「詩のボクシング」というのをご存知でしょうか?これは、20世紀の終わりごろから日本で流行り始めたイヴェントで、2名の詩人が、自作の詩を交互に朗読し、どちらが観衆を惹きつけたか、算定し、その対戦を1ラウンドとし、10ラウンドまで争います。とくに最後のラウンドは即興の詩を披露しなければならないという、かなりきついイヴェントなのです。ここに、「詩のボクシング」初期に行われた「タイトルマッチ」、谷川俊太郎とねじめ正一の模様を写した映像があります。
この映像には映っていませんが、おそらく最終ラウンドに谷川氏が口にしていたフレーズ「飛べ、飛べ、おち●ちん」は印象に残っています。
1997年10月に音声詩人・映像作家の楠かつのりが声の言葉による新たな表現を見出すために日本朗読ボクシング協会 (JAPAN READING BOXING ASSOCIATION = JRBA) を設立、以後その実践の場として開催している。
詩のボクシングは当初、一部の詩人や作家、ミュージシャンなどの対戦として行われていた。1997年10月26日の第1回「世界ライト級王座決定戦」では、詩人で作家のねじめ正一と女性詩人の阿賀猥による対戦が組まれ、判定の結果ねじめが初代チャンピオンとなった。第2回大会ではそのねじめに谷川俊太郎が挑戦。結果は谷川が勝利し、2代目チャンピオンとなる。続いて3代目チャンピオンには詩人の平田俊子が、4代目には作家の島田雅彦が就いた。5代目を決めるタイトルマッチでは、チャンピオンの島田にミュージシャンのサンプラザ中野が挑戦し、島田が王座を防衛した。
楠は活字のプロだけの朗読では場の広がりに限界があると感じ、1999年から一般参加のトーナメント戦を開催するようになった。この一般参加による「予選を通過した朗読者がトーナメント方式で対決する」イベントは楠かつのりの「詩のボクシング」を広める積極的な活動をメディアが取り上げられるなどして全国に広まった。多数の都道府県(2008年時点で35都道府県)で地方大会が行われ、2001年からは年に一度、各地方大会のチャンピオンから日本一を決める全国大会も開催されている。
それにしても、私はこのようなイヴェントで詩作をする・発表する・即興詩を書く、とかいった営為は好みません。江戸時代の戯作者・井原西鶴は、一晩に数千、数万の俳諧(俳句)を詠むという「大矢数」というゲームを得意としていました。私にはここで取り上げた「詩のボクシング」にも同じような匂いを感じます:あくまでこの場で行われるのはゲームであり、芸術ではない、ということです。現に、井原西鶴が詠んだ句は今ではほとんど読む機会はありませんが、松尾芭蕉の句は、いつでも読めます。そこがゲームと芸術の違いだと思います。
そして、ゲームといえば、最近NHKでよく放送される、ハーバード大学教授・マイケル・サンデル氏の「白熱授業」に取り入れられているだろう、「ディベート」も同類のものかも知れません。またwikiより「ディベート」
ディベート(debate)とは、ある公的な主題について異なる立場に分かれ議論することをいう(広義のディベート)。討論(会)とも呼ばれている。
ディベートは、厳密にはディスカッション(discussion)や単なる議論とは異なるものであるが、一般にはこれらの区別なく「ディベート」ないし「討論」と呼ばれることが多い(最広義のディベート)。この語法は既に定着している感すらあるが、誤った使い方であるとの見方も根強い。
様々な教育目的のために行われる教育ディベート(academic debate)が、単に「ディベート」と呼ばれることもある(狭義のディベート)。特に、教育ディベート関係者の間では、「ディベート」といえば通常は教育ディベートを指す。
教育ディベートでは、その多くが説得力を競い合う競技の形で行われる。競技として行われるディベートを競技ディベート(competitive debate)という(最狭義のディベート)。多くの異なったスタイルがあり、目的に応じて選択される。
ディベートと一口に言っても、いろいろなヴァリエーションがあるわけですね。まあ、ある立場をとってディベートに加わる場合、自分本来の立場と真逆な立場で論争する点が重要なのですね。これは「教育ディベート」ならではの設定になるのでしょう。でも、これもある意味競技=ゲームでしかないわけです。弁論で論敵を倒すという行為も、私はあまり好きではありません。というか、馴染まないのです。
今日のひと言:私はゲームというのが本来的にあまり好きではありません。ゲームをやって、自分の能力や知能の低さが暴かれるというシチュエーションが恐怖の対象なのです・・・
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今日の料理
@茹でキャベツのマヨネーズ&八丁味噌ソース和え
以前、生のキャベツを「マヨネーズと八丁味噌を2:1に和えてスリおろしショウガ」ソースで和えましたが、今回は茹でたキャベツを和えてみました。アブラナ科の野菜は、多かれ少なかれ辛さを持っていますが、茹でると甘くなります。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20141229#1419827960 参照。
(2015.01.19)
@ラムと大根葉炒め
弟作。この前収穫した聖護院ダイコンの葉をあしらい、ラム肉と炒めました。醤油、すりおろしショウガ、柚子の絞り汁を味付けに。
(2015.01.19)
@鶏むね肉の味噌・クレージーソルト・クリープ煮
弟作。あらかじめ加熱していた鶏むね肉を、ここに書いた調味料で煮ました。クリープを入れてみたのがミソ。クリープには乳成分が含まれるので、実質的に牛乳を入れたのとほぼ同じ。ちょっとエキゾティックな味。
(2015.01.22)
今日の一句
私なら
仏の顔も
一度まで
(2015.01.22)