オープン・ダイアローグと映画『タンポポ』:依頼者との本気の対話
むかし、『タンポポ』という伊丹十三監督の映画がありました。流行らないラーメン屋を立て直すため、ラーメン通の男性の面々が、寄ってたかって女性店長(宮本信子:演じる)を指導し、盛り上げ、超一流のラーメン店に仕立て上げるという、ある意味痛快な物語でした。今回取り上げる「オープン・ダイアローグ」と、似た感じがするお話でした。で、どういうことかと言えば・・・
フィンランドという国は、色色な面でエクセレント(卓抜な)国だと思います。世界最高水準の福祉、教育・・・以前子育てを支援するネウボラを取り上げたことがありますが、今回の話題は精神障害者を支える「オープン・ダイアローグ」です。この試みについては2018.5.8日の東京新聞で取り上げられていたのがこの取り組みを知った始めです。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20161219#1482147526
wikiでオープン・ダイアローグについて検索してみました。
オープン・ダイアローグ(英語: open dialogue)とは、統合失調症に対する治療的介入の手法で、フィンランドの西ラップランド地方に位置するケロプダス病院のファミリー・セラピストを中心に、1980年代から実践されているものである。「開かれた対話」と訳される。統合失調症、うつ病、引きこもりなどの治療に大きな成果をあげており、発達障害の治療法としても期待されている。
患者やその家族から依頼を受けた医療スタッフが、24時間以内に治療チームを招集して患者の自宅を訪問し、症状が治まるまで毎日対話する、というシンプルな方法で、入院治療・薬物治療は可能な限り行わない。患者を批判しないで、とにかく対話する、などのルールがある。統合失調症患者は(創造的である反面、極言すれば病的でもある)モノローグに陥りやすく、そこから開放することを目標とする。
モノローグ(独白)をダイアローグ(対話)に開くために
@本人抜きではいかなる決定もなされない。
@依頼があったら24時間以内に、本人・家族をまじえて初回ミーティングを開く。
@「治療対象は最重度の統合失調症を含む、あらゆる精神障害をもつ人。
@薬はできるだけ使わない。
@もちろん幻覚妄想についても突っ込んで話す。
@本人の目の前で専門家チームが話し合う「リフレクティング」がポイント。
@治療チームは、クライアントの発言すべてに応答する。
日本への導入
オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)が中心となって普及を進めている。保険適用外(2018年現在)であることや、従来の薬物療法中心の精神病治療の考え方を変える必要があるなど、国内での普及には大きな壁があるが、書籍などを通じて学ぶことで、家族が実践することも可能である。オープンダイアローグ対話実践のガイドライン(第1版、2018年3月)が無料で公開されている。
中々優れた取り組みだと思います。実際に治療効果があるらしいです。このブログの初めに触れた『タンポポ』では、いろいろな専門の男たちが、「タンポポ」(=ラーメン店の女主人の名前です。実在はしない名前でしょうね。)を「寄ってたかって」導き、ラーメン屋を超一流店にしていくわけで、この乗りがオープン・ダイアローグと軌を一にしていると思われるのです。それにしても、フィンランド=地の果ての国がいろいろな社会的工夫をするのに比べ、同じようなアジアの果ての国、日本がさほど知的生産性がないのが残念ですね。個人は社会が守る、社会は個人が支える・・・この辺の感覚がフィンランドには横溢しているのでしょう。日本にはそういった当事者意識が希薄なのでしょうね。
今日のひと言:日本にも精神医療として優れた試みがあります。北海道・浦河町の施設で行われている「当事者研究」です。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20180326#1521990343
:「当事者研究」@浦河べてるの家:患者による斬新な精神健康メソッド
ついでにフィンランド全般についての記述です。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150503#1430599918
:「フィンランド 森と街に出会う旅」:人類学の研究に向く女性
今日の一品
@ケールの炒め物すりごま風味クコの実添え
今年から作り始めたケール。キャベツの原種で、強健な作物です。今回は葉をざく切りにしてごま油で炒め、塩、すりごまを加え、彩りにクコの実。大根葉に似て、苦いです。(大根葉より苦いかも。)
(2019.07.12)
エゴマのスプラウト(もやし)の香りが良かったので、雑炊にしてみました。ごはんを、水を敷いた鍋に入れ、クワの未熟果を干したもの、梅干し、卵、アジノモト・ほんだしを順次入れ、最後にスプラウトを投入して、火から降ろす。
(2019.07.13)
@ナスタチウムトッピングそうめん
栽培しているナスタチウムが徒長してきたので、枝ごと摘んで刻み、そうめんのトッピングにしました。この植物はワサビのような風味がします。ノウゼンハレン科。
https://iirei.hatenablog.com/entry/20190519/1558210201
:コンパニオンプランツとしてのナスタチウム(金蓮花)
(2019.07.14)
製品
完成品
アメリカで水揚げ、青森で加工された一品。塩の量はハンパではなく、干物を90分は水に漬けるのを推奨されます。戻すと、スルメというより生のイカで、加熱調理が勧められるので、ごま油、すりごま、カイエンペパーで炒めて味付けしてみました。(まだ塩っぽかったかな。)
(2019.07.16)
今日の詩
@野菜無人販売所(信用販売)
そろそろ夏野菜が出回る頃
しばらく休んでいたこのスポット。
今回はジャガイモ、タマネギ、キュウリ、
ナス、オクラの5品揃い
ナスは5本入りで60円!
あとは推して知るべし(安い!)
この「信用」で運営されるスポット、
永く続いて欲しいもの。
*貯金箱に代金を自分で入れて、野菜を持っていくのです。
(2019.07.13)
今日の二句
待っていろ
そのうち赤く
ピラカンサ
現在のピラカンサの実は、緑色です。
(2019.07.13)
木イチゴの
赤が極まり
黒くなる
ブラックベリーです。
(2019.07.13)