虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト:色々な事物を取り上げます。

川は、人の美醜を映す鏡である。:誰が言ったか?この格言

川は、人の美醜を映す鏡である。:誰が言ったか?この格言

イソップ物語』に「欲張った犬」のお話があります。その犬は骨を咥えていて、川面に映った自分の姿を「別の」犬であると認識して、その犬の咥えた骨も自分のものにしたくなり、吠えて威嚇したところ、肝腎の骨を落としてしまうのですね。元も子もない仕儀でしたが、この犬のお話、イソップ物語の作者(仮託されていなければもちろんイソップがそうですが)は、なにか教訓を垂れているのだろうと思います。


ギリシャ神話にはイソップ物語の他にも、川面に映った自分自らの姿に恋をして、ニンフたちの求愛を無視した美少年(ナルキッソス)が、神から罰として植物の姿に変えられるというお話もあります。むろん水仙(ナルシサス)がその植物です。


日本にも、川面について考察した随筆『方丈記』(鴨長明)があります。「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」・・・この随筆を日本文学に永遠に残す名考察でした。この場合、『方丈記』は「無常観」という虚構の構築物であったと、私は見ています。


さて、現代の日本においても、川の水の問題は、いつでもホットな話題です。私の大学時代の卒論指導教官は、数年前「文化功労者」に叙勲された中西準子さん(当時助手)でしたが、彼女は国交省(当時:建設省)の推進していた「流域下水道」に異論を述べていて、しかもこの大規模下水道への代替水処理法も研究されていました。


この「流域下水道」は、川の右岸なら右岸、左岸なら左岸にと、(川の流れの下流に向かい、右になる方が右岸です)複数の市町村の大量の下水排液を下水処理に掛け、その後自然に戻します。なかなかグッドな施設かといえば、そうではない、とするのが中西さんでした。特に印象的な指摘が2つあり(他にもありましたが)


1)大規模な施設である流域下水道に流れる水が多くなり、ちょうど川から、川の環境を維持するための水を奪うことになるので、川は下水道施設を作る前より汚れ、川の再生という意味では本末転倒になる。


2)広い範囲を下水管網で網羅するので、下水処理場が本格稼動する前に、下水管が耐用年数を過ぎてしまう。


中西さんの主張は、大規模な流域下水道をやるより、中・小規模の下水道を使うのが良い、ということでした。流域下水道は、水における火、すなわち原発に喩えられると言えましょう。


以下、以前書いた詩。


@川をいじめる人間


散歩して川に差し掛かったところ、
水が泡立つのを見た。
これは合成洗剤が流れているのだ。


人は要らぬ物をなんでも川に流すが
牛乳だったら10000ppmほどの
BOD(生物化学的酸素要求量)になる。


川が持つ自浄能力は5ppmが限度
その10000という数字は薄めて
5にするしかない


それが不可能な場合は川の生物たちはダウンする。
発生源の各家庭が水との付き合いを
根本的に見直すべきなのだ。


もっとも、ゴミを川に捨てる者は
論外だね、
人間としての資格がない。

 (2018.01.30)


今日のひと言:川は山と海をつなぐ、エネルギーの通路です。自然界で非常に巨きな存在です。そして川は、「鏡」の機能を持っています。川にゴミを捨てる人は、川によって鏡像で正確に罪状が下されます。そして必ず罰が下るのです。また無自覚に下水に色々なものを流す人は、鏡像によって無自覚という罪に問われるのです。どちらも川が持つ「鏡」の機能が発動されるということですね。人の「醜い部分」を反映する・・・「美しい部分」も当然反映しますが、それは真に人が自然の摂理に素直に従った場合にのみに美しい鏡像で川が喜ぶのでしょう。



都市の再生と下水道

都市の再生と下水道

水循環思考―ハイテク病社会の水汚染

水循環思考―ハイテク病社会の水汚染





今日の一品


@桜花酒(おうかしゅ)


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2001年に漬けたので17年の熟成期間を誇ります。「ソメイヨシノのツボミ&少々開いた花を」積んできて、35%のホワイト・リカーに漬け、一週間後に花を引きあげます。かなり色が濃い茶色です。味は重厚。サクラの香りも残っています。

 (2018.11.21)



@深川鍋+卵


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弟作。アサリ、ネギの定番「深川鍋」に溶き卵2個を使って作りました。

 (2018.11.21)



@バジルソース入り卵焼き


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弟作。バジルの風味が鮮烈で美味しいです。

 (2018.11.22)



@カスベ(カスペ)のコンソメ


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弟作。ヒレの軟骨の美味しいエイの仲間。青森県とか北海道とかで獲れます。下魚という評価もありますが、私は美味だと思います。コンソメ、塩、ショウガ、七味唐辛子で煮付けにしました。

 (2018.11.22)





今日の詩


@壁


この壁は、生まれた時から
白髪の老人だ。
なぜかというと、
最近隣りのビルが
解体され、


それまで数十年
2つのビルに
挟まれていた壁が
今になって露出したから。
殺風景な壁だが


それなりの歴史があり
つくづく見ると
一種の美さえ感じる。
老性と若性が入り混じる
――virgin old wall !!


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(注:最後の英語は「処女で老いた壁」という意味です。)

 (2018.11.21)




今日の三句


残照に
骨格際立つ
赤城山


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夕日の光線は照らされるものをくっきりさせるのですね。

 (2018.11.23)



寒空に
早くも咲くか
ホトケノザ


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 (2018.11.24)



蚊柱の
渦巻きのごと
カラス群れ


「蚊柱」は、蚊が集団で渦巻く現象。今回はカラスの群れで見ました。

 (2018.11.25)