現代の法家思想(韓非の発想):スマホによる例外なき支配
現代の法家思想(韓非の発想):スマホによる例外なき支配
2020年5月9日の東京新聞の紙面で、以下のような記事が掲載されていました。
殺人、逃走24年男 コロナで観念 【上海=白山泉】
二十四年前に中国甘粛省で人を殺害し、全国各地を逃げ続けていた男(四十八)が今月に入って浙江省杭州市の警察署に自首した。携帯電話を持っていなかったことから、政府が新型コロナの予防対策として導入を進める「健康QRコード」を提示できず、ホテルや小売店などを利用できなくなった。
この男は、身分証も携帯電話も持たず、日雇い労働をして手にした現金を使って生活していたそうです。ところが杭州市に移動したのが運の尽き、ここには「健康QRコード」を実用化した「アリババ」の本社があり、コードがなければ手も足も出ない、宿泊、買い物、労働をするのにもコードがなければなにも出来ない状況に追いやられ、「もはやこれまで」と観念して自首したというのです。
この逮捕劇、どう思われるでしょうか?たぶん一般的には「極悪人が捕まって、良かった、良かった」という安堵の声が上ることでしょう。でも、注意したいのは、この件の裏には、法によって一般大衆を漏れなく監視するという国家の強力な意図が見え隠れしているのです。
ところで、同じ中国では、紀元前の秦の時代には、ここで取り上げたような事例が既に見られます。私の過去ログから引用しますと、
「法は誰にでも平等に適用される」と言って、聞こえはいいのですが、こんなお話もあります。秦の重臣(もちろん法家):商鞅(しょうおう)が罪を得て、逃亡先の旅館で宿を乞うたところ、「商鞅さまが決めた法があるので、手形がなければ宿泊させることは出来ません」という驚くべき現実が商鞅を襲ったのです。
あまりに苛烈な法体系を人民に押付けた秦が滅んだあと、漢の劉邦は「法は三章のみ」と言って人民の喝采を浴びたのです。でも、法と言えば、現代日本では「共謀罪」など、為政者にとってのみ有利な法整備が安倍内閣のもとで行われたのは、周知の事実です。むしろ秦のような地獄の国家に日本は向かっているのでしょう。法が細かな行為でさえ厳しく取り締まるのは、どんな時代、どんな国でも人民が泣く社会です。
・・・の、ようになります。どうでしょうか?時代は違えど、「通行手形」を所持していなければ宿泊もままならない、と言った点では、2000年以上まえの秦と現代中国では、まったく変わりがありません。もちろん、現代日本でもそうです。
今日のひと言:もちろん、現代中国における状況は、コロナウイルスへの封じ込め策ではあるわけですが、支配者階級にとっては、人民を支配するための便利な小道具がスマホなのです。(法家は、中国の諸子百家の一つで、韓非が提唱し、法を充実させることで、効率的に、人民を管理すべきだとする、理不尽で苛烈な主張を展開した学派で、秦の始皇帝に認められ、国策として採用された、というわけです。)
人が少なかった頃は闘争はなかったという一種の自然状態仮説を提示し、外的環境と物的状況の変化が人間性に影響を与えるという議論を展開する。韓非によれば、物資が多くて人が少なければ人々は平和的で、逆に物資が少なくて人が多いと闘争的になる。韓非が生きた時代のような、人が増えた闘争的な社会では、平和的な環境にあった法や罰は意味が無く、時代に合わせて法も罰も変えなければいけない。ただ罰の軽重だけを見て、罰が少なければ慈愛であるといい、罰が厳しければ残酷だという人がいるが、罰は世間の動向に合わせるものであるから、この批判は当たらないという。
韓非(wiki より)
実際、スマホによる支配は浸透してきています。スマホに限らず、いろいろな企業の多くは、現金決済という慣習を離れ、それ以外の決済法を取っています。そのため、この、私がいま使っているPCの直した方が便利な故障も、修理がMicrosoftでは出来ませんし、せっかく登録したメルカリも、買い物が出来ません。これらの場合、クレジットカードがあれば入金できますが、あいにく私や弟は持っていないのです。多くのIT企業は、現金を信用しないのですね。
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今日の一品
@昆布佃煮のオジヤ
昼食。買ってあったシソ風味昆布佃煮、ケール、セリ、卵、クコの実をパックご飯と煮て、塩、ラー油、山椒で調味しました。
(2021.01.24)
@蕪とミニトマトのチーズ煮
昨日廉価で買った蕪(かぶ)とミニトマトを煮て、スライスチーズ2枚を入れてさらに煮、しあげにオレガノ。(スープにはコンソメ2個投入しました。)
(2021.01.24)
@シジミ汁
たまには食べたくなるシジミ汁。青森県の十三湖産の蜆。具はシジミの他ブナシメジのみ、醤油味。お椀にネギ、好みで山椒粉。
(2021.01.28)
今日の四句
一雨で
息吹き返す
ギンゴケか
乾燥に強いコケで、雨がしばらく降らなくても枯れません。
(2021.01.24)
側溝の
隙間に生える
コケ強し
(2021.01.24)
驚きぬ
蛇に見ゆるや
朽ち縄か
蛇のことも朽ち縄(くちなわ)と呼びますが。
(2021.01.26)
これはまあ
樹を絞め殺す
樹なりけり
実際、「絞め殺しの木」という樹があります。
(2021.01.26)
今日の写真集
フランスとドイツの結婚(フランスの銘酒:シャルトリューズとドイツの黒パン:プンパーニッケル)
樹に生すコケ
湿った大地に日が暮れる
堕ちる満月(2021.01.29)
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“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”
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ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログも付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。