国:圀と國と邦の語源(プラス名曲「威風堂々」のこぼれ話)
国という概念・言葉は中国史に限らず、およそ人間が活動する場なら、必ず必須になるものです。ここでは3つの「国」に
関する話題を書きます。
1)圀・・・水戸黄門、すなわち水戸光圀。このクニ(圀)という文字がそれですが、この漢字は中国、唐の女帝「則天武后」がほかのいくつかの漢字と同じく勝手に制定したものです。教養もあった水戸黄門、この来歴を知っていたでしょうか?ただ、クニガマエのなかに「八方」=「8方位」とあるのはなんだか意味深で、易経の八卦のイメージを垣間見させてくれる点で面白いかも知れません。
2)國・・・クニガマエの中身は、「惑星」の「惑」からシタゴコロを取ったもので、意味を引き継ぎ「迷う」「もしかしたら?」と疑心暗鬼になる状態を示します。周囲の4辺、どこから敵が来るか、怯える状態をしめすのです。それはど「國」というものは運営が難しいのです。
3)邦・・・盛り土をして境を作る。そのうえで、天子や諸侯が神々に領有を宣言したその領域。語源は左の篇が「手」、右の旁が「土地」を示す会意兼形声文字。(藤堂明保:漢和大字典)
なんだか凄味がありますね。なお、司馬遼太郎さんによると、漢王朝の創始者:劉邦の「邦」の字は、「兄貴」といった意味のあだ名であったとのことで、文字の意味も、変われば変わるものです。:司馬さん作:『項羽と劉邦』の記述。
今日のひと言:こうみると、普通の「国」なる言葉は無味乾燥なものだと思われます。漢字は夥しい数がありますが、「国」一つ取っても、多様な表現があったことに驚かされます。
国、領土といえば、印象的な話題があります。イギリスの作曲家、E.エルガーが作曲した「威風堂々第1番:Pomp and Circumstance」は、たいへん素敵な曲です。行進曲として世界最高レベルの曲で、「イギリス第二の国歌」とも称されます。この曲を聴いたイギリス国王が、「この曲に歌詞をつけたらどうか」、と提案して、エルガーもその気になり、歌詞をつけてもらいました。その歌詞付きの威風堂々は「イギリスの領土よ、広がれ、ますます広がれ」という大変俗物的なものになり、聴いた私は愕然としたものです。(NHK:「ららら・クラシック」の“威風堂々”の回)
https://youtu.be/4gHCWMKSoZ4 (クリック:威風堂々・歌詞なし)
また、イギリス(アングロサクソン民族)のライバルのロシア(スラブ民族)も、領土的野心は昔からあり、最近のクリミア半島の無血奪取は、ロシア国民から熱く支持されました。プーチンは北方領土の歯舞、色丹は日本に返してもよいと思っているのかも知れませんが、ロシア国民の批判を恐れ、現在の「前提条件なしの平和条約」締結を日本に示しています。これは上に書いたメカニズムによるものでしょう。
版図を広めたいという意味では、どの国でもそんな欲望を抱いています。とくに中央アジアで繰り広げられたイギリスとロシアの抗争は「グレート・ゲーム」と言われています。
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今日の一品
@チャービル入り味噌汁
ハーブのチャービルは繊細な香味を持ち、今年栽培しましたが、こぼれ種から生えてきたこれを、味噌汁の薬味に使いました。国籍不明のスープになりましたが、美味しかったですね。
(2018.11.14)
@果実酒2種
ミント酒
メドースイート酒
写真で見ると褐色で同じに見えますが、風味は違います。ミント酒はペパーミント(シソ科)を漬け、メドースイート酒はバラ科の同名のハーブをホワイトリカーに漬けたものです。特筆すべきはバラ科植物を漬けると、エクセレントな果実酒になることが多いことです。(葉や花は、漬け込み後1週間で引きあげます。実や根は漬けっぱなしで良いです。)
(2018.11.14)
@蒸しタコの刺身
イカやタコには「造血作用」があるとされます。
(2018.11.16)
今日の四句
西日浴び
気高く立てる
六地蔵
地蔵の6とは、いわゆる六道輪廻の思想から、各世界に人の救済のため現れる地蔵のことでしょう。
(2018.11.15)
クレマチス
つるはなくとも
咲き誇る
(2018.11.16)
気分良し
凱風快晴
赤城山
朝の散歩の際、赤城山が威容さを示していると、私も気分が高揚します。
(2018.11.17)
シラサギの
コンドルのごと
飛んでゆく
サイモン&ガーファンクルのヒット曲をイメージしました。それにしても、シラサギは優雅に飛びます。
(2018.11.18)