女にとって、男はユートピアだ(彼と彼女のソネット:大貫妙子)随想録―50
女にとって、男はユートピアだ(彼と彼女のソネット:大貫妙子)随想録―50
芥川龍之介は、警句集『侏儒の言葉:しゅじゅのことば』の中で、いわゆる「ユートピア:理想郷」について、数学の証明のような分析を行っている。「ユートピアを実現するためには、人間性を変えなければならない。人間性を変えると、それまでユートピアと思われていたものは、ユートピアではなくなる。」・・・つまり、ユートピアとは「蜃気楼」のような物、あるいは「逃げ水」のような物で、これら「光のいたずら」の現象のようなものがユートピアなのだろう。人は、そこには決して到達できない。
さて、最近は「シティ・ポップ」の担い手の一人として、アメリカなどで人気のある大貫妙子さんの曲;「彼と彼女のソネット」を見てみよう。相思相愛の一組の男女のやり取りなのだが、彼は、彼女が自分に追いつく素早さに恐れを抱き、「君は僕の先に進むことが出来る、もう僕は用済みだね」と彼女に言う。
アルバム:A Slice of Life より
彼と彼女のソネット
一方、彼女の方も困り、「急ぎ過ぎた私。(ごめんね)いつまでも貴方のことを聞かせてほしい、愛をあきらめないで」と返す。男性が離れてしまうと、彼女にはなにも残らないと
言っているわけだ。
この曲のような男女関係、現在のように、無能な男性が増えた時代にはもうマレかも知れないが、男性は、日々進化していて、当然でなければならない。中国のコトワザに次のようにある:「男子三日会わざれば、刮目(かつもく)して見よ」(三国志演義)・・・男性が3日もあれば、どんどん進化するので、別人のように思われる。という具合だ。(私の知人に、面白いカップルがいた。彼は現在の境地に安住したがっていたが、彼女は、「いつまでも同じことをしていたらダメ!進歩を見せて!!」とよくけしかけていた。)
女性はその男性に、急速に追いつける。ただ男性の前には進めない。その限界を知っているから、この曲の「彼女」は、男性を逃すまい、としているのだと解釈出来る。追いついたと思っても、男性はその先に行っている。女性にとって、男性が「ユートピア」であるわけがそこにある。(ちょっと弁解すれば、ここで展開した論理は、あくまで大貫妙子さんのこの曲を自分なりに解釈した結果だ。)
(2022.09.01)
今日の7句
生態系殺しー1
こうまでに
センダン草のみ
はびこらせ
アメリカセンダングサは、他の植物を排除します。人は、何年もほったらかしてきました。
(2022.10.09)
生態系殺しー2
健全な
田にさえ入る
センダングサ
普通に稲を栽培している田にさえ、侵入します。
(2022.10.09)
匍匐草
ひっくり返して
お茶濁し
土木事務所がグランドカバーとして、他の草をはやさぬために植えた草、育ちすぎてひっくり返していました。本末転倒。
(2022.10.09)
病院の
ヘリポートより
轟音で
ドクター・ヘリ。
(2022.10.09)
柿実り
収穫する人
なかりけり
宝の持ち腐れ。
(2022.10.09)
夜来雨
枝に宝石
松の木か
(2022.10.10)
ホトケノザ
釈迦の座椅子が
これなりき
(2022.10.11)