虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

野菜工場・・・その不自然さ



 この前の日本TV(ニッテレ)で特集されていました。外界から完全密封したうえで、空調を使い、光は「蛍光灯」、養分は水に含ませて野菜を栽培するシステムのことを、「野菜工場」というそうです。(注:このブログでは「野菜工場」として取り上げましたが、「植物工場」という表記もあります。)

 この農法を採用した場合


  安定供給
  高い安全性(細菌、農薬なし)
  高速生産
  土地の高度利用

などの利点がある反面


  高額の栽培費用(蛍光灯、空調費)
  少ない栽培品目

などがデメリットになっているようです。(Wikipedia:植物工場より)


私は、無菌栽培、蛍光灯、空調使用、水栽培のコンセプト自体が誤っていると思うのです。
この技術は、電気が絶対に必要であり、それには、石油が大部分なければ
できないものだからです。実際、光熱費の全コストに占める割合は3割と割高です。


 この栽培法の場合、無菌というのも気になるのです。「工場」に入って作業するには、宇宙服のようなコスチュームに着替えなければなりません。また、トマトの受粉などはどうするのでしょうか?無菌だから、ミツバチも室内に入れないのでしょうか?


 そのようにして作った作物は無菌・無農薬になりますが、それはそれを食べる私たちの体も無菌・無農薬に慣れた体質に作り変えてしまうかも知れません。



 なお、このような完璧な状態ではなく、外界とつながりのある「太陽光」をつかう「農法」もあるようです。この場合は、菌があり、殺虫剤もつかう農法になるようなのです。


 「蛍光灯」と「空調設備」を有する栽培は、やはりエネルギーの無駄使いであり、植物にとって過酷な環境を与えるような気がします。・・・余裕がない状態。


 私の敬愛する槌田劭(つちだ・たかし)元京都大学助教授は、「石油科学文明の崩壊は近い」と常々仰っています。だから、「野菜工場」は、石油科学文明の「仇花:あだばな」といえるものかも知れません。



今日のひと言:植物も生物です。それがこの画一化された栽培の中で、満足しているわけがなく、土を感じ、風を感じ、水を感じ、お日様を感じて生きているほうが良いに決まっています。そうではないでしょうか?


完全制御型植物工場

完全制御型植物工場