虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

犬の威厳、猫の愛嬌~両者の違い(随想録―48)

犬の威厳、猫の愛嬌~両者の違い(随想録―48)



世は挙げて「猫ブーム」だ。日本のペットの飼育頭数で、犬を抜いて猫がトップになってから久しい。ネット空間で言っても、猫の話題には事欠かず、溢れんばかりだ。私がやっている「tumblr.」(タンブラー)でもそうだし、一度悪く書いたことを理由にし、私のユーザー登録を拒否したらしい「instagram」(インスタグラム)では、たぶんその傾向はいっそう強いだろう。女性投稿者が全体の7、8割を占めるインスタグラムでは「猫の画像、動画」が記事の多くを占めることも想像に難くない。「なに、この猫、かーわいい!!」と言った言葉がやり取りされていると見てよい。


さて、私が「猫」について思うに、彼らの最大の美徳は、愛嬌を持つことであろう。どんなことをやっても、それが感じられる。マイペースなのも良い。でも、この動物が人間と共生した歴史はそれほど長くない。たぶんもっとも早く家畜になった犬とは、歴史の長さが大きく違うだろう。猫を大衆的なペットにしたのは、確か「ペスト」のパンデミック以来だろう。病原菌を持つネズミを食べてもペストにならずに、ネズミを駆除してくれる点が評価されたのだろう。もっとも、それ以外の実用性は、猫にはない。



タエコ(我が家の飼い犬だった)


一方、犬には実用性を求めるのは、人間の性だ。セッター、ポインターダックスフントなどの狩猟犬は、人間が意図的に作出した犬種であることは周知の事実だ。とにかく犬は人間に忠実で、役に立つ。私は犬が好きだが、このように人間に都合がよいように作られた犬は、気の毒だとも思う。


では、私は、犬のどこが好きなのか。・・・その威厳だ。まあ、猫と扱い方が似ている小型犬はさておき、中型犬、大型犬のもつ「威厳:dignity」に敬意を払うのだ。我が家で以前飼っていた中型犬である「タエコ」(♀)にも威厳があった。何事にも囚われず、かといって危険を察知する能力にも長け、家の守り神といった存在だったのだ。彼女も威厳ある犬のひとりだった。


iirei.hatenablog.com


 (2022.09.14)






大鎌を持つ死に神(詩)


我が家の庭はジャングルだ。
手ごわい草木が蔓延する。

たまに私は大鎌を振るい、
彼らをぶった切る。

今年もそれを
何度かやったが、

鎌一振りで
草木は滅亡する。

数分で作業を終えると、
あとは心地よい疲労が残る。

 (2022.10.20)




The God of Death with a scythe (poetry)



Our garden is a jungle.
Formidable vegetation spreads.

Occasionally I wield a scythe,
chop them up.

this year too
I did it several times,

with one swing of the scythe
Vegetation perishes.

After finishing the work in a few minutes,
A pleasant fatigue remains.

(2022.10.20)







今日の7句


クサギの実
ビロード細工の
宝石か



 (2022.09.29)



弁慶の
立往生や
シオンかな




 (2022.09.29)



布基礎で
作れる家は
マッチ箱




この工法は1923年の関東大震災以降広まったもので、家の骨組みは衝撃に弱いです。

 (2022.09.29)



見慣れない
幾何学模様
ツルの跡



家の壁に、つる草が巻き付いた痕跡です。

 (2022.10.01)



カマキリの
轢死したるや
無念なり



 (2022.10.02)



水が落ち
水に集まる
田螺(たにし)たち



 (2022.10.02)



この秋も
トウダイグサ
お目見えし



 (2022.10.02)