な経済政策が実施され、実際に経済効果があったというのですね。


なお、荘子はこの「万物斉同」という言葉は使っていません。老子の「無為自然」という言葉もそうです。その意味で、意訳のような用語ですが、言いたいことはわかるような気もします。


また、5000余字と短い「老子」に比べ「荘子」はかなり大部で、内編、外編、雑編とあり、中核思想をつづるのは内編であり、なかでも「斉物論編」が重要です。




エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社+α文庫)

エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社+α文庫)

エンデの遺言「根源からお金を問うこと」

エンデの遺言「根源からお金を問うこと」

荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)

荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)






今日の料理



@牛スジ肉と車麩丼







わが家では、肉・魚の一部を犬にあげるので、量の少ない食材は足りなくなることがあります。今回はスジ肉がそれで、足りなくなった分を車麩で埋めました。スジ肉は圧力鍋で10分加熱、冷めたところで切り分け(手がギトギト!)、醤油・昆布だし・とうきび糖の汁でネギと煮込み、ふやかして水を絞った車麩を入れます。ただ、塩味の濃さと、吸水する麩の兼ね合いを測るのが大変で、最初は塩辛くなりすぎ、水を足して塩味を調整しました。そもそも、スジ肉を使った牛丼は、漫画「美味しんぼ」のエピソードで、スジ肉を迷子の犬に、主人公・山岡士郎があげていたというお話「再会の丼」で取り上げられていました。

 (2014.12.29)




@カラスカレイのホイル焼き







切り身のカラスカレイを、オーブントースターで200度、15分焼き、念のため電子レンジにかけました。味は塩と胡椒。

 (2014.12.30)




@ラム肉のもんじゃ焼き







弟がたまに作る料理。小麦粉などを昆布だしで伸ばして、ラム肉スライス、キャベツ、ネギなどを炒めたところに注ぎ込みます。ガスレンジから降ろし、アオサ、カツオ節、お好み焼きソースを掛けます。目先が変わって面白い料理。

 (2014.12.31)



@キャベツの「マヨ8ソース」和え






以前紹介した、「マヨ8ソース」がなかなか消費できなかったので、キャベツの乱切りに和えてみました。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20141229#1419827960 参照

 (2015.01.02)






今日の一首


穴を掘り
塒(ねぐら)とするや
犬一頭


人と戦い
勝ち取りけりぬ







近所の飼い犬――穴を掘っては主人に埋められ、めげずに掘り続けたこの犬、何回かの「攻防」の挙句、とうとう主人が音を上げ、公認の穴になりましたとさ。

 (2014.12.30)